要点は以下のように、数列をブロックで考え、数列 \( \{a_n-1\} \)
として、一般項を求める。
\( \underbrace{ a_{n+1}-1 }_{(n+1)項目} =2 \ ( \underbrace{ a_{n}-1 }_{n項目} )\)
そうすると、数列 \( \{a_n-1\} \)は:
・公比:
\( r=2\)
・初項:
\(a_n-1=a_1-1=3-1=2 \)
・一般項:
\(a_n-1=2 \cdot 2^{n-1}\)
\( \therefore a_n=1+2 \cdot 2^{n-1}\)
以上で解答は終わるが、この例題について以下のことを考えてみよう!
下表の:
上段は与式による数列です。
下段は上段から「1を引いた数列」、これは公比 2 の等比数列であることが分かりますね。
\(
\begin{array}{c|c|c|c|c|c}
与式の数列 & 3 & 5 & 9 & 17 & 33 & \rightarrow?な数列 \\
\hline
1を引いた & 2 & 4 & 8 & 16 & 32 & \rightarrow 等比数列
\end{array}
\)
このことは例題5でも扱います。
与式の数列の
階差数列
(下段の2、4、8…)は等比数列であることが分かります。
階差数列はもともと、規則性が分からない数列を解析するものでした。
\(
\begin{array}{cccccccc}
3 & & 5 & & 9 & & 17 & & 33 \\
&\lor& &\lor& &\lor& &\lor & \\
& 2 & & 4 & & 8 & & 16 &
\end{array}
\)
下段の階差数列は:
\(b_1=2 ,\ r=2 \rightarrow b_n=2 \cdot 2^{n-1} \)
となり、一般項は:
\( a_n =a_1+\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n-1 } b_k =3+\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n-1 } 2 \cdot 2^{n-1}\)
\(\quad =3+2\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n-1 } 2^{n-1} \)
\(\quad =3+\frac{1-2^{n-1}}{1-2}= \underline{ 1+2\cdot2^{n-1} }\)
例題の答えと同じになりました。
例 題5
漸化式
\( a_1=1 \ \ , a_{n+1}=2a_n +3 \)
で定められる数列の一般項を求める。
特殊解型 の漸化式:
\(a_{n+1}=p a_n +q \ \)
を使います。
ここは少し、辛抱して、解答処理の流れを見て下さい。
まず、与式の形
\(a_{n+1}=p a_n +q \ \)に対し
\(x=2x+3 \)
の式を作る
\(x=-3\)とします
与式から上式を引く、縦方向の「引き算」をする。
\(
\begin{array}{ccccccc}
& a_{n+1} & = & 2a_{n} & + & 3 \\
-)& x & = & 2x & + & 3 \\
\hline
& \color{red}{a_{n+1}-x}& = & 2 (\color{red}{a_n-x }) & &
\end{array}
\)
この式に \(x=-3\) を代入。
\( \color{red}{a_{n+1}+3}= 2 (\color{red}{a_n+3})\)
この式の数列は例題4と同様に数列をブロックとして扱い、
数列
\(a_n+3\)としての
の公比、初項、一般項を求める。
・この数列は公比 \( 2\) の等比数列となりますね。
・初項は
(\(a_1=1\) だから)
初項=\(a_n+3=1+3=4\)
・一般項は:
\(a_n+3=4\cdot2^{n-1} \)
これより
数列\(a_n\)の一般項が求まる。
\(a_n=-3 +4\cdot 2^{n-1} \)より
\(\underline{a_n=-3+ 2\cdot 2^{n} }\)
下の表は:
上段は与式の漸化式の数列
下段はこの与式の数列に3を足した数列
すなわち、{\(a_n+3\)}の数列です。
\(
\begin{array}{c|c|c|c|c|c|c}
与式の数列 & 1 & 5 & 13 & 29 & 61 & \rightarrow?な数列 \\
\hline
3を足す & 4 & 8 & 16 & 32 & 64 &\rightarrow 等比数列
\end{array}
\)
すなわち与えられた数列{\(a_n\)}に3を加えた数列{\(a_n+3\)}を考えれば等比数列になるわけです。
(例題4の考察1では与式の数列から 1 を引くと等比数列になった。)
例題5の解答の演算は与式から
「\(x =px+q\)」を引く、次の縦型の引き算です。
\(
\begin{array}{ccccccc}
& a_{n+1} & = & pa_{n} & + & q \cdots(3) \\
-)& x & = & px & + & q \cdots(4) \\
\hline
& \color{red}{a_{n+1}-x}&=& p (\color{red}{a_n-x }) & &
\end{array}
\)
・式(3)は与式を変形したもので、式(3)から x が求まる。
・この縦型に引き算により\(q\)がキャンセル(削除)され、{\(a_n-x\)}の数列が現れる。
・この数列{\(a_n-x\)}が等比数列になる。
ということです、
少し長くなりましたが、ご理解されましたでしょうか。
また、
\(a_{n+1}=p a_n +q \ \)
の形の漸化式を「特殊解型」と呼んでいます。