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湘南理工学舎
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2024/06/10

 豆知識/数学

 ユークリッド空間とは


(euclidean space)
 --目 次--
  • ♦ユークリッド空間とは
  • ♦ユークリッド幾何学の公理・公準
  • ♦ユークリッド距離
  • ♦ベクトル空間も含む

  • ♦【閑話】非ユークリッド空間

  • ユークリッド ってなぁーに!\(\cdots\)という方に

    ユークリッド空間とは


     「ユークリッド空間」\(\cdots\)馴れ親しい言葉ではありませんが, 実は「ユークリッド空間」は 中学で学んだ「幾何の算数」が詰め込まれた(張る) 空間, 我々の身近な空間のことなのです。
    ユークリッド」について中学, 高校, また大学でも分野によっては…この名前は出てきません。
     そして一般に空間とは3次元の立体空間をイメージしますね!
    しかし数学(物理でも)では1次元,2次元の空間があり, 1次元は数直線のこと,2次元は平面のことです。
    私たちがイメージする3次元空間は立体空間, 人間が知覚化/可視化でるのは3次元空間まです。
    相対性理論では時間の場を追加して4次元空間を導入しています。
     数学では さらに5次元,6次元\(\cdots\)n次元 などの高次元空間が登場します。
    \(\b{R}^n\) は "n次元ユークリッド空間" を指します。
    同様にして \(\b{R}^1\)(1次元\(\color{red}{\cdots}\)), \(\b{R}^2\)(2次元\(\color{red}{\cdots}\)), \(\b{R}^3\)\(3次元\) \(\color{red}{\cdots}\) と表します。
    ユークリッドは紀元前300年, 幾何学の「ユークリッド原論」を著した アレクサンドリア(エジプト)の哲学者,数学者です。
    (ピタゴラスは紀元前500年,ユークリッドの先人です。) このユークリッド幾何学はその後, 人類の歴史に2000年以上君臨していますね。
    (英名⇒ユークリッド:Euclidean, ピタゴラス:Pythagoras)
    (エウクレイデス:ユークリッドの 古代ギリシア語名 )
    ドイツの数学者ダフィット・ヒルベルト(1862~1943年)が手を加え, 現代数学的に厳密に体系化している。

    中学で学んだ, ユークリッド幾何学の 5つ公準 を復習してみよう。
    ユークリッド幾何学には公準と公理があります。

    ユークリッド幾何学の公理・公準

    公理は 証明なしに自明な真理, 証明ぬきで真だと受け入れる命題(課題)のこと。
    同様な言葉として公準がありますが,公理より弱く,必ずしも自明でなく, ある理論の前提,仮定として使われる。
    公 準
    1) 任意の2点 を通る直線が少なくとも1つ存在する。(1つしか描けない)
    2) 有限の長さの線分は両方向に限りなく延長できる。(いくらでも延ばせる)
    3) 任意の点を中心にして任意の半径の円を1つ描ける。
    4) すべての直角は互いに等しい。(どんな場所の直角でも同じ)。
    5) ある直線と、その直線上にない点を通って, その直線と交わらない直線はただ1つ存在する。(1本しか描けない)
     (平行線公準)

    幾何
    fig1(上), fig2(下)
    幾何
    fig3

    幾何
    fig4

    幾何
    fig5 (平行線)


    さて公理は 次のような 今では当たり前のことがらです。
    公 理
    1) \(A=C\) かつ \(B=C ⇒ A=B\)
    2) \(A=B ⇒ A+C=B+C\)
    3) \(A=B ⇒ A-C=B-C\)
    4) 2つ図形が重なり合うとき、その図形は合同である。
    5) 全体は部分より大きい。
    \(\ \vdots\) \(\qquad \quad \vdots\)
    ユークリッド幾何は直感的に簡潔・明瞭な この公理・公準を出発して次々に約500の定理が作られています。
    次はその一部です,当然この公理・公準により証明されています:
  • ・三角形の内角和は180°(2\(π\))
  • ・二等辺三角形の底の両端の角は等しい
  • ・平行線の錯角は等しい
  • ・平行線の同位角は等しい
  • ・3平方の定理(ピタゴラスの定理)
  • ・正方三角形の内角は等しい
  • ・三角形の合同条件
  • ・三角不等式
  • ・三角関数
  • ・円周,直径,円弧,円周率
  • \(\cdots \cdots \) など

  •  ユークリッド空間は上記の幾何学をみたすことに加えて, 次の距離空間(ユークリッド距離によって定義される) を備えています。
    すなわちユークリッド空間は距離を測れる空間でもあります。

    ユークリッド距離

    (ユークリッド空間の計量)
     ユークリッド空間の計量(ここでは関数のこと)とは、ユークリッド距離を定義する関数のことで、 このユークリッド距離は、2点間の直線距離(ピタゴラスの定理による距離)で与えられる。
    一般化式はあとで説明し, 先に具体的な 2次元,3次元 の距離から始めます。

    2次元空間\(\b{R}^2\)
    \(x,y\) は \(\b{R}^2\)の元/要素 (※) : における 2点間の距離\(d(P,Q)\)は:
    ( \(P=(x_1,x_2)\), \(Q=(y_1,y_2)\) )朱記を集合記号では[\(\color{red}{ \s{\ul{\ x,y \in \b{R}^2} }}\) ]と表す。

