動植物には
微量であるが放射性物質の
炭素14 (元素記号 \(^{14}_{6}C\)) が一定量 存在します。
そして死後は炭素14の取り込みがなく, 時間とともに減衰していきます。 その減衰量をもとに死後のおおよその年代を推定します。
ここでは対象の遺物にある放射性炭素の崩壊から対象の死後の年代を推定する原理と式の基本について学びます。
(炭素14 の元素記号は \(^{14}_{6}C\): 上添字14:陽子数6+中性子数8, 下添字6:陽子数6 )
炭素は3種類の原子(中性子の数が異る同位体)があり, ここで注目の炭素14 は非安定な放射性炭素です。
炭素 同位体の原子の構成「陽子と中性子」は6個の陽子数(共通), 以下の中性子が異なる。
1番目に (一般の炭素)は「中性子6個」の炭素12で 炭素の99%を占める。
2番目に「中性子7個」の炭素13 であり 炭素の1%を占める。
3番目に 注目する「中性子8個」の 炭素14 であり 微量(全炭素の1兆分の1)を占める。
これらを同位体と呼ぶが, 炭素12 と炭素13 は安定な原子だが, 炭素14 は放射性をもつ,不安定な原子である。
炭素14 は1個の中性子が陽子になり, 電子を放出して安定な窒素14 (\(^{14}N\))に変化する。
このを現象を炭素14 の崩壊といい,このときβ線 を放出し, エネルギーを下げ安定する
生きている動植物の炭素14の原子数は今の大気中と同じとして 例えば木材を伐採したときの値(以下の\(N_0\))として用いる。
次に対象物(試料)の炭素14の原子数を測定し, その値を\(N(t)\)として以下に用いる。
放射性崩壊の式
時間とともに放射性物質がどれくらいの割合で減っていくか(崩壊するか) を表す基本的な法則です。
\(\dsfr{dN}{dt}=-λN\)\(\sc{\ :①}\)
\(N:\)残存の原子数(時刻t における)
\(λ:\)崩壊定数(物質により決まる)
\(N_0\):対象が死んだときの原子数
放射性崩壊の式
① を解き, 変形して以下の式
②,③ が導かれます。
上式を変数分離形に変形し微分方程式を解く:
\(\dsfr{dN}{dt}=-λN\) \( \clb{\to}\ \) \(\int \frac{1}{N}dN=\int λdt + C\) \( \clb{\to}\ \) \(N(t)=e^{-λt}e^c=C_0 e^{-λt}\)
初期条件 \(t=0\) のときの残存の原子数を\(N_0\) とすると \( \clb{\to}\ \) \(N_0=C_0e^0=C_0\)
\(N(t)=N_0 e^{-λt}\) \(\sc{\ :②}\)
\(崩壊定数 λ=1.210 \x 10^{-4}/年\)
\( λ=\frac{log2}{τ}=\frac{0.693}{5730}\)\(=1.210\x 10^{-4}\)
(根拠は後述)
上式は「\(N(t)\) が 指数関数的な減衰である」を示す。
また式②を変形し,次式が得られます。
\(log\ \frac{N}{N_0} =log\ e^{-λt}\)\(=-λt\) \( \clb{\to}\ \)
\(λt=-log\ \frac{N}{N_0}\)\(=log\ \frac{N_0}{N}\)
\(t=\frac{1}{λ} log\ \frac{N_0}{N(t)}\) \(\sc{\ :③}\)
例1:ある材木の残存の炭素14が初期値の半分のとき, 伐採からの経過年代を求める。
解:答えは半減期のことです,以下より約 5730年です。
残存が半分だから\(\frac{N_0}{N(t)}=\frac{2}{1}\) である。
\(t=\frac{1}{λ} log\ \frac{N_0}{N(t)}=\frac{1}{1.210 \x 10^{-4}}log\ \frac{2}{1} \)
\(=0.8264\x10^4\x 0.693=5727年\)
炭素14の崩壊と半減期\(τ\)
以下では対数の底に注意, 底の明記がないのは自然対数, ここの後半では「2の底」を使います。
\(^{14}C\)の崩壊により、\(^{14}C\)の量が半分にまでの時間を「半減期」といいます。
半減期は放射性物質の固有の値で,\(^{14}C\)の
半減期 \(\ul{τ=5,730年}\) です。
次の半減期\(τ\) についての式を基に:
「半減期を定義する式」と「半減期を反映した式②」
\(\sc{N(τ)=\ul{\frac{1}{2}N_0}}\) と \(\sc{N(τ)=\ul{N_0 e^{λt}}}\) から次式が求まる
\(\sc{\frac{1}{2}N_0=N_0 e^{λt}}\)
\(\frac{1}{2}=e^{λt}\) \( \clb{\to}\ \) \(log \frac{1}{2}=log e^{λt}\) \( \clb{\to}\ \)
\(-log{2}=-λt\) \( \clb{\to}\ \) \(log{2}=λ\ul{t}=λ\ul{τ}\quad \sc{(ここでは t=τ である)}\)
\(∴ λ=\frac{log2}{τ}\) これを式②の右辺に代入
\(N_0 e^{-λt}=N_0\ e^{-\frac{log2}{τ}t}\)\(=N_0\ e^{ (log2)\cdot (-\frac{t}{τ}) }\)
\(=N_0\ 2^{-\frac{t}{τ}}\)
\(N(t)=N_0\ 2^{-\frac{t}{τ}}\) \(\sc{\ :④}\)
下図は式④ のグラフです。
(2の指数関数的に減少する曲線)
また次式に変形すると:
\( \frac{N(t)}{N_0}=( \frac{1}{2})^{\frac{t}{τ}}\) \(\sc{\ :④'}\)
④’を使うと 炭素14の崩壊は木材の伐採後:
11,460年なら \( \sc{(\frac{11460}{5730}=\frac{2}{1})} \) \(\ \clb{\to}\ \) 減衰度合は \((\frac{1}{2})^{\frac{2}{1}}=\ul{\frac{1}{4}}\)
2,865年なら \( \sc{(\frac{2865}{5730}=\frac{1}{2})} \) \(\ \clb{\to}\ \) 減衰度合は \((\frac{1}{2})^{\frac{1}{2}}\simeq \ul{\frac{1}{1.41}}\)
と簡単に求まります。
式④ を変形して次式が得られます。
\(t=τ\ \frac{1}{log2}\ log \frac{N_0}{N(t)}\) \(\sc{\ :⑤}\)
式④の対数の底を2換えると:
☞対数の底変換【参照先】
\(\sc{④}=t=τ\ \frac{log_2 e}{log_2 2}\ \frac{log_2 \frac{N_0}{N(t)}}{log_2 e}\)
\( \clb{\to}\ \) \(τ\ \frac{log_2 e}{1}\ \frac{log_2 \frac{N_0}{N(t)}}{log_2 e}\)
\( \clb{\to}\ \)\(=τ\ log_2 \frac{N_0}{N(t)} \)
\(t=τ\ log_2 \frac{N_0}{N(t)}\) \(\sc{\ :⑤'}\)
…興味のある方へ…
「放射性炭素年代測定」について
貢献学者の一人
アーネスト・ラザフォード(Ernest Rutherford),1871/8/30-1937/10/19, 英国
1908年ノーベル化学賞 (元素の崩壊、放射性物質の化学に関する研究)
放射性炭素年代測定の資料
題記について Web で公開されている資料を紹介します。
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