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湘南 理工学舎

 楽しく学ぶ…線形代数

 余因子展開と逆行列

(confactor expansion and revese matrix)

 --目 次--

1.余因子
2.余因子展開による逆行列

  今回は、前回学んだ行列式の性質から余因子を導入し、今まで学んだ「逆行列の求め方」を余因子を用いて解決することを目標にし ます。
前回のことは以下を参照にして下さい。
行列式の性質
逆行列を求める

1.余因子

行列式は「成分に「0」を含む行列式」の性質を使うと次のように展開できます。

  \( \begin{vmatrix} a_{1\ 1} & a_{1\ 2} & a_{1\ 3}\\ a_{2\ 1} & a_{2\ 2} & a_{2\ 3}\\ a_{3\ 1} & a_{3\ 2} & a_{3\ 3} \end{vmatrix} \) \(=det(A)=|A| \)


  \(= \begin{vmatrix} \color{red}{a_{1\ 1}} & \color{red}{a_{1\ 2}} & \color{red}{a_{1\ 3}}\\ 0_{} & a_{2\ 2} & a_{2\ 3}\\ 0_{} & a_{3\ 2} & a_{3\ 3} \end{vmatrix} \) \(+ \begin{vmatrix} 0_{} & a_{1\ 2} & a_{1\ 3}\\ \color{red}{a_{2\ 1}} & \color{red}{a_{2\ 2}} & \color{red}{a_{2\ 3}}\\ 0_{} & a_{3\ 2} & a_{3\ 3} \end{vmatrix} \) \(+ \begin{vmatrix} 0_{} & a_{1\ 2} & a_{1\ 3}\\ 0_{} & a_{2\ 2} & a_{2\ 3}\\ \color{red}{a_{3\ 1}} & \color{red}{a_{3\ 2}} & \color{red}{a_{3\ 3}} \end{vmatrix} \)

 上式の2項の2行目、3項の3行目を1行目に移動(行の入れ替え)すると下式になる。
式の移動は行を入れ換えにより行われる。
行を入れ換えは行列式全体に「-」の符号、2回目は「+」の符号が付きます。
符号は入れ換えが… 奇数回:「-」 偶数回:「+」 

  \(= \begin{vmatrix} \color{red}{a_{1\ 1}} & \color{red}{a_{1\ 2}} & \color{red}{a_{1\ 3}}\\ {0} & a_{2\ 2} & a_{2\ 3}\\ {0} & a_{3\ 2} & a_{3\ 3} \end{vmatrix} \) \(- \begin{vmatrix} \color{red}{a_{2\ 1}} & \color{red}{a_{2\ 2}} & \color{red}{a_{2\ 3}}\\ {0} & a_{1\ 2} & a_{1\ 3}\\ {0} & a_{3\ 2} & a_{3\ 3} \end{vmatrix} \) \(+ \begin{vmatrix} \color{red}{a_{3\ 1}} & \color{red}{a_{3\ 2}} & \color{red}{a_{3\ 3}}\\ {0} & a_{1\ 2} & a_{1\ 3}\\ {0} & a_{2\ 2} & a_{2\ 3} \end{vmatrix} \)


 前回の「 成分に0を含む行列式の一般化 」より、上式は以下のように簡単な式になります。

  \(=\color{red}{a_{1\ 1}} \underbrace{ \begin{vmatrix} a_{2\ 2} & a_{2\ 3}\\ a_{3\ 2} & a_{3\ 3}\\ \end{vmatrix} }_{(1)} \) \(-\color{red}{a_{2\ 1}} \underbrace{ \begin{vmatrix} a_{1\ 2} & a_{1\ 3}\\ a_{3\ 2} & a_{3\ 3} \end{vmatrix} }_{(2)} \) \(+\color{red}{a_{3\ 1}} \underbrace{ \begin{vmatrix} a_{1\ 2} & a_{1\ 3}\\ a_{2\ 2} & a_{2\ 3} \end{vmatrix} }_{(3)} \)

(1),(2),(3)を余因子といいますが、さらに次のように表記を変えます。

  \(=a_{11} \overbrace{det(A_{11})}^{(1)'} +a_{21} \overbrace{det(A_{21})}^{(2)'}\) \(+a_{31} \overbrace{det(A_{31})}^{(3)'} \)

  \(=a_{11} \overbrace{\ \tilde{a}_{\ 1\ 1\ }}^{(1)''} +a_{21} \overbrace{\ \tilde{a}_{\ 2\ 1\ }}^{(2)''} +a_{31}\overbrace{\ \tilde{a}_{\ 3\ 1\ }}^{(3)''}\)


