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2023/11/03
2022/06/10
2020/09/29

 楽しく学ぶ…物理数学

 重積分の変数変換 
(variable conversion)
 --目 次--
はじめに
極座標変換
 ♦極座標変換式の導出
例題1. \(\iint_D (x^2+y^2) dxdy\)
例題2. \(\iint_D (x^2+y^2) dxdy\)
一般の変数変換
 ♦重積分の変数変換
 ♦ヤコビアン
例題3.\(\iint_D xy\ dx\ dy\)
例題4.\(\iint_D (x+y) dxdy\)
例題5.\(\iint_D \frac{x-y}{(x+y)^2} dxdy\)
ヤコビアン全般

1. はじめに
 前回は重積分の基本である累次積分(多変数関数を1変数の積分にして繰り返す積分)について学びました。
累次積分をそのまま解くことが難しいとき変数変換によってより簡単に計算できることがあります。
ここでは、はじめに直交座標から極座標への変換、そして一般の座標変換について学んでいきます。
極座標変換は変数変換の中で最もよく登場します。 下図は極座標変換のイメージです。
極座標変換イメージ
  極座標変換のイメージ

2.極座標変換
 極座標変換 
・x y 座標での積分領域
\(D=\{(x ,\ y)\ |\ x^2+y^2=r^2\)\( ,\ a≤r≤b ,\ y≤0 \}\)
・r θ 座標の積分領域
\(D'=\{r, θ )\ |\ x^2+y^2=r^2\)\(,\ a≤r≤b,\ 0≤θ≤\frac{\pi}{2}\}\)
体積\(V\)について、下式より直交座標の積分を極座標上の積分により求めることができる。
\(V= \dsii_D f(x,y) dxdy\) \(=\dsii_{D'} f(r\ cosθ,r\ sinθ) \underline{\ r\ }\ dr\ dθ\) \(\ \scriptsize {:❶}\)
( \( \iint_{D'} f(r\ cosθ,r\ sinθ) \underline{\ J\ }\ dr\ dθ\) )
 
 
\(dx\ dy と dr\ dθ \)を面積要素という。
下線の\(r\) は後で述べる「ヤコビアン\(J\) 」です。
☞  注1:ヤコビアンについて【参照先】
☞  注2:2次元の極座標のヤコビアン【参照先】
直交座標から極座標への変数変換は、 \(dx\ dy=r dr\ dθ \) の関係による面積要素の変換が行われている。
\(r(=J)\)は\(dx\ dy と dr\ dθ \)の比率になっている。
注:積分領域または被積分関数が円の式に関係しているときは極座標の変数変換が使える場合が多い。

 極座標変換式❶の導出 
極座標変換
  fig1 極座標変換

  変数変換による重積分では一般にヤコビアンの係数を使いますが、この節では独自にヤコビアンの係数を求めて、解決します。
平面の直交座標において、ある点をP とすると、原点から点P までの距離\(r\) と正のx 軸となす角\(θ\)とする。
点P の位置は\((r, θ)\) で表され、この\((r, θ)\) を 「点P の極座標」という。
\(x, y\) は 点P の直交座標であり、この両者の関係は:
\(\quad x=r\ cosθ \quad y=r\ sinθ\)

x y 座標での積分領域D(扇形)は
\(D=\{(x ,\ y)\ |\ x^2+y^2=r^2\)\( ,\ a≤r≤b ,\ y≤0 \}\)
変換後の r θ 座標の積分領域(長方形)は
\(D'=\{r, θ )\ |\ x^2+y^2=r^2\)\(,\ a≤r≤b,\ 0≤θ≤\frac{\pi}{2}\}\)
補足

変数変換の前後の積分領域 D と D’の全ての点は1対1 (全単射※)で対応していることに留意する。
(※:写像において、全単射とは単射かつ全射のことをという)
また変換前と後での重積分が等しいとは 全ての点において、積分領域と関数\(z=f(x,y)\)も1対1 で対応している。

前の講義「重積分1/面積確定」の「重積分とリーマン和」と同様に、領域 D の\(\Delta\)分割(小分割)の\(\Delta_{ij}\)\(=D_{ij}\)(上図の青色部)を考えます。
\(D_{ij}=\{ (r\ cosθ ,r\ sinθ)\ |\) \(\ (r_{i-1}≤r≤r_i),(θ_{j-1}≤θ≤θ_j) \}\)
\(\Delta\)分割の任意の点 \((x,y)=(x_{ij},y_{ij})\)とする。
(図の青色部の中の点です)
( \(x_{ij}=r_{ij}cos\ θ_{ij} \) \(,\ y_{ij}=r_{ij}sin\ θ_{ij} \) )

