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湘南理工学舎
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2022/10/30

 楽しく学ぶ…初歩の数学

 双曲線   (hyperbola)

 --目 次--
はじめに(離心率)
双曲線の定義1
基本性質(横長形)
基本性質(縦長形)
例題1
双曲線の定義2
例題2
媒介変数表示
双曲線の接線
例題3(接線) 
漸近線 
双曲線関数 
閑話 /軌道方程式と離心率
  

 はじめに(離心率) 
 2次曲線(円錐曲線)である放物線、楕円を学んできました、今回は仕上げとして双曲線を学びます。
3つの曲線の共通点は焦点(点F)準線(点H )をもつこと、またこのことから定義される離心率があます。 【fig3,4を参照】
2次曲線はこの離心率により以下のように分類され、これが2次曲線の特徴でもあります。
 離心率 \(\quad e=\frac{PF}{PH}\) (PH,PF について以下の定義2 を参照)

・円: \(e=0\) (楕円の長軸=短軸)
・放物線: \(e=1\)
・楕円: \(0\lt e\lt 1\)
・双曲線: \(e\gt 1\)
(円は特殊な楕円の1つ(真円)と見した場合)

極端にいえば、それぞれ異なる曲線名ではあるが、離心率が\(0\le e \lt 1\) の範囲にある同じ円錐曲線としの2次曲線であるとも言える。
天体でいえば円と楕円は閉曲線であり一周すると同じ場所に戻ってくる惑星軌道、放物線と双曲線は開曲線であり、二度と戻ることがない惑星軌道ですね。
【参照先】

 双曲線には他の円錐曲線にはない、漸近線をもち、また双物線の名前のついた双曲線関数(hyperbolic)があります。
これらについてもふれていきます。
また、2通りの定義がありますが、基本的な性質は同じです、まずは、定義1から説明していきます。 (離心率によるのは定義2です)
ここでは焦点がx 軸にある双曲線を横形(fig1)、y軸にある双曲線を縦形(fig2) と呼びます。

双曲線/横形
   fig1 双曲線/横形
円錐と2次曲線
   fig2 双曲線/縦形

 双曲線の定義1  (横形:fig1 参照)  
異なる2定点(点 F、F’) までの距離の差が一定(2a) である点P の軌跡を双曲線という。
またこの2定点を焦点という。
すなわち上図において
\(|PF-PF’|=\color{red}{2a}\) であること。
注:縦形(fig2)のときは\(\color{blue}{2b}\)である。

 双曲線の基本性質(横形)  (fig1)

注:縦形と異なる項は朱記で記載。 

•頂点:\(\color{red}{(\pm a,0)}\)
•中心が原点\((0,0)\)
•焦点:\(\color{red}{(\pm c,0)}\) \(\Rightarrow\) \(\color{red}{F(c,0) , F'(-c,0)}\)
•方程式【標準形】
\(\quad \color{red}{\dsfr{x^2}{a^2}-\dsfr{y^2}{b^2}=1}\) \((a \gt 0 , b\gt 0 )\)\(\:❶\)

平行移動(中心\((d,e)\) )したとき:
\(\quad \color{red}{\dsfr{(x-d)^2}{a^2}-\dsfr{(y-e)^2}{b^2}=1}\)  \(\:❷\)

•\(c=\sqrt{a^2+b^2}\)\(\:❸\)
•準線:\(\color{red}{(\pm \frac{a^2}{c})}\) \(\:❹\)
•離心率: \(\color{red}{e=\frac{PF}{PH}=\frac{c}{a}}\)\(\:❺\) (双曲線\( e \gt 1\))
•漸近線: \(y=\pm \frac{b}{a}\)\(\:❻\) 
•対称軸:x軸、y軸

参考:【グラフを描くコツ】
fig の原点から 四角形 \(\Box a \x b\)(破線) の4角に引く線…これが漸近線です。 
頂点からこの漸近線に沿って線を描けば、おおまかな双曲線が描けます。

 双曲線の基本性質(縦形)  (fig2 )

注:横形と異なる項のみ記載。(青字)