 \((1)=\quad det(A_{11})=\tilde{a}_{11}\)
 \((2)=- det(A_{21})=\tilde{a}_{21}\)
 \((3)=\quad det(A_{31})=\tilde{a}_{31}\)

\(\color{red}{\tilde{\ a\ }_{\ i\ j} }:\) 行列 A の\((\ i,j\ )\)余因子といいます。
「 a チルダ」と呼び、 行列式の第 i 行と第 j 列を除いた2次行列式の値です。

例えば、 \(\tilde{\ a\ }_{\ 3\ 1}\)(\(=(3)''\)) は上式の \((3)\)(\( =(3)' \)) のことです。

下式は余因子の一般式です。
  \(\underline{ \tilde{\ a\ }_{\ i\ j}= (-1)^{i+j} \ det(\ A_{\ i\ j}) }\)
  上式の符号部の \((-1)^{i+j}\) のイメージ図。

   \( \begin{pmatrix} + & - & +\\ - & + & -\\ + & - & + \end{pmatrix} \)

次に行列Aの\((i,j)\) の余因子 \(\tilde{a}_{i j}\) を使い、\(\ j\ \)列 による(沿った)展開から \(det(A)\) を表す。
  \(\color{red}{ det(A)= \displaystyle \sum_{ i = 1 }^{ n } a_{i\ j}\ \tilde{a}_{i\ j} }\)

これを\(\ j\ \)列による余因子展開という。

上の例は1 列(※1)による展開をしています。
  \( det(A)=a_{1\ \color{red}{1}} \tilde{a}_{1\ \color{red}{1}}\) \( + a_{2\ \color{red}{1}} \tilde{a}_{2\ \color{red}{1}}\) \( + a_{3\ \color{red}{1}} \tilde{a}_{3\ \color{red}{1}}\)

注(※1):行を動かしいるので、「行による展開」と思われがちですが、「0」の成分の位置は「第1 列」です。


今までの列による余因子展開と同様にして、行による余因子展開があります。
下式は i 行による余因子展開です。

  \(\color{red}{ det(A)= \displaystyle \sum_{ j = 1 }^{ n } a_{i\ j}\ \tilde{a}_{i\ j} }\)

以下に第1 行による展開を示します。
  \( det(A)=a_{\color{red}{1} \ 1}\tilde{a}_{\color{red}{1}\ 1} \) \( + a_{\color{red}{1}\ 2} \tilde{a}_{\color{red}{1}\ 2}\) \( + a_{\color{red}{1}\ 3} \tilde{a}_{\color{red}{1}\ 3}\)


2.余因子行列による逆行列

 はじめに行列 A の余因子行列による逆行列の式を定義します。
  \( A^{-1}=\) \( \frac{1}{| A |} \tilde{ A } \)

これから、この式の導出をおこないます。
暫く辛抱してついて来て下さい!


次の行列A に対して:

\(A = \begin{pmatrix} a_{1\ 1} & a_{1\ 2} & a_{1\ 3}\\ a_{2\ 1} & a_{2\ 2} & a_{2\ 3}\\ a_{3\ 1} & a_{3\ 2} & a_{3\ 3} \end{pmatrix} \)

行列 A の1 列目を2 列目と同じにした行列 B を用意します。
(列の入れ替え)
\(B = \begin{pmatrix} \color{red}{a_{1\ 2}} & a_{1\ 2} & a_{1\ 3}\\ \color{red}{a_{2\ 2}} & a_{2\ 2} & a_{2\ 3}\\ \color{red}{a_{3\ 2}} & a_{3\ 2} & a_{3\ 3} \end{pmatrix} \) \(=0\)


行列 A 、B の第1列による余因子展開は:
 ・❶ \( det(A)=a_{11} \tilde{a}_{11}\) \( + a_{21} \tilde{a}_{21}\) \( + a_{31} \tilde{a}_{31}\)

 ・❷ \(det(B)=\color{red}{a_{12}} \tilde{b}_{11}\) \(+ \color{red}{a_{22}} \tilde{b}_{21}\) \(+ \color{red}{a_{32}} \tilde{b}_{31}\) \(\ = 0 \)

ここで\(\underline{ \tilde{b}_{ij} }\)について説明します。
行列 B の行列 A との違いは 1 列目だけ、第2列と第3列は同じなので行列A、B の第 1 列による余因子は同じです。
すなわち;
 ・❸ \(\tilde{a}_{11}= \tilde{b}_{11}\) \(,\tilde{a}_{21}= \tilde{b}_{21}\) \(,\tilde{a}_{31}= \tilde{b}_{31}\)

