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湘南理工学舎
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2023/03/25

 楽しく学ぶ…微分積分
 ベータ関数/ 広義積分  (beta function)
 --目 次--
はじめに  ♦ベータ関数の定義
ガンマ関数の性質  ♦定義の証明
性質の証明  ♦例題
1/6公式とベータ関数  ♦第一種オイラー積分
第一種オイラー積分から導出できる式

はじめに
  ガンマ関数とベータ関数は広義積分の応用した特殊関数です、前回のガンマ関数につづき、今回はベータ関数を学びます。
・ベータ関数はさまざまな式で表わせる。
・複雑な積分計算が階乗計算できることがある。
・ベータ関数はガンマ関数で表わせられるなど、お互いに関わりがある。
・ベータ関数は第一種オイラー積分、ガンマ関数は第二種オイラー積分と呼ばれている。
・ベータ関数は特に統計や確率などで活躍している。
(本文での広義積分が収束する存在するは同意です。)
ベータ関数の定義  

実数 \(p, q\gt0\) に対し、次のベータ関数が定義される。
 \(B(p,q)=\displaystyle\int_0^{1}x^{p-1}(1-x)^{q-1}dx\)\(\ :❶\)

ベータ関数の性質  

1)ベータ関数の対称性
任意の変数の\(p と q\) 入れ換えても不変
 \(B(p,q)=B(q,p)\) \(\ :❷\)

2)ベータ関数は三角関数の積分で表せる
 \(B(p,q)=2 \displaystyle \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} sin^{2p-1}θ\ cos^{2q-1}θ dθ\) \(\ :❸\)

3)ガンマ関数との関係
 \(B(p,q)=\dsfr{Γ(p)Γ(q)}{Γ(p+q)}\) \(\ :❹\)

4)式❶と「+1」異なるベータ関数1
 \(B(p,q+1)=\dsfr{q}{p} B(p+1,q)\)\(\ :❺\)

 \(B(p+1,q)=\dsfr{p}{q} B(p,q+1)\)\(\ :❺'\)

5)式❶と「+1」異なるベータ関数2
 \(B(p,q+1)=\dsfr{q}{p+q} B(p,q)\)\(\ :❻\)

 \(B(p+1,q)=\dsfr{p}{p+q} B(p,q)\)\(\ :❻'\)

6)式❶を1回積分すると
 \(B(p,q)=\dsfr{q-1}{p} B(p+1,q-1)\)\(\ :❼\)

7)式❶を\((n-1)\)回積分すると(m,nは正の整数)
 \(B(m,n)=\dsfr{(m-1)!(n-1)!}{(m+n-1)!}\)\(\ :❽\)

8)\(\frac{1}{6}\)公式 (面積S fig1参照)
 \(S=|-a|\displaystyle \int_α^β (x-α)(x-β)dx\)\(=\frac{1}{6}|a|(β-α)^3\) \(:❾\)

9)第一種オイラー積分公式
 \(\displaystyle\int_α^{β} (x-α)^m\ul{(x-β)}^n dx\)\(=\dsfr{\color{red}{(-1)^n} m! n!}{m+n+1}(β-α)^{m+n+1}\)\(:❿\)
 \(\displaystyle\int_α^{β} (x-α)^m \ul{(β-x)}^n dx\)\(=\dsfr{m! n!}{m+n+1}(β-α)^{m+n+1}\)\(:❿'\)
定義式❶の収束の証明
\(p, q\gt0\) に対し(ベータ関数はp,q の2変数関数)

変数、積分範囲などは異なるが、ガンマ関数の積分式形に似ています。
\(Γ(t)= \int_0^{\infty} x^{t-1}e^{-x}dx\)

\(B(p,q)=\displaystyle\int_0^{1}x^{p-1}(1-x)^{q-1}dx\) \(=\underbrace{ \displaystyle\int_0^{\frac{1}{2}} x^{p-1}(1-x)^{q-1}dx}_{ⓐ}\) \(+\underbrace{\displaystyle\int_{\frac{1}{2}}^1 x^{p-1}(1-x)^{q-1}}_{ⓑ}dx\)

