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湘南理工学舎
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2021/10/11
2021/01/08

 楽しく学ぶ…微分積分
 極大・極小とグラフ
 (local maximum ・local minimum and curve diagram )

 --目 次--
この図をイメージしていれば極値が解ける
極大・極小の定義
極大・極小・変曲点を求める手順
グラフ上の極大・極小・変曲点の例
例題(極値とグラフ)
 ∗\(f(x)=x^2-4x+19 \) 
 ∗\(f(x)=x^3-12x+5 \)
 ∗\(f(x)=x \frac{1}{e^{2x^2}} \)
極大・極小などに関する定理 
微分と速度・加速度(閑話)

1.この図をイメージしていれば極値が解ける…

 下の図を見ながら読んで下さい。
接線(微分係数)⇒ 関数の1回微分
接線の変化の割合い⇒関数の2階微分

  
接線と曲線
【fig1】
(左:上に凸な曲線)  (右:下に凸な曲線) 
  黒線=曲線、赤線=接線、青線=水平な接線

曲線の凹凸(fig1)の説明
❶左側は上に凸な曲線…極大値がある。
頂点を挟んで接線の傾きは:「左側は正↑」「右側は負↓」
上に凸な区間では2回微分の符号は「ー」です。

接線の傾きは減少傾向(正の領域)、頂点(極大)でゼロ(※1)に達する。
(※1 頂点で微分係数(1回微分)が「0」)
頂点から右側は接線の傾きは減少傾向(負方向に増大)

❷右側は下に凸な曲線…極小値がある。
頂点を挟んで接線の傾きは:「左側は負↓」「右側は正↑」
下に凸な区間では2回微分の符号は「+」です。

接線の傾きは増加傾向(負が減少)頂点(極小)でゼロ(※1)に達する。
(※1 微分係数(1回微分)が「0」)
頂点から右側は接線の傾きは増加傾向(正方向に増大)


2.極大・極小の定義 
以下が定義です、はじめはチョット不思議に思うが、極大・極小はミクロ的な概念です。
(最大値・最小値はマクロ的な概念)
\(x=a\) 近傍において関数\(f(x)\)は連続とする。
(微分可能とはいっていないことに注意する。)(※1)

\(0\lt |x-a|\lt ε\) のとき、\(f(a)\gt f(x)\)のとき
  (x が a の近傍で\( f(a)\gt f(x)\)のとき )
・\(f(a)\)は\(x=a\) で極大、\(f(a)\)を極大値、\(x=a\)を極大点という。

\(0\lt |x-a|\lt ε\) のとき、\(f(a)\lt f(x)\)のとき
  (x が a の近傍で\( f(a)\lt f(x)\)のとき )
・\(f(a)\)は\(x=a\) で極小、\(f(a)\)を極小値、\(x=a\)を極小点という。

極値とは極大値、極小値を総称、極点(または極値点)とは極大点、極小点を総称。
・\(f'(a)=0\)となる点\(a\) を停留点(または臨界点)という。極値の極点は停留点である。
・変曲点は\(f''(a)=0\)となる点で、その点の前後で\(f''(x)\)の正負の符号が変化する点である。
変曲点の前後では、接線傾きの変化が「正から負」または「負から正」に変わる。

(※1)
下図の関数は\(x=0\)において微分可能ではないが\(x=0\)において極小である。
(同様に\(y=|x^2-1|\)も尖がっている極小値を持っている)

\(y=x * e^(-2x^2)\) \(y=|x|\)のグラフ
   
 
 
 

3.極大・極小・変曲点を求める手順
与式の関数 f(x)とし、以下で求めたものを下表に記入する。
➀ 関数 f(x) の1回微分 f '(x) を求める。
② f '(x)= 0 なる x= a を求める。 f (a)は極値の候補である。
③ a の前後のf'(-a)、f'(+a) の極性(正負)を調べる。
④ 関数の2回微分 f ''(x)を求める。
f ''(x)=0 ときは変曲点になりうることに注目しよう!)
⑤調べたことを以下の増減表に記入して極値を見極める。

 増減表のサンプル
\( \begin{array}{c|c|c|c|c|c|c|c} \hline x &\cdots& a_1 &\cdots& a_2 &\cdots& a_3 &\cdots \\ \hline f'(x) & + & 0 & – & 0 & - & 0 & + \\ \hline f(x) &\nearrow&極大&\searrow&変曲&\searrow&極小&\nearrow \\ \hline f''(x) & - & - & – & 0 & + & + & + \\ \hline \end{array} \)

\(f''(x)=0\) の前後で f '' の符号が変っていれば変曲点である。
変曲点とは\(f''(x)=0\)となる点で、その点の前後で\(f''(x)\)の正負の符号が変化する点である。
変曲点の前後では、接線傾きの変化が「正から負」または「負から正」に変わる。
(上に凸な曲線、下に凸曲線が入れ替わる点である)