よって、 \( \tilde{a}_{i 1}= \underline{ \tilde{b}_{i 1}} \) です。

これより、式❷は以下のように表せる
 ・❹ \(a_{12} \tilde{a}_{11}\) \( + a_{22} \tilde{a}_{21}\) \( + a_{32} \tilde{a}_{31}\) \(=0\)


式❹は、行列Aの第2列の成分と列による余因子の積の和です。
下の2つの行列に朱記で表示しました。
2番目の行列は行列A の( i, j )成分に対しての余因子の行列です。

  \(A = \begin{pmatrix} a_{1\ 1} & \color{red}{a_{1\ 2}} & a_{1\ 3}\\ a_{2\ 1} & \color{red}{a_{2\ 2}} & a_{2\ 3}\\ a_{3\ 1} & \color{red}{a_{3\ 2}} & a_{3\ 3} \end{pmatrix} \)

  \(\tilde{A} = \begin{pmatrix} \color{red}{\tilde{a}_{11}} & \tilde{a}_{12} & a_{13}\\ \color{red}{\tilde{a}_{21}} & \tilde{a}_{22} & a_{23}\\ \color{red}{\tilde{a}_{31}} & \tilde{a}_{32} & a_{33} \end{pmatrix} \) (※a)


さて式 ❹ は 行列\(A\) の第2列、行列 \(\tilde{A}\) の第1列の積とその和です。
式 ❹ のように「積の和」となるような演算の場合は:
 [行ベクトル]x[列ベクトル]形…すなわち下のような形です。
 ・❺ \( \begin{pmatrix} \tilde{a}_{11},&\tilde{a}_{21},&\tilde{a}_{31} \end{pmatrix} \) \( \begin{pmatrix} a_{12} \\ a_{22} \\ a_{32} \end{pmatrix} \) \(=a_{12} \tilde{a}_{11}\) \( + a_{22} \tilde{a}_{21}\) \( + a_{32} \tilde{a}_{31}\) \(=0\)

この式が「0」になるとは、どんなことか、はじめに戻ると:
行列 A の 第 1 列( i )第 2 列( j )と同じ (列の入れ替え)にした式を展開した結果でした。…このことを念頭(※2)において下さい。

この行列演算の実現のために、「行列の積の性質」から余因子行列の転置行列を用意すれば解決できます。
転置行列は\({}^{t}\tilde{A}\)と表します。

解決の前に 式❺を一般化しておきます。(それが式❻です。)
  \(A=a_{ij}\) 、その第\((i,j)\) 余因子を \(\tilde{a}_{ij} \) とします。

・❻ \( \begin{pmatrix} \tilde{a}_{1i},&\tilde{a}_{2i},&\tilde{a}_{3i} \end{pmatrix} \) \( \begin{pmatrix} a_{1j} \\ a_{2j} \\ a_{3j} \end{pmatrix} \) \(=a_{1j} \tilde{a}_{1i}\) \( + a_{2j} \tilde{a}_{2i}\) \( + a_{3j} \tilde{a}_{3i}\) \(=0\)

 注:上記は\( i\neq j\)のときの結果。
   \( i=j\)のときの結果は\(det(A)\)です。


これから解決として上式を3次正方行列の積に展開します。
 式❻も列の置き換えによる式であることを留め置いて下さい。
例えば式❺は「第列と第 列が同じ」の時のA の行列式の値は、下の式❼の行列の積の結果では(1、2)成分となります。
 式❼の朱記部(1行と2列)の❼の演算結果は(1、2)成分になる。

・❼ \({}^{t}\tilde{A} A\) \(= \begin{pmatrix} \color{red}{\tilde{a}_{11}} &\color{red}{\tilde{a}_{21}} &\color{red}{\tilde{a}_{31}}\\ \tilde{a}_{12} &\tilde{a}_{22} &\tilde{a}_{32}\\ \tilde{a}_{13} &\tilde{a}_{23} &\tilde{a}_{33} \end{pmatrix} \) \( \begin{pmatrix} a_{11} & \color{red}{a_{12}} & a_{13}\\ a_{21} & \color{red}{a_{22}} & a_{23}\\ a_{31} & \color{red}{a_{32}} & a_{33} \end{pmatrix} \)

式❼は式❻を「行列の積」に形にしたものです。

ここで \({}^{t}\tilde{A}\) を余因子行列といます。
 ・上記の行列式(※a)を転置した行列。
 ・または行列A の(i、j)成分の余因子を(j 、i)成分として並べた行列。