以下を参考にしていきます。
・優関数の定理を利用する。【参照先】
・注:\(p,q\) は積分に関しては定数である。
・\(p, q \ge1\) のときは普通の積分です。(∵被積分関数が分母にならない)

以下のⓐとⓑは \(\ul{0\lt p\lt 1}\) , \(\ul{0\lt q\lt 1}\) のときです。

\(=\int_0^{\frac{1}{2}} f(x)dx\)\(=\int_0^{\frac{1}{2}} x^{p-1}(1-x)^{q-1}dx\)について
・\(x^{p-1}\)は広義積分を使います。

\(x\)の項が分母に、かつ積分領域 0 の近くで \(x^{p-1}\)が\(\infty\)に近づくため広義積分になります。
\(\frac{1}{x^α}\cdots\)の形の広義積分です。

結果を先にいうと、\((1-x)^{q-1}\)は有限値\(k\)で抑えられ、\(x^{p-1}\)は広義積分により収束するので、与式ⓐは収束します。

まず次の関係が得られる

\( 0\le x \le \frac{1}{2}\)において
\(x^{p-1}(1-x)^{q-1}\le \ul{kx^{p-1}} \quad :㋐\)   \((=g(x))\)

・\((1-x)^{q-1}\)はあるKで抑えることができるので: \(\quad (1-x)^{q-1}\le K\)とおける。

そして関数(優関数候補)の積分の収束を調べる

\(\int_0^{\frac{1}{2}}g(x)dx\)\(=\int_0^{\frac{1}{2}} \ul{ Kx^{p-1} }dx\)\(=K\displaystyle \lim_{a \to 0} [\frac{1}{p}x^p]_a^{\frac{1}{2}}\) \(=\frac{K}{p}[x^p]_0^{\frac{1}{2}}\)\(=\frac{K}{p}(\frac{1}{2})^p\)\( :㋑ \) …有限であり収束する。

上記の式㋐と、㋑の収束により \(g(x)\)は\(f(x)\) の優関数です。( \(g\ge f\) )
 優関数の定理:優関数\(g(x)\)をもつ\(f(x)\)の積分は収束する

\(\therefore\)\(ⓐ=\int_0^{\frac{1}{2}} x^{p-1}(1-x)^{q-1}dx\) は収束します。


次に
\(=\displaystyle\int_{\frac{1}{2}}^1 f(x)dx\)\(=\displaystyle\int_{\frac{1}{2}}^1 x^{p-1}(1-x)^{q-1}dx\)について

・x,p,q の領域に注意してください。
・\((1-x)^{q-1}\)は広義積分を使います。(∵x=1 となる)

\((1-x)\)の項が分母に、かつ積分領域 1 の近くで \((1-x)^{q-1}\) が\(\infty\)に近づくため広義積分を使います。
\(\frac{1}{x^α}\cdots\)の形の広義積分です。

結果を先にいうと、\(x^{p-1}\)は有限値\(J\)で抑えられ、\((1-x)^{q-1}\)は広義積分により収束するので、与式ⓑは収束します。

まず関係が得られる

\( \frac{1}{2}\le x \le 1 \)において
\(x^{p-1}(1-x)^{q-1}\le \ul{J(1-x)^{q-1}}\) \(:㋒\)   \((=g(x))\)

・\(x^{p-1}\)はあるJで抑えることができるので: \(x^{p-1}\le J\)とおける

そして関数(優関数候補)の積分の収束を調べる

\(\int_{\frac{1}{2}}^1 g(x)dx\)\(=\int_{\frac{1}{2}}^1 \ul{J (1-x)^{q-1}}dx\) \(=J \displaystyle \lim_{b \to 1}\) \(\int_{\frac{1}{2}}^b (1-x)^{q-1}dx\) \(=\frac{J}{q}(\frac{1}{2})^q\)\(:㋓ \)
…有限であり収束する。

上記の式 ㋒と㋓ の収束により \(g(x)\)は\(f(x)\) の優関数です。( \(g\ge f\) )
\(\therefore\)\(ⓑ=\displaystyle \int_{\frac{1}{2}}^1 x^{p-1}(1-x)^{q-1}dx\)は収束します。