4.グラフ上の極大・極小・変曲点の例
図を見て、P5 の変曲点であることは見つけるのは難しいですね!
上記の方法(2回微分を使う)により変曲点を見つけます。
1/x の極限
  【fig2】  


さっそく、次の関数の極値を調べて、関数の概形のグラフを書いてみよう。

5.例 題 

例題1
\(y=f(x)=x^2-4x+19 \) の極値を調べる。
\(f'(x)=2x-4\) 
\(f'(x)=0\) \( \rightarrow x=2\)
\(f(2)=4-8+19=15 \) 
これらを増減表に書き込む。

\( \begin{array}{c|c|c|c} \hline x & \cdots & 2 & \cdots \\ \hline f’(x) & - & 0 & + \\ \hline f(x) & \searrow & 15 & \nearrow \\ \hline \end{array} \)

以上から:
与式の関数は下に凸の関数
x=2で極小、極小値=15 
このグラフは極小値=最小値

放物線
【fig3】
右が例題1の曲線(図中の式のa=1)

この例題は\( ax^2\)の式の形から「上に凸、単調増加な関数」であり極小値(最小値)が1つであり、2回微分を使わなくても済みます。
また以下のように式変形した「平方完成の式」から以下のように曲線の形状が判ります。
(参考)与式を平方完成【参照先】すると:
\(x^2-4x+19 \) \(=(x-2)^2+15\)
\(x^2\)のグラフの最小の位置(0,0)に対しオフセットが(2,15)です。
これはグラフの極点は(2,15) であることを示している 

例題2
\(y=f(x)=x^3-12x+5 \) の極値を調べる。
一回微分(微分係数)を求める
\(f'(x)=3x^2-12=3(x^2-4)=3(x+2)(x-2)\)

\( f'(x)=0 \) に対し \( x=-2, \ x=2 \) …極値候補の位置

\(f(-2)=21 ,\) \(\ f(2)=-11\) …極小、極大の候補

二回微分を求める (変曲点などの解析)

\(f''(x)=6x\)

\( f''(x)=0 \) に対し \( x=0 \) …変曲点候補の位置

\( f(0)=5 \) …変曲点候補の値
❶ \(f(x)=x^3-12x+5 \)
❷  \(f'(x)=3(x^2-4)\)
❸ \(f''(x)=6x\)
各極値候補 x=-2, 0, 2 の前後に対し、式 ❷、❸ の「正か負」を調べる。
(例えばx=2に対し x<2, x>2 のときの極性を調べる)
\( \begin{array}{c|c|c|c|c|c|c|c} \hline x & \cdots & -2 & \cdots & 0 & \cdots & 2 & \cdots \\ \hline f'(x) & + & 0 & - & - & + & + & + \\ \hline f''(x) & - & - & - & 0 & + & + & + \\ \hline f(x) & \nearrow & 極大 & \searrow & 変曲点 & \searrow & 極小 & \nearrow \\ \hline \end{array} \)

f ' , f '' の符号、変化の状況の結果から、上述した候補通り、極大、極小、変曲点となりました。
すなわち 極大点=(-2,21), 極小点=(2,-11), 変曲点=(0,5)
  特に変曲点候補の前後ではf 'の符号(接線の傾き)が変ったので変曲点と判断できる。

\(y=f(x)=x^3-12x+5 \)
【fig4】 \(f(x)=x^3-12x+5 \)
 (-2,21)=極大, (2,-11)=極小, (0,5)変曲点
 


例題3
\( y=f(x)=x \frac{1}{e^{2x^2}} \) の増減表からグラフの概形描け。

(但し描く範囲は x≤0 (負の領域) とします)

与式を \( f(x)=x e^{-2x^2}\) の形に変形しておきます。
(以下の微分は「積の微分公式」を使う。)
一回微分(微分係数)を求める
\( f'(x)=(x e^{-2x^2})'\) \(=1\cdot e^{-2x^2} + x\cdot (-4x) e^{-2x^2}\) \(=(1-4x^2)e^{-2x^2}\)

\(=(1+2x)(1-2x) e^{-2x^2}\)

\( f'(x)=0 \) のとき \( \underline{x=-\frac{1}{2}} ,\ x=\frac{1}{2} \) …極値候補の位置

\( f(\underline{-\frac{1}{2}} )=-\frac{1}{2} e^{-2 ( \frac{1}{2})^2} \) \( = -\frac{1}{2} e^{-\frac{1}{2} } \)

\( =-\frac{1}{\sqrt{e}}\) …極小値の候補
   
二回微分を求める (変曲点などの解析)
簡易表示のため、式の展開中、\(u=e^{-2x^2}\)としています。

\( f''(x)=(x u)''\)\(= ((x u)')'\) \(=( (1-4x^2)e^{-2x^2} )'\) \(=( (1-4x^2)u )'\)