    \(\s{d(P,Q)}\)\(\sc{=\sqrt{(y_1-x_1)^2+(y_2-x_2)^2}}\) \(\sc{=\b{e}}\) \(\quad:\sc{❶}\)

     分かりやすく書くと:
    \(\s{d(P,Q)=\b{e}}\)\(\sc{=\sqrt{(a)^2+(b)^2}}\)\(\quad:\sc{❶'}\)

    幾何
    fig6: 2次元 2点間距離
    上図に不思議な箇所ありませんか?
    x軸, y軸の座標軸がありません⇒ ①軸, ②軸 に変わっています。
    その理由は後述の「一般式」で述べます。

    3次元空間\(\b{R}^3\)
    , \(x,y \in \b{R}^3\) : における 2点間の距離\(d(P,Q)\)は:
    ( \(P=(x_1,x_2,x_3)\), \(Q=(y_1,y_2,y_3)\) )

    \(\s{d(P,Q)=\sqrt{\ul{(y_1-x_1)^2+(y_2-x_2)^2}+(y_3-x_3)^2} }\)\(\quad:\sc{❷}\)

     分かりやすく書くと:
    \(\s{d(P,Q)=\b{f}=\sqrt{\ul{ \color{red}{(e)^2} }+(c)^2} }\) \(\sc{=\sqrt{\ul{ \color{red}{(a)^2+(b)^2}}+(c)^2}}\)\(\quad:\sc{❷'}\)
    幾何
    fig7: 3次元 2点間距離

     一般式とはある条件を満たす具体的な数式から共通部を文字に代えて,より広く使える式にしたもの。
    数学, 物理など一般化すると難しくなることがおおいですね!
    以下は n次元, すなわ高次元まで使える2点間の距離の一般式です。
    n次元空間 \(\b{R}^n\)
    , \(x,y \in \b{R}^n\) : における 2点間の距離\(d(P,Q)\)一般式:
    ( \(P=(x_1,\cdots ,x_n)\), \(Q=(y_1,\cdots,y_n)\) )

    \(\s{d(P,Q)=\sqrt{ \displaystyle \sum_{i=1}^n (y_i-x_i)^2} } \)\(\quad:\sc{❸}\)

     上式を展開すると:
    \(\s{d(P,Q)=\sqrt{(y_1-x_1)^2+\cdots+(y_i-x_i)^2+\cdots+(y_n-x_n)^2} } \)\(\quad:\sc{❸'}\)

    高次元おいて x,y,z,…のアルファベットの座標名では次元数に限界があります。
    そのため, 座標名を \(1\cdots i \cdots n\) の自然数を使い, 対応しています。
    この式だと 高い次元をにも対応できます。(10次元,100次元,1000次元…)
    上図では座標名を ①軸,②軸,③軸 としました。

    ベクトル空間も含む

    ユークリッド空間はベクトル空間に加えて 内積(※)が 定義された空間と言われます。
    前記のユークリッド距離は内積計算からも求まります。詳細は割愛します。
    下記の参照先の内積空間を参照。
    ベクトル空間とは大雑把に言えば, ベクトルの加算(減算も), べクトルのスカラー倍(拡大/縮小) が自由に展開でき, このベクトルが貼る空間です。
    ここで初めてベクトルが登場しました。 ベクトルとは:
    位置(点)大きさを(数値)向きをもつ量であり, またスカラーは数値(実数)です。
    下図では ベクトル加法 \(\s{\b{a}+\b{b}}\) と スカラー乗法 \(\s{k \b{a}}\) を示しています。
    加法できれば減法が可能, スカラー倍により 除法が可能,すなわち四則演算が可能です。

    幾何
    fig8: 左)加算   右)スカラー倍 

    また内積空間はその内積演算によりベクトルの長さ/距離,角度が得られる空間です。
    ここでは割愛しまが, 興味のある方は下記の参照先の内積空間を参照。
    ユークリッド空間・ベクトル空間は後で述べる非ユークリッド幾何,相対性理論で扱うのような曲がった空間ではありません。

    興味ある方は: ベクトル空間【参照先】 内積空間【参照先】

      
    coffe

    [コーヒーブレイク/閑話]…お疲れさまでした

    非ユークリッド空間


    ユークリッド空間は名前の通り, ユークリッド空間でない空間のことです。
    ユークリッド幾何学の「第5公準の平行線公準」が成り立たない空間…すなわち ユークリッド空間では平行線は「1本も引けない(楕円幾何学)」,「2本引ける(双曲線幾何学)」などの空間があります。
    多くの数学者が関与してユークリッド幾何学は 1800年初旬頃に確立しました。
    ユークリッドの例として球面3角形(下図), この内角の和θ は何度でしょうか?
    ユークリッドなら 3角形の内角の和は 180° です \(\cdots\) これは「平行線公準」から導かれた定理です。
    しかし下図の球体の北半球を4等分した球面三角形なので各辺の角は90°です。
    従い内角の和は θ=3x90= 270° です。 球面三角形では 球面の部位 によって異なり, 下図のような北半球の限定すれば θ=180°~540°です。
    幾何
    fig9: 球面三角形の内角