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湘南理工学舎
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2024/12/26

 豆知識

 トランジスタとデジタル


(technical term of CPU and Microcomputer, history)
 --目 次--
  • ♦デジタル回路の表記
  • ♦トランジスタのスイッチング動作
  • ♦バイポーラ NPN型 Tr
  • ♦エンハンスメント型NチャンMosFET Tr
  • ♦CMOS IC とTTL IC
  • ♦スイッチ回路とトランジスタ回路
  • ♦トランジスタ回路とNOT回路
  • ♦トライステートとは
  • ♦インピーダンスとは

  • ♦【閑話】
  • •トランジスタの飽和状態

  • はじめに


     今回はデジタル回路で使われるトランジスタの電気的な機能, 動作について学びます。
    ここでは半導体内部の構造などには触れません。
    先に進む前に一般的なデジタル回路を示します。
    デジタル回路図の表記

     左図が中学で学ぶ回路図(回路が閉じている), 右図がデジタル回路の一般的な回路図です。
    電源プラス(+)部, 電源マイナス(-)部, 抵抗部, スイッチの記号が変わっています。
    指数と対数
    fig1 デジタル回路図

    トランジスタのスイッチング動作


     トランジスタ (以降 Tr と表記することがあります) は 大別して バイポーラ Trユニポーラ Tr があります。
    ここで説明するのは バイポーラ NPN型Trエンハンスメント型 NチャンネルMosFET Trです。
    簡略のため, 前者をバイポーラ NPN Tr, 後者をNch MosFET Trと簡略表記します。

    バイポーラ NPN Tr と NchMosFET Tr (下図) はマイコンのデジタル回路でよく使われるTr です。
    また, 特性が同じなので互換できることがあります。
    (ピンが同じ3端子, しかも配置が同じ…これをピンコンパチブルといいます)

    トランジスタの初歩
    fig2 バイポーラNPN と NchMosFET
    記号の説明:
    I:電流  V:電圧  小文字は部位の名称
    Ib:ベース電流  Ic:コレクタ電流  Ie:エミッタ電流
    Vb:ベース電圧  Vce:コレクタ-エミッタ電圧 
    Id:ドレイン電流
    Vg:ゲート電圧  Vgs:ゲート-ソース電圧  Vds:ドレイン-ソース電圧

    バイポーラTrは(Bipolar junction transistor),トランジスタでも歴史が長く, 入力のベース電流を流すと, その数百倍の出力電流が流せる。
    高周波特性が良いことから今でも使われています。
    MOSFET Trとは (Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor),金属酸化膜半導体電界効果トランジスタの略。
    ゲートに電圧をかけることで(※), ドレイン・ソース電流が流れます…これをターンオンといいます。
    ゲート電圧を0Vにするとドレイン・ソース電流が遮断されます…これをターンオフといいます。
    (※)ゲート電流は流しません…これが低消費Trの由縁です。

    Tr には遮断状態, 活性状態, 飽和状態 があります。
    ここで学ぶ Tr のスイッチングでは遮断状態 と 飽和状態 を使います。
    (増幅素子としてのTrは 活性状態 が使われます)
    TrON とは Tr が 飽和状態Swが ON
    TrOFF とは Tr が 遮断状態Swが OFF
    上記をもとに 次に Tr の動作を説明します。

    バイポーラ NPN型 Trの動作

    (fig2の左図)