\(=(1-4x^2)'u + (1-4x^2) u'\)

\(=-8x u + (1-4x^2)(-4x) u \) \(=(-8x-4x+16x^3)u\) \(=4x(4x^2-3)u\) \(=4x(4x^2-3)e^{-2x^2}\)

\(=4x(2x+\sqrt{3})(2x-\sqrt{3})e^{-2x^2}\)

\( f''(x)=0 \) に対し \( x=\underline{ -\frac{\sqrt{3}}{2} }, \ 0 , \ \frac{\sqrt{3}}{2} \) …変曲点候補の位置

\( f(\underline{ -\frac{\sqrt{3}}{2} })= -\frac{\sqrt{3}}{2} e^{-2 (-\frac{\sqrt{3}}{2})^2 } \)

\(= -\frac{\sqrt{3}}{2} e^{-\frac{3}{2} } \) \(= -\frac{\sqrt{3}}{2 e \sqrt{e} } \) …変曲点候補の値


\(\underline{ f(x)=x \frac{1}{e^{2x^2}} }\) のイメージ

x=0 のとき y=0 
f(x) の符号はx で決まる。
分母は eの\(x^2\)乗の指数関数なので:
分母は分子より高位の無限大(分母が早く無限大にいく)
\(\therefore x→-∞ \quad y → 0\)
(+∞も同じだが、今回の領域外)

増減表を作る
❶ \(f(x)=x \frac{1}{e^{2x^2}} \)

❷ \(f'(x)=(1-4x^2) \frac{1}{e^{2x^2}}\)

❸ \(f''(x)=4x(4x^2-3) \frac{1}{e^{2x^2}}\)
   
各極値候補 x=p1, p2, p3 の前後に対し、式 ❷、❸ の「正か負」を調べる。
(例えばx=p1に対し x<p1, x>p1 のときの極性を調べる)
\( \begin{array}{c|c|c|c|c|c|c|c} \hline & & p1 & & p2 & & p3 & \\ x & \cdots & -\frac{\sqrt{3}}{2} & \cdots & -\frac{1}{2} & \cdots & 0 & \cdots \\ \hline f'(x) & - & - & - & 0 & + & + & + \\ \hline f''(x) & - & 0 & + & + & + & 0 & - \\ \hline f(x) & \nearrow & 変曲 & \searrow & 極小 & \nearrow & 変曲 & \nearrow \\ \hline \end{array} \)

\(y=x * e^(-2x^2)\)
【fig5】 \(f(x)=x \frac{1}{e^{2x^2}} \)
 
               

6.極大・極小などに関する定理 
 最後に関数の極小、極大に関した定理を記載します。
今までの説明と例題から理解できる筈です。
以下の定理は関数 f(x) 実数の開区間 I (a,b) において微分可能とします。
定理1:極値の候補
微分係数 f '(a)=0 となる x=a の点は極値の候補となる。

定理2:関数の増減
(ⅰ) f '(a)>0 ならば、f(x)は区間 I で狭義の単調増加(※)である。
(ⅱ) f '(a)<0 ならば、f(x)は区間 I で狭義の単調減少(※)である。
これより関数の1回微分により\(a\)近傍での関数の増加・減少が分かる。
(※)【参照先】

定理3:極大と極小の判定
定理1 の続き、f '(a)=0 のとき:
(ⅰ)極大
 x <a のとき f '(x)>0、 また x>a のとき f '(x)<0  ならば:
f(x) は x=a で極大値である。 (このとき f '' の符号は負) 

(ⅱ)極小
 x<a のとき f '(x)<0、 また x>a のとき f '(x)>0 ならば:
f(x)は x=a で極小値である。 (このとき f '' の符号は正)     

変曲点:
\(f''(a)=0\)となる点\(a\)で、その点の前後で\(f''(x)\)の正負の符号が変化する点である。

coffe

[コーヒーブレイク/閑話]

距離\(ℓ\)を時間\(t\)で微分と速度\(v\)が得られる。
 \(f'(t)=v(t)=\frac{dℓ}{dt}\)
速度\(v\)を時間\(t\)で微分すると加速度\(α\)が得られる。
 \(f''(t)=α(t)=\frac{dv}{dt}=\frac{d}{dt}(\frac{dℓ}{dt})=(\frac{dℓ}{dt})''\)
加速とは:\(v(t)\)が増加。  減速とは\(v(t)\)が減少とする。

横軸を時間t、縦軸を距離ℓ とすると、曲線は以下のようになる。
加速の減少と減速の増加→\(f''(t)\lt 0\)→ 上に凸の曲線
減速の減少と加速の増加→\(f''(t)\gt 0\)→ 下に凸の曲線