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湘南理工学舎
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2024/03/20

 楽しく学ぶ…解析力学

 オイラー・ラグランジュ方程式の共変性

共変形式。運動方程式が座標系によらず同じ形で記述される。アインシュタインの強い等価原理である。
オイラー・ラグランジュ方程式と座標変換 運動方程式が座標系によらず同じ形で記述される。
極座標におけるニュートンの運動方程式 どの教科書, どのサイトにも必ず書いてある。
 デカルト座標におけるニュートンの運動方程式は, \[\left\{\begin{matrix} m\ddot{x}=F_x\\ m\ddot{y}=F_y& \end{matrix}\right.\tag{1} \] である。これを極座標で表そう。\(x=rcos\theta,y=rsin\theta~\)より, \[\begin{align} \dot{x}&=\dot{r}cos\theta-r\dot{\theta}sin\theta \\ \dot{y}&=\dot{r}sin\theta+r\dot{\theta}cos\theta\\ \ddot{x}&=\ddot{r}cos\theta-\dot{r}\dot{\theta}sin\theta-\dot{r}\dot{\theta}sin\theta-r\ddot{\theta}sin\theta-r\dot{\theta}^2cos\theta\\ &=(\ddot{r}-r\dot{\theta}^2)cos\theta-(2\dot{r}\dot{\theta}+r\ddot{\theta})sin\theta \\ \ddot{y}&=\ddot{r}sin\theta+\dot{r}\dot{\theta}cos\theta+\dot{r}\dot{\theta}cos\theta+r\ddot{\theta}cos\theta-r\dot{\theta}^2sin\theta\\ &=(\ddot{r}-r\dot{\theta}^2)sin\theta+(2\dot{r}\dot{\theta}+r\ddot{\theta})cos\theta \\ \end{align}\] これをデカルト座標の運動方程式に代入すると \[\begin{align} m\{(\ddot{r}-r\dot{\theta}^2)cos\theta-(2\dot{r}\dot{\theta}+r\ddot{\theta})sin\theta\}=F_x\tag{2} \\ m\{(\ddot{r}-r\dot{\theta}^2)sin\theta+(2\dot{r}\dot{\theta}+r\ddot{\theta})cos\theta\}=F_y\tag{3} \\ \end{align}\] と極座標での運動方程式が得られる。このままでも良いが, \((2)\x cos\theta+(3)\x sin\theta,\;(3)\x cos\theta-(2)\x sin\theta~\)より, \[\begin{align} m(\ddot{r}-r\dot{\theta}^2)&=F_xcos\theta+F_ysin\theta=F_r\tag{4} \\ m(2\dot{r}\dot{\theta}+r\ddot{\theta})&=-F_xsin\theta+F_ycos\theta=F_{\theta}\tag{5} \end{align} \] を得る。\(r~\)軸, \(\theta~\)軸は\(~x~\)軸, \(y~\)軸に対して\(~\theta~\)回転しているので, 回転行列を用い, 力\(~F~\)の成分は下記となる。 \[\begin{pmatrix} F_r\\ F_{\theta} \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} cos\theta & sin\theta \\ -sin\theta & cos\theta \end{pmatrix} \begin{pmatrix} F_x\\ F_y \end{pmatrix}\]  改めて書くと, 極座標では, ニュートンの運動方程式が \[\left.\begin{matrix} m\ddot{x}=F_x\\ m\ddot{y}=F_y& \end{matrix}\right\} \Leftrightarrow \left\{\begin{matrix} m(\ddot{r}-r\dot{\theta}^2)=F_r \\ m(2\dot{r}\dot{\theta}+r\ddot{\theta})=F_{\theta} \end{matrix}\right.\] の様に, 座標系に依存した異なった形になってしまった。しかし運動方程式は元々ベクトルで書かれ, \[m\frac{d^2\bm{x}}{dt^2}=\Vec F \] のように座標依存性は無かった。式中に\(~x~\)が含まれてはいるが, この\(~x~\)は空間に張った座標ではなく, 方向を示しているだけである。
運動方程式が異なる形になったのは, ベクトルの成分を求めると, その成分が座標に依存した形になってしまうからである。
 ベクトルの概念が確立していなかったデカルトの時代には, 運動量もはっきりせず保存量では無かった。理論構築に画期的な影響を与えたベクトルであるが, 万能ではなかった。
 それでは座標に依存しない同じ形(共変形式)の運動方程式は無いのであろうか?
カテナリー曲線を求めるとき, 2通りの方法があり, 同じ結果を与えた事を思い出そう。
微少部分の力ベクトルの釣り合いから求める方法と, スカラー量である重力ポテンシャルエネルギー最小から求める方法である。