結論:ⓐとⓑの収束より、ベータ関数\(B(p,q)\) の定義式❶ の収束と存在が確認できました。

ベータ関数の性質の証明
1)\(\ul{B(p,q)=B(q,p)}\) \( \ :❷\)

置換積分を使う:

\(u=1-x\) \(,\ \)\(\frac{du}{dx}=-1\) \( ,\ \)\(dx=-du\)
\(x=1-u\) \(,\ \)\([x=0 \to 1]\) ⇔ \([u=1 \to 0 ]\)
\(B(p,q)=\int_0^{1} x^\color{red}{{p-1}}(1-x)^\color{blue}{{q-1}}dx\) \(=\int_1^{0} (1-u)^{p-1}(1-(1-u))^{q-1}(-1)du\)
積分領域順序を換えると:
\(=\int_0^{1} (1-u)^{p-1}u^{q-1}du\)
ベータ関数の p とq の位置に注目
\(\therefore B(p,q)\)\(=\int_0^{1} u^\color{blue}{{q-1}} (1-u)^\color{red}{{p-1}}du\)\(=B(q,p)\)

この結果は「変数P,q について対称である」を示している。

2)\(\ul{B(p,q)=2\displaystyle\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}sin^{2p-1}θcos^{2q-1}θ dθ}\)  \( :❸\)

次のように置換積分を使う:

\(x=sin^2θ\)\(,\ \) \(\frac{dx}{dθ}=2sinθcosθ\) \(,\ \) \(dx=2sinθcosθdθ\)
\([x=0 \to 1]\)⇔\([θ=0 \to \frac{\pi}{2}]\)
\(B(p,q)=\int_0^{1} x^{p-1}(1-x)^{q-1}dx\)
\(=\int_0^{\frac{\pi}{2}} (sin^2 θ)^{p-1}\color{red}{(1-sin^2 θ)}^{q-1} 2sinθcosθ dθ\) \(=2\int_0^{\frac{\pi}{2}} [(sin^2 θ)^{p-1}sinθ] \ [(cos^2 θ)^{q-1} cosθ] dθ\)
\((1-sin^2 θ)=cos^2θ\)
\(\therefore B(p,q)=2\int_0^{\frac{\pi}{2}} (sinθ)^{2p-1} (cosθ)^{2q-1} dθ\)


3) \(\ul{ B(p,q)=\dsfr{Γ(p)Γ(q)}{Γ(p+q)} }\) \(  :❹\)

\(B(p,q)Γ(p+q)=Γ(p)Γ(q)\)
として「左辺←右辺」なる証明をします。以下では\(Γ(p)とΓ(q)\)を個々に求めています。

\(Γ(p)=\int_0^{\infty}e^{-x}x^{p-1}dx\)
これまでガンマ関数の変数は\(t\)でしたが、ここではp,q です。
\(x=u^2\) \(,\ \) \(\frac{dx}{du}=2u\) \( ,\ \) \(dx=2udu\)
\([x=0 \to \infty]\) ⇔ \([u=0 \to \infty ]\)
\(=\int_0^{\infty}e^{-u^2}(u^2)^{p-1}2udu\)\(=\ul{2\int_0^{\infty}e^{-u^2} u^{2p-1}du}\)

\(Γ(q)=\int_0^{\infty}e^{-x}x^{q-1}dx\)
\(x=v^2\) \(,\ \) \(\frac{dx}{dv}=2v\) \( ,\ \) \(dx=2vdv\)
\([x=0 \to \infty]\) ⇔ \([v=0 \to \infty ]\)
\(=\int_0^{\infty}e^{-v^2}(v^2)^{q-1}2vdv\)\(=\ul{2\int_0^{\infty}e^{-v^2} v^{2q-1}dv}\)