    Tr がON動作
    はじめにVi="0"(0V) のとき, Tr はOFF の遮断状態です、この状態ではTr の出力電流Ic は流れません。
    そして ベースに瞬時()に電圧 Vi="1"(5V) を印加するとベース電流(Ib)が流れ, コレクタ-エミッタ間は導通状態なり, Ibのhfe倍の出力電流Ic が流ようとして Tr は飽和状態になります。
    Trのスイッチング動作では入力電圧Viの0V⇄5Vの変化は瞬時のパルス波です
    コレクタ―エミッタ電圧Vce≒0.1V程度あり,これを飽和電圧といいます。
    すなわち C-E間が導通して"SwがON" したのと 等価 な状態になり,「Tr オン」となります。
    Tr がOFF動作
    ベースに瞬時に電圧をVi="0"(0V) にしてベース電流(Ib)を止める。
    Tr は遮断状態, すなわち コレクタ-エミッタ間は絶縁状態になり, Ic は流れず, Vce≒Vccになります。
    これは「Sw がOFF の C-E間が絶縁状態」と等価であり,「Tr が オフ」となります。
    Tr の遮断状態では 数uA程度の僅かな コレクタ遮断電流(漏れが) あります。
    NPN Tr の詳細
    ・Ibの数百倍\(\s {h_{FE}}\)の Ic が流れる能力があるが, 実際に流れる電流は 抵抗Rcにより制限される。
    ・Vbe≒0.7V 以上の電圧をかけると, 「Tr オン」になります。
    ・増幅率 \(\s{h_{FE}}\)として, Ic=\(\s{h_{FE}}\x\)Ib
    ・\(Ie=Ic+Ib≒Ic\)
    ・\(\s{h_{FE}}\)は例えば70~700と幅が大きいが, あるレンジで選択できるものがある。(例えば"200~400"と指定できる)

    エンハンスメント型NチャンネルMosFET Trの動作

    (fig2の右図)
    (Nch MosFET Trの動作)
    Tr がON動作
    ゲートに電圧 "1"(5V) をかけると Tr がONします。バイポーラと異なりゲート電流は流れません。
    その意味で低電力消費です。
    但し導通状態では僅かなオン抵抗があり, 僅かな損失が生じます。
    Tr がOFF動作
    ゲートに電圧 "0"=0V にすると Tr がOFFします。
    オフ状態ではほとんど電力を消費しません。 マクロ的にはドレイン電流は0 ですが,僅かなドレイン遮断電流があります。
    注:Tr がON/OFFするためのゲート電圧はTrの個別データシートに "ゲートしきい値電圧" として記載されています。
    Nch MOSFET の詳細
    ・相互コンダクタンス\(g_m=\frac{Id}{V_{gs}}\) (バイポーラTrの\(\s{h_{FE}}\)に相当する増幅率)
    ・抵抗Rgsの目的: (バイポーラ Tr では必須ではない)
    1)電源ON 時のTr の誤動作を防ぐ(ゲートをグランド電位に近づける)。
    2)Tr を 速やかにOFF にする。
    ゲートしきい値電圧のデータがある(TrがONする電圧)例:Min 2V~Max3V

    [参考]
    CMOS IC と TTL IC

    以下の2種類のIC(集積回路)は,ここで学んだ2種類のTr がベースです。
    CMOS IC(Complementary Metal Oxide Semiconductor)は MOSFETを組み合わせたデジタルIC(半導体回路構造)です。
    TTL IC(Transistor Transistor Logic IC)とは、バイポーラトTrを組み合わせたデジタルICです。

    上記のTr の動作をもとにして下図のスイッチとトランジスタの回路が等価であることが分かります。

    スイッチ回路とトランジスタ回路


    トランジスタの作用が分かりやすくするため"負荷のLEDランプ" を入れました。
    トランジスタの初歩
    fig3 Sw とTr のOFF
    トランジスタの初歩
    fig4 Sw とTr のON
    fig3:ランプ消灯
    ・Sw 回路では "スイッチが開"でランプが消えています。
    ・Tr 回路では 「Vi が "0"(0V) のとき TrがOFF」が「スイッチが開」 と等価で, ランプが消えてい ます。
    (Vi=0 によりベース電流Ibが流れず, Tr はOFF(動作しない))
    fig4:ランプ点灯
    ・Sw 回路では "スイッチが閉"でランプが点灯します。
    ・Tr 回路では 「Vi が "1"(5V) のとき TrがON」が "スイッチが閉" と等価で, ランプ点灯します。