ニュートン力学から解析力学へ 物理法則は座標系に依らない。相対論の「強い等価原理」である。
 ベクトルではなく, スカラー量を使って運動方程式を記述すれば, 座標系に依らない(共変形式の)運動方程式が得られるのではないか?
その通りで, オイラー・ラグランジュ方程式がこの要請に合うのである。やってみよう。
ニュートンの運動方程式と等価なオイラー・ラグランジュ方程式は \[L=T(\dot{x})-U(x)=\frac{1}{2}m\dot{x}^2-U(x)\] \[\frac{d}{dt}\left(\dd{L}{\dot{x}}\right)=\dd{L}{x}\tag{6}\] であった。極座標でのラグラジアンは, \[\begin{align} L&=\frac{1}{2}m(\dot{x}^2+\dot{y}^2)-U(r) \\ &=\frac{1}{2}m\{(\dot{r}cos\theta-r\dot{\theta}sin\theta)^2+(\dot{r}sin\theta+r\dot{\theta}cos\theta)^2\}-U(r)\\ &=\frac{1}{2}m(\dot{r}^2+r^2\dot{\theta}^2)-U(r) \end{align} \] であるからこれを(6)式に代入する。先ず\(~r~\)について左辺は, \[\frac{d}{dt}\left(\dd{L}{\dot{r}}\right)=\frac{d}{dt}(m\dot{r})=m\ddot{r}\] 右辺は, \[\dd{L}{r}=mr\dot{\theta}^2-\dd{U(r)}{r}=mr\dot{\theta}^2-(-F_r)\] で, これを等しいとおいて, \[m(\ddot{r}-r\dot\theta^2)=F_r \] を得る。これは苦労して得た(4)式と同じである。\(\theta~\)についても同様である。

 極座標でニュートンの運動方程式が大きく形を変えてしまうのは, 単位ベクトル\(~\bm{e}{_r},\bm{e}_{\theta}~\)が向きを変えてしまうからである。
一方ラグランジュの運動方程式を解くことは, 位置がわずかに\(~\delta q ~\)変化した時のポテンシャル(スカラー量)の極小点を探し当てることである。
 座標をどう取ろうと, ポテンシャル(スカラー)の最小点は同じ位置にある。座標が距離であろうと, 角度であろうと構わない。
パラメーターを少しづつ変化させて, 極小点を探ってゆくのである。その極小点を探し当てる方法(変分法)は変わらない。つまり方程式は同じ形となる。
 これが, オイラー・ラグランジュ方程式が座標にかかわらず同じ形を取る理由である。そしてこのことが一般化座標につながることになる。

オイラー・ラグランジュ方程式の汎用性 座標の取り方によらず同じ形の方程式になるので適用が容易である。
(1) 自由粒子
 自由粒子は力を受けていないので, ポテンシャルはゼロでラグラジアンは, \[L=\frac{1}{2}m\dot{x}^2-0\] オイラー・ラグランジュ方程式を適用すると \[\begin{align} \frac{d}{dt}\left(\dd{L}{\dot{x}}\right)&=\dd{L}{x} \\ \frac{d}{dt}m\dot{x}&=0 \\ m\ddot{x}&=0 \end{align} \] 自由粒子に働く力は\(~0~\)という当たり前の結果。

(2) 2次元調和振動子
 デカルト座標では, \(x~\)方向に関して, \[\begin{align} L=\frac{1}{2}m(\dot{x}^2+\dot{y}^2)&-\frac{1}{2}k(x^2+y^2) \\ \frac{d}{dt}\left(\dd{L}{\dot{x}}\right)&=\dd{L}{x} \\ \frac{d}{dt}m\dot{x}&=\dd{}{x}\left(-\frac{1}{2}kx^2\right) \\ m\ddot{x}&=-kx \end{align} \] \(y~\)方向も同じで, フックの法則が得られた。