次式は「2重積分と極座標変換」を使います。まだ学んでいないので流れをみる程度でもよいです。
結果だけ受け入れて下さい。

\(Γ(p)Γ(q)\)\(=(\ul{2\int_0^{\infty}e^{-u}(u)^{2p-1}du})\) \((\ul{2\int_0^{\infty}e^{-v^2}(v)^{2q-1}du})\) \(=4 (\int_0^{\infty}e^{-u^2}u^{2p-1}du)\) \((\int_0^{\infty}e^{-v^2}v^{2q-1}dv)\) \(=4 \int_0^{\infty}\int_0^{\infty} e^{-u^2}e^{-v^2}\ v^{2q-1}\ (u)^{2p-1} \ du\ dv \)
\(=4 \int_0^{\infty}\int_0^{\infty} e^{-(\ul{u^2+v^2)}}\ v^{2q-1}\ u^{2p-1} \ du\ dv \)

\(e\)の指数に注目すると、極座標変換が使えて、積分が簡単になる。
\(uv座標\to rθ 極座標\) \(,\)\( \ u^2+v^2=r^2\)
\(u=rcosθ\)\(,\) \(v=rsinθ\) \(,\) \(dudv=Jdrdθ=rdrdθ\):(ヤコビアンJ=r)
\([u,v:0\to\infty]\) ⇔\([r:0\to\infty \quad θ:0\to\frac{\pi}{2}]\)

\(=4\int_0^{\frac{\pi}{2}}\int_0^{\infty} e^{-r^2}\)\( (rsinθ)^{2q-1}(rcosθ)^{2p-1} r dr dθ \)
\( 4 \int_0^{\frac{\pi}{2}}\int_0^{\infty} e^{-r^2}\)\(r^{2q-1}(sinθ)^{2q-1} r^{2p-1}(cosθ)^{2p-1} r dr dθ \)
\(=(2\int_0^{\infty}e^{-r^2}r^{\color{red}{2(p+q)-1}}dr)\) \((2\int_0^{\frac{\pi}{2}}(cosθ)^{2p-1}(sinθ)^{2q-1}dθ)\)

上記と以下の式を比較する。
\(Γ(p)=2\int_0^{\infty}e^{-u^2} u^{2p-1}du\) \(,\) \(B(p,q)=2 \int_0^{\frac{\pi}{2}} (sinθ)^{2p-1} (cosθ)^{2q-1} dθ\)

\(\therefore Γ(p)Γ(q)=Γ(p+q)B(p,q)\)


4) \(\ul{B(p,q+1)=\dsfr{q}{p} B(p+1,q)}\)\( :❺\)

定義式: \(B(p,q)=\int_0^{1} x^{p-1}(1-x)^{q-1}dx\)
部分積分を使い、展開していく:
\(B(p,q+1)=\int_0^{1} x^{p-1} (1-x)^{q}dx\)

\(=\int_0^{1} (\frac{1}{p}x^p)'(1-x)^{q}dx\)
\(=[\frac{1}{p}x^p (1-x)^{q}]_0^1\)\(-\int_0^{1} \frac{1}{p}x^p (-1)q(1-x)^{q-1}dx\) \(=0+\frac{q}{p}\int_0^{1} x^p (1-x)^{q-1}dx\) \(=\frac{q}{p}\int_0^{1} x^p (1-x)^{q-1}dx\)
定義式と比較して:
\(=\dsfr{q}{p} B(p+1,q)\)

従い
\(B(p,q+1)\)\(=\dsfr{q}{p} B(p+1,q)\)\(:❺\)
左辺を右辺替えると
\(B(p+1,q)\)\(=\dsfr{p}{q} B(p,q+1)\)\(:❺'\)


5)\(\ul{B(p+1,q)=\dsfr{p}{p+q} B(p,q)}\) \(:❻'\)

定義式❶と❺を用いる
\(B(p+1,q)=\frac{p}{q}B(P,q+1)\)\(=\frac{p}{q}\int_0^1 x^{p-1}(1-x)^{q}dx\)
 ここで\((1-x)^{q}=(1-x)^{q-1}(1-x)\)とおく
\(=\frac{p}{q} \int \{ x^{p-1}(1-x)^{q-1}[(1-x)]\} dx\)