•頂点:\(\color{blue}{(0,\pm b)}\)
•\(\color{blue}{|PF-PF’|=2b}\) 
•焦点:\(\color{blue}{(0,\pm c)}\) \(\Rightarrow\) \(\color{blue}{F(0,c) , F'(0,-c)}\)
•方程式【標準形】
\(\quad \color{blue}{\dsfr{x^2}{a^2}-\dsfr{y^2}{b^2}=-1}\) \((a \gt 0 , b\gt 0 )\) \(\:❶'\)

平行移動(中心\((d,e)\) )したとき:
\(\quad \color{red}{\dsfr{(x-d)^2}{a^2}-\dsfr{(y-e)^2}{b^2}=-1}\)  \(\:❷'\)

•\(\color{blue}{ c=\sqrt{a^2+b^2} }\)\(\:❸'\)
•準線:\(\color{blue}{(\pm \frac{b^2}{c})}\) \(\:❹'\)
•離心率: \(\color{blue}{e}=\frac{PF}{PH}\color{blue}{=\frac{c}{b}}\)\(\:❺'\) (双曲線\( e \gt 1\))
注:漸近線(式❻)、対称軸は横形と同じ。

双曲線公式❶の導出
定義の「\(|PF-PF’|=2a\)\(\ \Rightarrow\)\(PF-PF’=\pm2a\)」より 
図より、3平方の定理を用いて
\(\sqrt{(x-c)^2+y^2}-\sqrt{(x+c)^2+y^2}=\pm2a\)
\(k=(x+c)^2+y^2\) とおく(簡易表示のため)
\(\sqrt{(x-c)^2+y^2}=\pm2a+\sqrt{k}\)
両辺を2乗( \( (\pm2a)^2=4a^2\)となり)
\((x-c)^2+y^2=4a^2+4a\sqrt{k}+k\)
\((x-c)^2+y^2-4a^2-k=+4a\sqrt{k}\)

\(x^2-2cx+c^2+y^2-4a^2-((x+c)^2+y^2)\)\(=+4a\sqrt{k}\)
\(-(4cx+4a^2)\frac{1}{4}=a\sqrt{k}\)

\(-(cx+a^2)=a(\sqrt{(x+c)^2+y^2})\)
両辺を2乗
\(c^2x^2+2a^2cx+a^4=a^2((x+c)^2+y^2)\)

右辺 \(=a^2x^2+2a^2cx+a^2c^2+a^2y^2 \)
\(c^2x^2-a^2x^2-a^2y^2=a^2c^2-a^4\)

\((c^2-a^2)x^2-a^2y^2=a^2(c^2-a^2)\)
\(b=\sqrt{c^2-a^2}\) とおくと
\(b^2x^2-a^2y^2=a^2b^2\)
\(a^2b^2\) で割ると
\(\therefore \dsfr{x^2}{a^2}-\dsfr{y^2}{b^2}=1\) \(\:❶\)  導出終わり


 例題1 
fig1を参照し、次の情報から双曲線の方程式を求めよ。
\(|PH-PF'|=2a=6\) \(\ , \ \) \(F=(\pm \sqrt{13},0)\)
解):焦点の情報から横形(fig1)、基本性質(1)を使う。
定義1から:
\(PF=\pm 6+PF'\) \(\ :ⓐ\)
3平方の定理より

\(PF=\sqrt{(x-\sqrt{13})^2+y^2}\) \(\ ,\ \)\(PF'=\sqrt{(x+\sqrt{13})^2+y^2}\)
また\(\color{red}{k=x-\sqrt{13}}\) \(\ ,\ \) \(\color{blue}{j=x+\sqrt{13}}\) とおくと