 極座標では, \(r~\)方向については, \[\begin{align} L=\frac{1}{2}m(\dot{r}^2&+r^2\dot{\theta}^2)-U(r) \\ \frac{d}{dt}\left(\dd{L}{\dot{r}}\right)&=\dd{L}{r} \\ \frac{d}{dt}m\dot{r}&=mr\dot{\theta}^2-\dd{U(r)}{r} \\ m(\ddot{r}-r\dot{\theta}^2)&=F_r \end{align} \] で, 前に得た(4)式と同じである。

 \(\theta~\)方向については, \[\begin{align} L=\frac{1}{2}m(\dot{r}^2&+r^2\dot{\theta}^2)-U(r) \\ \frac{d}{dt}\left(\dd{L}{\dot{\theta}}\right)&=\dd{L}{\theta} \\ \frac{d}{dt}mr^2\dot{\theta}&=0 \\ mr^2\dot{\theta}&=Const. \end{align} \] で, 中心力\(~F_r=-\partial U(r)/\partial r~\)を受けて運動する物体の角運動量保存則が得られた。

(3) 2体問題・多体問題
 自然長\(~l\), バネ定数\(~k~\)で繋がれた, 質量\(~m_1,m_2~\), 位置\(~x_1,x_2~\)の2つの物体の運動を調べる。 \[L=\frac{1}{2}m_1\dot{x_1}^2+\frac{1}{2}m_2\dot{x_2}^2-\frac{1}{2}k(x_2-x_1-l)^2\tag{7} \] である。これを重心座標\(~X\), 相対座標\(~x~\)で表してみよう。 \[X=\frac{m_1x_1+m_2x_2}{m_1+m_2},\;x=x_2-x_1 \] より\(~x_1,x_2~\)を求め, (7)式に代入すれば良い。結果を記すと\(M=m_1+m_2~\)として, \[\begin{align} L&=\frac{1}{2}M\dot{X}^2+\frac{1}{2}\frac{m_1m_2}{m_1+m_2}\dot{x}^2-\frac{1}{2}k(x-l)^2 \\ &=\frac{1}{2}M\dot{X}^2+\frac{1}{2}\mu\dot{x}^2-\frac{1}{2}k(x-l)^2 \end{align} \] \(\mu=m_1m_2/(m_1+m_2)~\)は換算質量と呼ばれる量である。\(X~\)についてオイラー・ラグランジュ方程式を立ててみると, \[\begin{align} \frac{d}{dt}\left(\dd{L}{\dot{X}}\right)&=\dd{L}{X}\\ \frac{d}{dt}(M\dot{X})&=0\\ M\ddot{X}&=0 \end{align} \] すなわち, 重心は等速直線運動を行う。\(x~\)についても同様に, \[\begin{align} \frac{d}{dt}\left(\dd{L}{\dot{x}}\right)&=\dd{L}{x}\\ \frac{d}{dt}(\mu\dot{x})&=-k(x-l)\\ \mu\ddot{x}&=-k(x-l) \end{align} \] \((x-l~)\)を中心とした, 換算質量\(~\mu~\)の単振動を表している。
 オイラー・ラグランジュ方程式は普通の位置座標\(~x~\)のみならず, 重心座標, 相対座標についても成り立つ, 極めて汎用性の高い方程式である。また,
\[X=\frac{m_1x_1+m_2x_2}{m_1+m_2}=\frac{m_1}{M}x_1+\frac{m_2}{M}x_2=\frac{m_1}{M}q_1+\frac{m_2}{M}q_2+\dots \] とすれば, \(N~\)体問題への拡張も容易である。


coffe

[コーヒーブレイク/閑話]…お疲れさまでした!

 オイラー・ラグランジュ方程式の共変性(座標によらず同じ形になる)については色々な解説がある。パラメーターを少しづつ変化させて最小値を探す方法は座標が何であろうと同じである。 つまり同じ方程式となる。分かり易い説明だと思うがあまり見かけない。間違っているのだろうか?