\(=\frac{p}{q} \int \{ x^{p-1}(1-x)^{q-1}-x^{p}(1-x)^{q-1}\} dx\) \(=\frac{p}{q} \int x^{p-1}(1-x)^{q-1}dx -\int x^{p}(1-x)^{q-1}dx\) \(=\frac{p}{q}\{\int_0^1 x^{p-1}(1-x)^{q-1}dx -\int_0^1 x^{p}(1-x)^{q-1}dx\}\) \(=\frac{p}{q}B(p,q)-\frac{p}{q}B(p+1,q)\)

\(B(p+1,q)=\frac{p}{q}B(p,q)-\frac{p}{q}B(p+1,q)\)

\(\therefore B(p+1,q)=\dsfr{p}{p+q} B(p,q)\)

6)\(\ul{B(p,q+1)=\dsfr{q}{p+q} B(p,q)}\) \(:❻\)

ガンマ関数を用いると簡単に導出できます。
\(B(p,q+1)=\dsfr{Γ(p)Γ(q+1)}{Γ(p+q+1)}\)\(=\dsfr{q\ Γ(p)Γ(q)}{(p+q)\ Γ(p+q)}\) \(=\dsfr{q}{(p+q)} \dsfr{Γ(p)Γ(q)}{Γ(p+q)}\)
\(\therefore B(p,q+1)=\dsfr{q}{(p+q)}B(p,q)\)


7) \(\ul{B(p,q)=\dsfr{q-1}{p} B(p+1,q-1)}\)\(\ :❼\)

\(B(p,q)=\int_0^{1} \ul{x^{p-1}(1-x)^{q-1}}dx\)--定義式
\(=\int_0^{1} (\frac{1}{p}x^p)' (1-x)^{q-1}dx\)
\(= [(\frac{1}{p}x^p)(1-x)^{q-1}]_0^1\)\(- \int_0^{1} \frac{1}{p}x^{p} ((1-x)^{q-1})' dx\) \(=0+\frac{q-1}{p} \int_0^{1} \ul{x^{p} (1-x)^{q-2}} dx\)
\(\therefore B(p,q)=\frac{q-1}{p}\ul{B(p+1,q-1)}\)


例題1 次のベータ関数の値を求めよ。

1)\(B(\frac{1}{2},\frac{1}{2})\)

\(=\frac{ Γ(\frac{1}{2})Γ(\frac{1}{2}) } { Γ( \frac{1}{2}+\frac{1}{2} ) }\) \(=\frac{ (Γ(\frac{1}{2}))^2 } { Γ(1) }\) \(=\frac{ (\sqrt{\pi})^2 } { 0! }\)\(=\frac{\pi}{1}=\pi\)


2)\(B(3,\frac{3}{2})\)
\(=\frac{ Γ(3)Γ(\frac{3}{2}) } { Γ(3+\frac{3}{2}) }\) \(=\frac{2!Γ(\frac{3}{2})} {Γ(\frac{9}{2})}\)

メモ:\(\frac{9}{2}\to\frac{7}{2}+1\)\(\to\frac{5}{2}+1\to\frac{3}{2}+1\)
\( Γ(\frac{9}{2})=\frac{7}{2}\frac{5}{2}\frac{3}{2}Γ(\frac{3}{2})\) \(=\frac{105}{8}Γ(\frac{3}{2})\)

\(=\frac{2!Γ(\frac{3}{2})}{ \frac{105}{8}Γ(\frac{3}{2}) }\) \(=\frac{2 \x 8}{105}\) \(=\frac{16}{105}\)


3)\(\int_{0}^{\frac{\pi}{2}} sin^{3}θ\ cosθ dθ\)

\(B(p,q)=2 \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} sin^{2p-1}θ\ cos^{2q-1}θ dθ\)より
\(2p-1=3 \to p=2\) \(, \ 2q-1=1 \to q=1\)

\(\frac{1}{2} B(2,1)=\frac{1}{2} \frac{Γ(1)Γ(2)}{Γ(2+1)}=\frac{1}{2}\frac{1}{2}=\frac{1}{4}\)

例題2 次の積分を求めよ
 \(\int_0^{1} x^2 (1-x) dx\)

