楽しく学ぶ…統計力学
等重率の原理
ボルツマンの関係式と並ぶ, 統計力学の2大原理。
等重率の原理 誤解しやすい解説が多い。
「
等エネルギー面上のすべての可能な微視的状態が同じ確率で実現される」が間違いの少ない表現か?
1つの粒子がとることのできるエネルギーが\(~\pm\varepsilon~\)に限定される単純な2準位系で, 3個の粒子\(~\rm A,\rm B,\rm C~\)からなる系を考えて見よう。
この系のエネルギーが\(+\varepsilon~\)とすると, その組み合わせは図の3通りである。そしてこの三つの微視的状態の出現確率は等しく\(~1/3~\)である。というのが等重率あるいは等確率の原理である。
「実現しやすい状態」や「実現しにくい状態」といった, 特別な状態は存在しないということである。
系のエネルギーが\(\bm{+\varepsilon}\)で同じというのが重要である。
A. 等重率の原理
ギブス流儀の定義は「リウヴィウの定理によって\(~\Gamma~\)(ガンマ)空間の代表点の雲は‥‥それらに等しいア・プリオリ確率を与え‥‥」と非常に難しいものである。しかし上記の\(~1/3~\)で困ることは無い。
改めて言葉で表現すると「
同じエネルギーを持つ微視的状態の出現確率は等しい」である。時折この
同じエネルギーを持つが抜けている説明に出会う。
よくある誤解(1)
以下の説明が時折見られる。最初にこの説明に出会うと, もやもやが当分続く。
1つの粒子の状態数が2つであるから, エネルギー準位の組合せは\(~2^3=8~\)通りである。
B. 状態数
3個の粒子が全て\(+\varepsilon~\)の値を取った時, 全系のエネルギーは\(+3\varepsilon~\)である。全て\(-\varepsilon~\)の時, 全系のエネルギーは\(-3\varepsilon~\)である。その他も同様である。
「この系を観測したとき, この8通りの各状態が見出される確率は全て等しく\(~1/8~\)である。これを等重率あるいは等確率の原理と呼ぶ。」というものである。更に次の説明が加わることもある。
「全て等しいとは言っても, エネルギーが\(+3\varepsilon~\)の場合は正真正銘1通り, \(-\varepsilon~\)の場合は3通りだから, エネルギーが\(+3\varepsilon~\)と観測される確率は\(~1/8~\), \(-\varepsilon~\)と観測される確率は\(~3/8~\)である。」
以上が時折見られる説明である。実際は, エネルギーが異なればその状態の出現確率は異なり, 高いエネルギーの微視的状態数は指数関数的に減少する。
よくある誤解(2) 等重率の原理はミクロカノニカルアンサンブル専用ではない。
「この等確率で観測されるという微視的状態の集合をミクロカノニカルアンサンブルと呼ぶ.」といった記述が時折見られる。日本語の曖昧さもあるが, 等重率の説明の直後にミクロカノニカルアンサンブルを取り上げる場合が多いのが一因かもしれない。
等重率の原理は全てのアンサンブルに適用されるものである。
正準集団の方法(カノニカルアンサンブル)の例ですぐに出会うだろう。