    トランジスタ回路とNOT回路


     さて今度は電流制限用の抵抗だけを付け回路です。
    (出力電圧に注目するため, "LEDランプ" を外しました。)
    Sw回路ではSw の開/閉により出力電圧Vo が 5V(1)/0V(0) に変わります。
    Tr回路でもVi の状態により同様に変わります。
    トランジスタの初歩
    fig5 Sw とTr のOFF
    トランジスタの初歩
    fig6 Sw とTr のON
    fig5:出力電圧Vo が 5V(1)の状態とは
    ・Sw 回路では "スイッチが開"でVo が "1"(5V)。
    "スイッチが"開"で回路が切断のされ,Vo は電源電位5Vになります。
    これは 次の "TrがOFF" と同様です
    ・Tr 回路では 「Vi が "0"(0V) ⇒ TrがOFF」で「スイッチが開」と等価です。
    ∴「Vi が "0"(0V) ⇒ Vo が "1"(5V)」入力と出力が反転
    fig6:出力電圧Vo が 0V(0)の状態とは
    ・Sw 回路では "スイッチが閉"でVo が "0"(0V)。
    "スイッチが閉" で回路が閉じてVo は グランド電位 0Vになります。
    これは 次の "TrがON" と同様です
    ・Tr 回路では 「Vi が "1"(5V) ⇒ TrがON」で「スイッチが閉」と等価です。
    ∴「Vi が "1"(5V) ⇒ Vo が "0"(0V)」入力と出力が反転

    これより,上図fig5,6 の回路はデジタル(論理)回路の "NOT回路" と同じですね。

    トライステートとは

    (3ステート)
    左図は Sw2がON…Vo=0V("0")真中の図はSw1がON…Vo=5V("1")です。
    さて右図は 両Sw がOFFです, この状態でのVo は以下に説明するハイインピーダンスの状態です。
    このように ①Vo=0V("0") の状態, ②Vo=5V("1") の状態, ③ハイインピーダンスの状態 の3つの状態をとる回路をトライステート(Tri State)または 3ステート, 3ステートバッファー といいます。
    ここでは理解の簡略のため Sw回路を用いて説明していますが, 実際は CMOSICなどの半導体で動いています。
    トランジスタの初歩
    fig7 トライステート

    トライステート(3ステート)の目的

     1つのCPU(プロセッサ) が1つの信号線で複数の素子と共有できるようにするためです。
    CPUが指定していない素子の出力は全てハイインピーダンスの状態にすることにより, これらの出力は切断された状態になります。 CPU がアクセスする素子の出力だけが有効になります。
    インピーダンスとは何?

     "インピーダンス" とは 広義な意味(直流と交流の両方)での抵抗です。
    またハイインピーダンスの直訳は "高抵抗" ですが, ここでは その端子が "絶縁状態" で 周辺回路から切り放された状態のイメージです。
    インピーダンスとリアクタンス とは
     電流の流れを妨げるのが抵抗(R(Ω)) です。
    直流において理想コンデンサは絶縁体(抵抗無限大), 理想コイルは抵抗がゼロですが, 交流においては周波数により変化する抵抗です, …これをリアクタンス(X(Ω))と言います。
    インピーダンスは"直流分での抵抗" と"交流分でのコンデンサ,コイルなどの抵抗" を足したもの。


    coffe

    [コーヒーブレイク/閑話]…お疲れさまでした

    興味のある方へ
    トランジスタTrの飽和状態

    トランジスタの初歩
    fig8 Vce-Ic特性

    トランジスタの初歩
    fig9 試験回路
     Ibを一定にして, Vce を変化させた時のIcをプロットしたのが fig8 の"Vc-Ic特性" です。
    fig9 はその試験回路です。
    Tr の飽和とは 上図の緑部」である…理解にし難いですね。
    「Trの飽和下図のVce1 一定(緑線)のIcの増加が頭打ち部である」により理解できます。

    そのためには, Vce-Ic特性から, 次の条件で fig10 のIb-Ic特性を作る必要があります。
    条件: ・Vce1=一定(飽和)   ・Vce2=一定(比例)
    このIb-Ic特性により飽和の実態が見えてきます。
    トランジスタの初歩
    fig10 Ib-Ic特性
    fig10において
    Vce2=一定では,Ibに対しIcは比例している…これが比例領域の特性です。
    (fig9において Vce2=一定の領域は比例領域にある)
    Vce1=一定では,Ibが大きくなるとIcが増えず, 頭打ちになる…これが飽和状態です。
    (fig9において Vce1=一定の領域は飽和領域にある)
    すなわちスイッチングとは fig8 の遮断と飽和 の2つの状態を瞬時に切り替えることにより行われます。
    以上