上式は積分範囲、変数の並びから式❶の形です。

\(B(p,q)=\displaystyle\int_0^{1}x^{p-1}(1-x)^{q-1}dx\)
\(p-1=2\ \to p=3, q-1=1\ \to q=2 \)

\(\int_0^{1} x^2 (1-x) dx\)\(=B(3,2)\) \(=\frac{Γ(3)Γ(2)}{Γ(2+5)}=\frac{2!1!}{4!}\)\(=\frac{2}{24}=\frac{1}{12}\)

例題3 式❽を導出せよ

 \(B(m,n)=\dsfr{(m-1)!(n-1)!}{(m+n-1)!}\)\(\ :❽\)

1回目の積分:(式❼の証明を参考にして)

\(B(p,q)=\int_0^{1} x^{p-1}(1-x)^{q-1}dx\) \(=[\frac{1}{p}x^p(1-x)^{q-1}]_0^1-\int_0^{1} \frac{1}{p}x^p ((1-x)^{q-1})'dx\) \(=0+\frac{q-1}{p} \int_0^{1} (-1) x^p (1-x)^{q-2} dx\)
\(=\frac{q-1}{p}B(p+1,q-1)\)\(=k_1 I_1(p+1,q-1)\)

\(I_n\)を漸化式として以下に展開していく
\((1-x)\)の項の次数が下がっていく。
2回目の積分:

\(I_1(p+1,q-1)=\frac{q-2}{p+1}I_2(p+2,q-2)\)

3回目の積分:

\(I_2(p+2,q-2)=\frac{q-3}{p+2}I_3(p+3,q-3)\)

\( \vdots \)
\((q-2)\)回積分:

\(I_{q-3}(p+q-2,2)\)
\(=\int_0^{1} x^{p+q-1}(1-x)^2 dx\) \(=0- \int_0^{1} x^{p+q-2}(1-x)^1(-1) dx\) \(=(\frac{1}{p+q-2})I_{q-2}(p+q-1,1)\)

\((q-1)\)回積分:

\(I_{q-2}(p+q-1,1)\)
\(=\int_0^{1} x^{p+q-1}(1-x)^1 dx\) \(=0- \int_0^{1} x^{p+q-1}(1-x)^0(-1) dx\) \(=\frac{1}{p+q-1}[x^{p+q}]_0^1\) \(=\frac{1}{p+q-1}\)

\(B(p,q)=\frac{q-1}{p} \frac{q-2}{p+1} \frac{q-3}{p+2}\)\( \cdots \frac{1}{p+q-2} \frac{1}{p+q-1}\)
\( (p-1)!\)\(=1\cdot 2\cdot 3\cdots (p-1)\)を掛ける
\(=\frac{((q-1)(q-2)\cdots 2\cdot 1(p-1)!}{1\cdot2\cdot3\cdots (p-1) p(p+1)(p+2)\cdots(p+q-2)(p+q-1)}\) \(=\frac{(p-1)!(q-1)!}{(p+q-1)!}\)

これより
\(B(p,q)\)\(=\dsfr{(p-1)!(q-1)!}{(p+q-1)!}\)

\(m,n\):正の整数, (\(p \to m\) \(,\) \(q \to n\)) として:
\(B(m,n)\)\(=\dsfr{(m-1)!(n-1)!}{(m+n-1)!}\)\(❽\)
式❽が求まりました。