\(式ⓐ=\sqrt{k^2+y^2}=\pm 6 + \sqrt{j^2+y^2}\)\(\ \Rightarrow\ \) \((\sqrt{k^2+y^2})^2=(\pm 6 + \sqrt{j^2+y^2})^2\)
\(\ \Rightarrow\ \) \(\color{red}{k^2}+y^2=36\pm 12 \sqrt{j^2+y^2} + \color{blue}{j^2}+y^2 \) \(\ \Rightarrow\ \) \(\color{red}{x^2-2\sqrt{13}x+13}\)\(=36 \pm 12 \sqrt{j^2+y^2} + \color{blue}{x^2+2\sqrt{13}x+13}\)
\(\ \Rightarrow\ \) \(-2\sqrt{13}x=36 \pm 12 \sqrt{j^2+y^2} +2\sqrt{13}x\) \(\ \Rightarrow\ \) \(\pm 12 \sqrt{j^2+y^2}=36+4\sqrt{13}x\)
\(\ \Rightarrow\ \) \((\pm 3 \sqrt{j^2+y^2})^2=(9+\sqrt{13}x)^2\) \(\ \Rightarrow\ \) \(9(x+\sqrt{13})^2+9y^2=81+18\sqrt{13}x+13x^2\)
\(\ \Rightarrow\ \) \(9x^2+18\sqrt{13}x+117+9y^2=81+18\sqrt{13}x+13x^2\)
\(\ \Rightarrow\ \) \(4x^2-9y^2=36\)\(\ \Rightarrow\ \) \( \frac{1}{36}(4x^2-9y^2)=1\)
\(\therefore\frac{x^2}{9}-\frac{y^2}{4}=1\)


離心率e による定義】\(\ e=\frac{PF}{PH} \)
双曲線/横形
   fig3 双曲線/横形
双曲線/縦形
   fig4 双曲線/縦形

次は離心率による定義です⇒ 基本性質は上記の(定義1)と同じ。
定義はシンプルですが 【閑話】のように、物理などではよく使われます。
 双曲線の定義2  (fig3 参照)  
 直線(準線)H と定点(焦点)F との距離の比が一定の点 P の軌跡 且つ 次に定義する離心率 \(e\gt 1\) の曲線を双曲線という。

次式は離心率の定義
\(PF:PH=e:1\) \(\ \Rightarrow\) \(\ e=\dsfr{PF}{PH} \)

この定義により前記と双曲線と同じ、方程式 ❶と❶’ が導かれる。

\(\dsfr{x^2}{a^2}-\dsfr{y^2}{b^2}=1\)\(\:❶\)\(\ \) \(\dsfr{x^2}{a^2}+\dsfr{y^2}{b^2}=-1\) \(\:❶'\)

上記の定義から式❶を導きます。
離心率から双曲線公式の式❶ を導出(fig3 参照)
\(PF:PH=e:1\) \(\ \Rightarrow\) \(\ PF=ePH \)
\(PH^2=e^2PH^2\) \(\ \Rightarrow\) \((x-c)^2+y^2=e^2x^2\)
\((1-e^2)x^2-2cx+y^2+c^2=0\)\(\: ⓐ\)     

e=1 とすると、式ⓐ は 放物線の方程式となる。 \((y^2=2cx-c^2)\)
以下は\(e\ne1 \)とする。(途中 \(e\gt 1 \)の条件が登場する)
これから式ⓐ を変形していく。

\((1-e^2)(x^2-\frac{2cx}{1-e^2})+y^2+c^2=0\)
\(k=1-e^2\)とおく。(簡略表示のため)
\(k(x^2-\frac{2cx}{k})+y^2+c^2=0\)
x について平方完成する。
\(k(x-\frac{c}{k})^2-\frac{kc^2}{k^2}+y^2+c^2=0\)
\(k(x-\frac{c}{k})^2+y^2=\frac{c^2}{k}-c^2\)\(=\frac{c^2(1-k)}{k}=\frac{c^2e^2}{k}\)
右辺を 1 にするように変形する。
\(\frac{k(x-\frac{c}{k})^2}{\frac{c^2e^2}{k}}+\frac{y^2}{\frac{c^2e^2}{k}}=1\) \(\ \Rightarrow\) \(\color{blue}{\frac{(x-\frac{c}{k})^2}{\frac{c^2e^2}{k^2}}+\frac{y^2}{\frac{c^2e^2}{k}}=1}\)

\(e\gt1 \)のとき  \(\frac{c^2e^2}{\color{blue}{1-e^2}}=\frac{c^2e^2}{\color{blue}{k}} \lt 0\) だから
\(\frac{c^2e^2}{k}=-b\) とおける( \(\frac{c^2e^2}{k}\)は定数)
また \(\frac{c^2e^2}{k^2} \gt 0 \) だから(∵分母が2乗)、 \(\frac{c^2e^2}{k^2} =a\) とおける。
これより上式(青色)は:

\( \frac{ (x-\frac{c}{k})^2 }{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=1 \)

上式は中心が x 軸方向に \(-\frac{c}{k}\) 平行移動した双曲線である。
原点に戻せば方程式❶ を得る。

\(\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=1\)  導出終わり


 例題2 
次の情報から双曲線の式求めよ。
離心率:\(e=\frac{\sqrt{13}}{3}\) \(\ , \ \) 準線:\(H=\frac{9}{\sqrt13}\) \(\ , \ \) 焦点:\(F(\sqrt{13},0)\)
解):焦点の情報から横形(fig3)、基本性質(1)を使う。
準線:\(H=\pm \frac{a^2}{c}=\frac{9}{\sqrt13}\) から\(a=3\) です。
定義2から:
\(PH:PF=3:\sqrt{13}\)\(\ \Rightarrow\ \) \( (\sqrt{13}PH)^2=(3PF)^2\)\(\ \Rightarrow\ \)\(13PH^2=9PF^2\)

3平方の定理より
\(PH=x-H=x-\frac{9}{\sqrt13}\)
\(PF=\sqrt{ (x-\sqrt{13})^2+y^2 }\)

\( 13(x-\frac{9}{ \sqrt{13} })^2 \) \(=9\left[ \sqrt{ (x-\sqrt{13})^2+y^2 } \right]^2\)

\(\ \Rightarrow\ \)\(13(x^2-\frac{18x}{\sqrt{13}}+\frac{81}{13})\)\(=9[x^2-2\sqrt{13}x+13+y^2]\)
\(\ \Rightarrow\ \)\(13x^2-13\frac{18x}{\sqrt{13}}+81\)\(=9x^2-18\sqrt{13}x+117+y^2\)
\(\ \Rightarrow\ \) \(4x^2-9y^2-36\)=0
\(\ \Rightarrow\ \) \( \frac{1}{36} \x \left[ 4x^2-9y^2=36 \right]\)
\(\therefore \dsfr{x^2}{9}-\dsfr{y^2}{4}=1\)

 双曲線の媒介変数表示  
 横形と縦型により次のように異ります。
\(\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=1\) に対して:
•\(\ x=\dsfr{a}{cosθ}\) \(\ ,\ \) \(y=b\ tanθ\)\(\ :❼\)

\(\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=-1\) に対して:
•\(\ x=a\ tanθ \) \(\ ,\ \)\(y=\dsfr{b}{cosθ}\) \(\ :❼'\)
 式❼の導出 
円、楕円では\((cosθ)^2+(sinθ)^2=1\)に関連付けして媒介変数をきまましたが、
双曲線の \(\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=1\) ではどうなるか
次の三角関数の式に関連付けができます。
\(1+tan^2θ=\frac{1}{cos^2θ}\) \(\ \Rightarrow\ \) \((\frac{1}{cosθ})^2-(tanθ)^2=1\)
これより
\(\frac{1}{cosθ}=\frac{x}{a}\) \(\ ,\ \) \(tanθ=\frac{y}{b}\) とけば
\(\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=1\) をえる。
\(\therefore \color{blue}{ x=\dsfr{a}{cosθ}}\) \( \ , \) \(\color{blue}{ y=b\ tanθ} \)\(\ :❼\)

 双曲線の接線の方程式  \(\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=1\)\(\ :ⓐ\)
次式は双曲線上の点\((x_1,y_1)\) における接線の方程式である。
\(\dsfr{x_1 x}{a^2}-\dsfr{y_1 y}{b^2}=1\) \(\ :❽\)

前回の楕円と同様に微分法により導出していきます。
曲線のある点での微分係数は接線の傾きm を表わすから!
次式は曲線の点\((x_1,y_1)\)における接線の方程式です:【参照先】
\(y=m(x-x_1)+y_1\) \(\ \iff \ \) \(\color{blue}{y=f'(x_1)(x-x_1)+y_1}\) \(\ :ⓑ\)
\(\color{blue}{m=f'(x_1)=\der{y}{x}(x_1)}\)
・\(m\) は\(x_1\)における接線の傾きであり、この\(m\)は次の微分係数に等しい。
・\(f'(x_1)\)はy の微分に\(x_1\) を代入しもの…これを\(x_1\)における微分係数という
与式ⓐ の両辺をx で微分する:

以下の朱記の微分は合成関数の微分です: \( \der{}{x}(\frac{y^2}{b^2})\) \(=\der{y}{x}\der{}{y}(\frac{y^2}{b^2})\) \(=\frac{2y}{b^2}\der{y}{x}\)
楕円の方程式は陰関数、少し特殊です、難解であれば、傾きm の結果をそのまま受け入れて先に進みましょう。
・先に進む:【前 進】
・「合成関数の微分」:【参照先】
・「陰関数の微分」:【参照先】

\(\der{}{x}(\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2})=\der{}{x}(1)\) \(\ \Rightarrow\) \(\der{}{x}(\frac{x^2}{a^2})-\color{red}{ \der{}{x}(\frac{y^2}{b^2}) }=0\)\(\ \Rightarrow\) \(\frac{2x}{a^2}-\color{red}{\der{y}{x}\der{}{y}(\frac{y^2}{b^2})}=0\)\(\ \Rightarrow\) \(\frac{2x}{a^2}-\color{red}{\frac{2y}{b^2}\der{y}{x} }=0\) \(\ \Rightarrow\) \(\color{red}{ \der{y}{x} }=\frac{b^2}{2y}(\frac{2x}{a^2})=\frac{b^2}{a^2y}x\)

\(\color{blue}{ m=f'(x_1)=\der{y}{x}(x_1)=\frac{b^2}{a^2y}x_1 }\)

これを式ⓑに代入
\(\color{blue}{ y=\frac{b^2}{a^2y}x_1 (x-x_1)+y_1 }\)
両辺 \(a^2 y_1\) をかけると
\(a^2 y_1 y=b^2 x_1(x-x_1)+y_1 a^2 y_1\)\(\ \Rightarrow\) \(a^2 y_1 y=b^2 x_1x - b^2 x_1^2 + a^2 y_1^2\)
\( b^2 x_1x - a^2 y_1 y = \underline{ b^2 x_1^2 - a^2 y_1^2}\)\(\ :©\)

ところで,楕円の方程式に\(a^2 b^2\) 倍すると:
\(a^2 b^2 (\frac{{x_1}^2}{a^2}-\frac{{y_1}^1}{b^2})=a^2 b^2\)\(\ \Rightarrow\) \(\color{black}{ \underline{b^2 {x_1}^2 - a^2 {y_1}^2=a^2 b^2} }\)
だから式©は:

\(b^2 x_1x - a^2 y_1 y = \underline{a^2 b^2}\)
両辺に \(\frac{1}{a^2 b^2}\) を掛けると

\(\dsfr{x_1x}{a^2} - \dsfr{y_1 y}{b^2}=1\)  導出終わり

 例題3 
次の双曲線の点P における接線を求めよ。

\(x^2-y^2=1\) \( \quad\) \(P(\sqrt{2},1)\)

【解】:公式❽使い求める
与式は \(a=b=1\),すなわち
\(\frac{x^2}{1}-\frac{y^2}{1}=1\)

公式❽の\((x_1,y_1)\)に\(P(\sqrt{2},1)\) を代入すると:
\(\frac{\sqrt{2}\ x}{1}-\frac{1\ y}{1}=1\)

\(\therefore\ y=\sqrt{2}x-1\)

以下の図を参照して下さい。
双曲線の接線
   fig5 双曲線の接線


 漸近線  
 双曲線は2つの漸近線が存在します。
漸近線とは充分に遠くで(x を無限にとばして),双曲線との距離が0 に近ずくが、曲線とは一致しない直線である。
(図では赤の漸近線が遠くに行くにつれて双曲線に近づいていく)
(漸近線をもつ関数とし、\(y=tan\ x,log\ x \) などあります。)
双曲線はx軸、y軸について対称だから、\((x \gt 0\, y \gt 0)\)の第1象限の範囲で漸近線を考える。
双曲線の式を変形して \(\quad y=f(x)=\frac{b}{a}\sqrt{x^2-a^2}\)
この式の x を十分大きくすると \(y \fallingdotseq \frac{b}{a}x\) となるから、これを漸近線 \(g(x)\) として推定する。
そして以下の証明に進む。