 \({}^{t}\tilde{A}\) \( \Longrightarrow \color{red}{ \tilde{A} }\)
これから単に \(\tilde{A}\) と表します。

念頭(※2)から式❼の結果の行列の各成分は:
\(i \neq j \) のときは「0」です。
\(i = j \) のときは\(det(A)\) です。

式❻、❼の演算を部分的に実際に演算してみましょう!
積の演算結果(3,1)成分と(3,3)成分を求めます。
(3,1)成分:被演算成分の添字
 \(\tilde{a}\)の添字:(13)(23)(33)
 \(a\)の添字:(11)(21)(31)
 列の添字が異なる。⇒\(0\)
以下に計算します。
\( \begin{pmatrix} \tilde{a}_{13},&\tilde{a}_{23},&\tilde{a}_{33} \end{pmatrix} \) \( \begin{pmatrix} a_{11} \\ a_{21} \\ a_{31} \end{pmatrix} \) \(=a_{11} \tilde{a}_{13}\) \( + a_{21} \tilde{a}_{23}\) \( + a_{31} \tilde{a}_{33}\) \(=0\)


(3,3)成分:被演算成分の添字
 \(\tilde{a}\)の添字:(13)(23)(33)
 \(a\)の添字:(13)(23)(33)
 列の添字が同じ⇒\(det(A)\)
以下に計算します。
\( \begin{pmatrix} \tilde{a}_{13},&\tilde{a}_{23},&\tilde{a}_{33} \end{pmatrix} \) \( \begin{pmatrix} a_{13} \\ a_{23} \\ a_{33} \end{pmatrix} \) \(=a_{13} \tilde{a}_{13}\) \( + a_{23} \tilde{a}_{23}\) \( + a_{33} \tilde{a}_{33}\)
\(= {a_{13}} \begin{vmatrix} a_{21} & a_{22}\\ a_{31} & a_{32} \end{vmatrix} \) \(- {a_{23}} \begin{vmatrix} a_{11} & a_{12}\\ a_{31} & a_{32} \end{vmatrix} \) \(+ {a_{33}} \begin{vmatrix} a_{11} & a_{12}\\ a_{21} & a_{22} \end{vmatrix} \) \(=det(A)\)

部分的ですが式❻、❼の成立について確認しました。
これまで回りくどい説明でしたが、 以上から次の式が成り立ちます。
(注意:下式は「行列の積」の式です。…行列式ではありません!)
\(\tilde{A} A\) \(= \begin{pmatrix} det(A) & 0 & 0\\ 0 & det(A) & 0\\ 0 & 0 & det(A) \end{pmatrix} \) \(=det(A) \begin{pmatrix} 1 & 0 & 0\\ 0 & 1 & 0\\ 0 & 0 & 1 \end{pmatrix} \) \(=det(A) I\)


\(\tilde{A} A\) \(=det(A) I\)

また、これまでは列による余因子展開により上式を求めたが、同様なことを「行による余因子展開」により下式が求まる。

\(A \tilde{A}\) \(=det(A) I\)

これより
・❽ \( \tilde{A} A\) \(= A \tilde{A}\) \(=det(A) I\)

行列A が正則ならば \(det(A)\neq0\) であるから、式❽を以下のように変形する。

\( \underline{( \frac{1}{det(A)} \tilde{A})} A\) \(= A \underline{(\frac{1}{det(A)} \tilde{A})}\) \(= I\)

上式は下線部がA の逆行列あることを示しています。

(正則行列を参照)
  \( XA=AX=I\) なら \(X\) はAの逆行列。

これより
\( \underline{ A^{-1}= \frac{1}{det(A)} \tilde{ A }} \) \(\underline{ = \frac{1}{| A |} \tilde{ A }} \)

となり余因子行列による逆行列の式が導出できました。


例題1
次の行列式の逆行列を求めよ。
\(A= \begin{pmatrix} a_{11} & a_{12} & a_{13}\\ a_{21} & a_{22} & a_{23}\\ a_{31} & a_{32} & a_{33} \end{pmatrix} \)


\( A^{-1}=\frac{1}{| A |} \tilde{ A } \)

\(=\frac{1}{| A |}\) \( \begin{pmatrix} \tilde{a}_{11} &\tilde{a}_{21} &\tilde{a}_{31}\\ \tilde{a}_{12} &\tilde{a}_{22} &\tilde{a}_{32}\\ \tilde{a}_{13} &\tilde{a}_{23} &\tilde{a}_{33} \end{pmatrix} \)