1/6公式とベータ関数
 下図(左側)のように放物線\(g(x)\)と直線\(h(x)\)によって囲まれた面積S が2曲線の交点とg(h)の2次係数の 「\(α,β,a\)」 だけによって求まる公式を1/6公式 といいます。
(勿論、\(α,β\)を求めるには2曲線の方程式が必要です)
ここでは1/6公式 を従来通りに求める方法とベータ関数を使い求める方法を紹介します。
   fig1の説明
・左図は2次と1次の交わり
 \(y=g(x)=ax^2+cx+e\)
 \(y=h(x)=bx+d\)
・右図は:2次同士の交わり
 \(y=g(x)=ax^2+cx+e\)
 \(y=h(x)=bx^2+dx+f\)
  放物線に囲まれた面積    
fig1 放物線に囲まれた面積
面積を求める予備知識
上図の曲線で囲まれた面積は: \(S=\int_α^β (f(x)-g(x))dx\)で表せる。
例として\(h(x)=2x-1\) \(\ ,\ \) \(g(x)=x^2-x+1\)とすると:
\(f(x)=h(x)-g(x)\)\(=(2x-1)-(x^2-x+1)\)\(=-(x^2-3x+2)\)
\(=-(x-1)(x-2)\)\(=-(x-α)(x-β)\)
このようにしてx座標に2つ交点が表れるときは因数分解できる。
そして一般に面積は:
\(h(x)=bx+d\) \(\ ,\ \) \(g(x)=ax^2+cx+e\)
\(f(x)=h(x)-g(x)\)\(=(bx+d)-(ax^2+cx+e)\)\(=-ax^2+(b-c)x+d-e\)\(=-a(x-α)(x-β)\)

これより面積は下式となる
\(S=\int_α^β f(x)dx\) \(=\ul{-a\int_α^β (x-α)(x-β)dx} © \)

上図の右側で\(h\) が放物線 \(h=bx^2+dx+f\)のときは:
\(S=\int_α^β f(x)dx\) \(=\ul{|(b-a)|\int_α^β (x-α)(x-β)dx} ©' \)

これから先は次の2通りで求めてみる。
1)式変形して一般の積分で求める

\(S=\int_α^β f(x)dx\) \(=\int_α^β -a(x-α)(x-β)dx\) \(=-a\int_α^β (x-α)\{(x-α)+(α-β)\}dx\) \(=-a\int_α^β \{(x-α)^2+(α-β)(x-α)\}dx\) \(=-a [\frac{1}{3}(x-α)^3]_α^β -(β-α)\frac{1}{2}[(x-α)^2]_α^β\) \(= a\{-\frac{1}{3}(β-α)^3+\frac{1}{2}(β-α)^3\} \)
\(\therefore S=\frac{1}{6}|a|(β-α)^3\) \(:❾\)

上図の右側で\(h\) が放物線\(h=bx^2+dx+f\)のときは:
\(\therefore S=\frac{1}{6}|(b-a)|(β-α)^3\) \(:❾\)

2)ベータ関数を利用して求める
\(x \to t\) の変数変換:
\(t=\frac{1}{β-α} (x-α)\) \(\ ([x:α\toβ]\) ⇔\([t:0\to1])\)
直線の方程式\(t=m(x-x_0)+y_0\) \(\ (m=\frac{1}{β-α},\ x_0=α,y_0=0) \)
\(x-α=(β-α)t\) \(,\ x= (β-α)t+α\) \(\ , \) \(\frac{dx}{dt}=β-α\)
\(x-β= (β-α)t+α-β \)\(=-(β-α)+(β-α)t=(β-α)(t-1)\)

上式©に代入するとベータ関数の項が表れる
\(S=-a\int_α^β (x-α)(x-β)dx\)\(=-a\int_0^1 (β-α)t(β-α)(t-1)(β-α)dt\) \(=-a\int_0^1 (β-α)^3 t(-1)(1-t)dt\) \(=a(β-α)^3\int_0^1 \ul{t(1-t)dt}\)
参考:\(B(p,q)=\int_0^{1} \ul{x^{p-1}(1-x)^{q-1}dx}\)
\(=a(β-α)^3 B(2,2)\) \(=a(β-α)^3 \frac{Γ(2)Γ(2)}{Γ(2+2)}\) \(=a(β-α)^3 \frac{(2-1)!(2-1)!}{(4-1)!}\)\(=a(β-α)^3\frac{1}{6}\)\(=\frac{1}{6}a(β-α)^3\)
これより次式が求める公式です。

fig1(左):放物線と直線:(2次と1次)
\(\therefore S=\frac{1}{6}|a|(β-α)^3\) \(:❾\)

fig1(右):放物線と放物線:(2次と1次)
\(\therefore S=\frac{1}{6}|b-a|(β-α)^3\) \(:❾'\)

 第一種オイラー積分

 次式は第一種オイラー積分といわれています。(本によっては「先のベータ関数の定義式❶」を示していることもあります)
式❶を一般化した形式になっています。(∵下記の1)の如く、本式から式❶が導かれる)