漸近線
   fig6 漸近線
証明することは
双曲線の式を変形した式 : \(y=\color{blue}{f(x)=\frac{b}{a}\sqrt{x^2-a^2}}\)
に対して,「x→∞ のとき、双曲線f(x) が漸近線g(x) に限りなく近づく」すなわち:
\(\displaystyle \lim_{x \to \infty} |f(x)-g(x)|=0\) であること。
\(\displaystyle \lim_{x \to \infty}|\frac{b}{a}\sqrt{x^2-a^2}-\frac{b}{a}x|\)
分子の4有理化,また\(k=x^2-a^2\) とおく
\(\displaystyle \lim_{x \to \infty} \frac{a}{b}|\sqrt{k}-x|\) \(\ \Rightarrow\) \(\displaystyle \lim_{x \to \infty} \frac{a}{b}|\frac{(\sqrt{k}-x)(\sqrt{k}+x)}{\sqrt{k}+x}|\)
絶対値の中を計算する
\(\frac{k-x^2}{\sqrt{k}+x}\)\(=\frac{x^2-a^2-x^2}{\sqrt{k}+x}\)\(=\frac{-a^2}{\sqrt{x^2-a^2}+x}\)

下式の分母: \(\sqrt{x^2-a^2} \rightarrow \infty\)\(\ ,\) \(x \rightarrow \infty\) だから    
\(\displaystyle \lim_{x \to \infty}\frac{-a^2}{\sqrt{x^2-a^2}+x}=0\)

•これより \(g(x)=\pm \frac{b}{a}x\) :❻ は双曲線の漸近線となる。
•fig1~fig4 の如く、漸近線は中心部の四角形\(\Box a \x b\)(破線)の頂点を通過している。
•\(\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=0\)とすると\(y=\frac{b}{a}x\) を得る。(忘れたときに役立つ!)

 双曲線関数と双曲線    【参照先】
 双曲線関数の内容は次の通しのです。

・\( sinh\ x= \frac {e^x-e^{-x}}{2} \) \(\ ,\ \) ・\( cosh\ x= \frac {e^x+e^{-x}}{2} \) \(\ ,\ \) ・\( tanh\ x= \frac {sinh\ x}{cosh\ x} \)

双曲線関数の英名はハイパボリック関数…響きのいい名前ですね。
そのまま双曲線を描けません、2つの関数を次のように媒介変数表示を使います。
\(\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=1\) に対して、次の媒介変数表示を使う。

• \(x=a\ cosh\ t\)\(\ ,\ \)\(b\ sinh\ t\)

下図はエクセルを用いてプロットしたものです。
双曲関数で描く
   fig7 双曲線関数で描く


coffe

[コーヒーブレイク/閑話]…お疲れさまでした

 軌道方程式と離心率  
次式は惑星の軌道方程式です。
\(\underline{ r=\dsfr{p}{(1 + \b{e}\ cos\ θ)} }\)
この e は離心率です。 この離心率により下図のように軌道が変化します。
不思議ですね、離心率e の数値を変えるだけで曲線が変化し、e が 1を超えると二度と惑星は戻ってきません。
この式だけでグラフが描けるか?…描けます。

•任意のθに対して動径r を求め、そのθ に対して:
•\(x=r \cosθ\) \(\ , \ \) \(y=r \sinθ\)
•\(p\) は定数だからここでは適当な数でよい。
あとはこの(x,y) をプロットすればよいのです。そして離心率 e 変えると 放物線→楕円→双曲線が描けます。

離心率と軌跡
   fig8 離心率と軌跡

【参考】
r:動径 L:角運動量 m:惑星の質量 M:恒星の質量 G:万有引力 
\(K=GmM\)として
\(p=\frac{L^2}{Km}=\frac{L^2}{Gm^2M}\)