これからの計算のために、 余因子行列の中の余因子を以下に展開しておく。
\(\tilde{a}_{11}=det(A_{11})=\quad (a_{22} a_{33}-a_{23} a_{32}) \)
\(\tilde{a}_{21}=det(A_{21})=-(a_{12} a_{33}-a_{13} a_{32})\)
\(\tilde{a}_{31}=det(A_{31})=\quad (a_{12} a_{23}-a_{13} a_{22}) \)
\(\tilde{a}_{12}=det(A_{12})=-(a_{21} a_{33}-a_{23} a_{31}) \)
\(\tilde{a}_{22}=det(A_{22})=\quad (a_{11} a_{33}-a_{13} a_{31}) \)
\(\tilde{a}_{32}=det(A_{32})=-(a_{11} a_{23}-a_{13} a_{21}) \)
\(\tilde{a}_{13}=det(A_{13})=\quad (a_{21} a_{32}-a_{22} a_{31}) \)
\(\tilde{a}_{23}=det(A_{23})=-(a_{11} a_{32}-a_{12} a_{31}) \)
\(\tilde{a}_{33}=det(A_{33})=\quad (a_{11} a_{22}-a_{12} a_{21}) \)

また行列式|A|も展開でしておく。
  \(|A|\) \(=a_{11}det(A_{11})+a_{21}det(A_{21})+a_{31}det(A_{31})\)

\(= a_{11}(a_{22} a_{33}-a_{23} a_{32}) \) \(+a_{21}-(a_{12} a_{33}-a_{13} a_{32})\) \(+a_{31}(a_{12} a_{23}-a_{13} a_{22})\)

例題2
次の行列式の逆行列を求めよ。
\(A= \begin{pmatrix} 1& 2 & -1\\ 1& -1& 1\\ 0& -2& 1 \end{pmatrix} \)


はじめに余因子を求めておきます。(例題1の式を用いる)
\(\tilde{a}_{11}=1\) \(,\ \tilde{a}_{21}=0\) \(,\ \tilde{a}_{31}=1 \)
\(\tilde{a}_{12}=-1\) \(,\ \tilde{a}_{22}=1\) \(,\ \tilde{a}_{32}=-2 \)
\(\tilde{a}_{13}=-2 \) \(,\ \tilde{a}_{23}=2 \) \(,\ \tilde{a}_{33}=-3\)
行列式|A|を求める。
\(|A|\) \(=a_{11} \tilde{a}_{11}+a_{21}\tilde{a}_{21}+a_{31}\tilde{a}_{31}\)

\(=1\cdot(1)+1\cdot(0)+0\cdot(1)\)\(=1\)
以上から逆行列が求まる。
\( A^{-1}=\frac{1}{| A |}\) \( \begin{pmatrix} \tilde{a}_{11} &\tilde{a}_{21} &\tilde{a}_{31}\\ \tilde{a}_{12} &\tilde{a}_{22} &\tilde{a}_{32}\\ \tilde{a}_{13} &\tilde{a}_{23} &\tilde{a}_{33} \end{pmatrix} \)

\(\quad =\frac{1}{1}\) \( \begin{pmatrix} 1 & 0 & 1 \\ -1 & 1 & -2 \\ -2 & 2 & -3 \end{pmatrix} \) \(= \begin{pmatrix} 1 & 0 & 1 \\ -1 & 1 & -2 \\ -2 & 2 & -3 \end{pmatrix} \)
この例題は前の「行列の基本行列と階数」の講義の例題と同じです。
この時は掃き出し法で求めました。
今回は長丁場でした。

coffe

[コーヒーブレイク/閑話]…お疲れさまでした

 表計算ソフトExcel に行列に関連する関数があるので、ご紹介します。
はじめからソフトを使うのはお薦めしませんが、自分で解いた答えの確認、沢山の行列関係式を求めて解析すようなときは是非使ってみてください。
(3次正方行列を前提に説明します)
1.MDETERM関数はセルに書かれたマトリックスの行列式を計算します。
 「=MDETERM(A1:C3)」:
①セルA1からC3(9個)に中にデータ(行列の成分)を入力します。
②使用していないセルに「=MDETERM(A1:C3)」入力すれば答えが返ってきます。

2.MINVERSE関数はセルに書かれたマトリックスの逆行列を計算します。
 「=MINVERSE(D1:F3)」
①セルA1からC3(9個)の中にデータを入力します。
②使用していないセル、例えばD1からF3(9個)のセルに「=MINVERSE(D1:F3)」を入力すると各セルに逆行列の成分が返ってきます。
注:関数を入力するセルは3x3の連続した配列にする。