\(\int_α^{β} (x-α)^m\ul{(x-β)}^n dx\)\(=\dsfr{(-1)^n m! n!}{m+n+1}(β-α)^{m+n+1}\) \( :❿\)
上式を\((-1)^n\)で割ると次式のなる。
\(\int_α^{β} (x-α)^m \ul{(β-x)}^n dx\)\(=\dsfr{m! n!}{m+n+1}(β-α)^{m+n+1}\) \( :❿'\)

 
 オイラー積分から導出できる式
 オイラーの積分式の変数、定数を変えて以下のようして公式を導き出せます。
1)「式❶ベータ関数の定義式」の導出

式❿の \(α=0\ , \ β=1\) \(, \ m=p-1 \ , \ n=q-1\) と置くだけで導出できる:
式❿の左辺\(=\int_0^{1} x^{p-1}(1-x)^{q-1} dx\)
式❿の右辺\(=\dsfr{(p-1)!(q-1)n!}{(p+q-1)!}=B(p,q)\)

2)\(\dsfr{1}{6}\)公式:m=1, n=1のとき
上記で求めましたが、m=1, n=1 を代入するだけで簡単に求まります。

\(\int_α^β (x-α)(x-β)dx\)\(=\int_α^β(x-α)(x-α+\ul{α-β})dx\)\(=\int_α^β \{(x-α)^2\ul{-(β-α)}(x-α)\}dx\)  \(=\frac{1}{3}[(x-α)^2]_α^β-(β-α)[(x-α)]_α^β\)
\(=\cdots =-\dsfr{1}{6}(β-α)^3\)

この先は【上記式❾の導出】と同じなので説明は割愛します。


3)\(\dsfr{1}{12}\)公式(下図 左側):m=2, n=1のとき
3次曲線と直線(αで接し、βで交わる)で囲まれた面積
\(ax^3+bx^2+cx+d\)

\(\int_α^β (x-α)^2(x-β)dx\)\(=\int_α^β(x-α)^2(x-α+\ul{α-β})dx\) \(=\int_α^β \{(x-α)^3\ul{-(β-α)}(x-α)^2\}dx\)  \(=\frac{1}{4}[(x-α)^4]_α^β\)\(-\frac{1}{3}(β-α)[(x-α)^3]_α^β\)
\(=\cdots =-\dsfr{1}{12}(β-α)^4\)

\(\therefore S=\dsfr{|a|}{12}(β-α)^4\)

4)\(\dsfr{1}{30}\)公式(下図 右側):m=2, n=2のとき
4次関数の曲線と直線(α とβ で接し)で囲まれた領域の面積
\(ax^4+bx^3+cx^2+dx^2+c\)

\(\int_α^β (x-α)^2(x-β)^2dx\)\(=\int_α^β \{(x-β)-(α-β)\}^2(x-β)^2dx\)\(=\int_α^β (X-Y)^2 X^2 dx\)

\(X=(x-β),Y=(α-β)\)
\((X-Y)^2 X^2\)\(=X^4-2X^3Y+X^2Y^2\)

\(=\int_α^β \{(x-β)^4-2(x-β)^3(α-β)\)\(+(x-β)^2(α-β)^2\}dx\) \(=\frac{1}{5}[(x-β)^5]_α^β-\frac{2}{4}(α-β)[(x-β)^4]_α^β\)\(+\frac{1}{3}(α-β)[(x-β)^3]_α^β\)
\(=\cdots =(-\frac{1}{5}+\frac{2}{4}-\frac{1}{3})(β-α)^5\)\(=\frac{1}{30}(β-α)^5\)

\(\therefore S=\dsfr{|a|}{30}(β-α)^5\)

  放物線に囲まれた面積    
 fig2 1/12(左),1/30公式(右)の面積

注: ここではベータ関数の応用として1/6、1/12、1/30公式の代表例を紹介しました、関数の次元、交わり方により何通りかあるので注意して下さい。


coffe

[コーヒーブレイク/閑話]…お疲れ様でした。