扇形の面積は \(s=\frac{1}{2}r^2 θ\)  であるから
  \( ( \because \frac{s}{θ}=\frac{\pi r^2}{2 \pi} ) \)

fig1 の左図の\(D_{ij}\)部の面積\(|D_{ij}|\) は

\( |D_{ij}|=\frac{1}{2}r_i^2 (θj -θ_{j-1})-\frac{1}{2}r_{i-1}^2 (θj -θ_{j-1}) \)
\(=\frac{1}{2} (r_i+r_{i-1} )(r_i-r_{i-1}) (θj -θ_{j-1}) \)
\(=\frac{r_i+r_{i-1}}{2} (r_i-r_{i-1}) (θj -θ_{j-1}) \)
ここで \(\frac{r_i+r_{i-1}}{2}=r_{ij}\) とする。
\(=\underline{r_{ij}} (r_i-r_{i-1}) (θj -θ_{j-1}) \)

下線の \(r_{ij}\) は後で述べる「ヤコビアン」です。
大雑把にいうと変数変換のときの調整の係数の役割をする。

ヤコビアンを使い求まった底辺\( |D_{ij}|\)に、高さ\(f(x_{ij},y_{ij})\) かけて導かれる微小体積\(|V_{ij}|\)は:
 \(|V_{ij}|=f(x_{ij},y_{ij})|D_{ij}|\) である。
扇形全体の体積は 微小体積\(|V_{ij}|\)の 次のリーマン和で近似できる

\(V_D=\displaystyle \sum_{i}^n\displaystyle \sum_{j}^m |V_{ij}|\)
\( =\displaystyle \sum_{i}^n\displaystyle \sum_{j}^m f(x_{ij},y_{ij})|D_{ij}|\)
\( =\displaystyle \sum_{ij}^{nm} f(x_{ij},y_{ij}) r_{ij} \color{red}{ (r_i-r_{i-1}) (θj -θ_{j-1}) }\)
\( =\displaystyle \sum_{ij}^{nm} f(x_{ij},y_{ij}) r_{ij} \color{red}{ \Delta r_i \Delta θ_j }\)

この体積は領域D'(長方形)における体積と同じである。
\(V_{D'}=\displaystyle \sum_{ij}^{nm} F(r_{ij},θ_{ij}) r_{ij} \Delta r_i \Delta θ_j\)
(但し \(F(r_{ij},θ_{ij})=f(x_{ij},y_{ij})\))

\(\Delta\) 分割を小さくしていくと次の積分に収束する。
 \( \iint_{D'} f(r\ cosθ,r\ sinθ) r\ dr\ dθ\)
以上のことから式❶が成り立ちます。

例題1: 次の重積分を求めよ
\(\dsii_D f(x,y) dxdy=\dsii_D (x^2+y^2) dxdy\)
\( D=\{ (x,y)| \color{red}{x^2+y^2≤4} \) \(,\ x≥0,\ y≥0\ \} \)
極座標変換
   fig2 \(x^2+y^2\)
領域D \(\color{red}{x^2+y^2≤2^2} \) は半径2 の円だから 極座標変換が行える。
極座標D' はr 座標は\( r=0\cdots2 \)、θ座標は\( θ=0\cdots\frac{\pi}{2}\)の長方形の領域となる。
与式より(x,y) を極座標で表すと:

\(D'=\{(r,θ)|0 ≤r ≤2 , 0 ≤θ ≤\frac{\pi}{2} \} \)
\( \iint_D (x^2+y^2) dxdy\)  \(=\iint_{D'} f(r\ cosθ,r\ sinθ) r\ dr\ dθ\)
\(r=J\) (ヤコビアン)
\(=\int_0^{\frac{\pi}{2}} \left( \int_0^{2} \underline{ (r cosθ)^2+(r sinθ)^2} \ r dr \right) \ dθ \)

下線部\(=r^2(cos^2θ + sin^2θ)=r^2\)

\(=\int_0^{\frac{\pi}{2}} \left( \int_0^{2} r^3 dr \right) \ dθ \)
\(=\int_0^{\frac{\pi}{2}} [\frac{1}{4}r^4]_0^2 \ dθ \)
\(=4\int_0^{\frac{\pi}{2}}1\ dθ \) \(=4[θ]_0^{\frac{\pi}{2}}\) \(=4[\frac{\pi}{2}]=2\pi\)

例題2: 次の重積分を求めよ

\(\dsii_D f(x,y) dxdy=\dsii_D (x^2+y^2) dxdy\)

\(D=\{(x,y)| \color{red}{x^2+y^2≤2y}\)\(\ ,\ x≥0 \} \)

極座標変換
  fig3 例題2/極座標変換

領域D の式を変形すると,見慣れた式になり、原点がオフセットされた円であることが分かる。
 \(\color{red}{ x^2+(y-1)^2≤1 }\)
中心(0,1)、半径r =1 の半円 → 図示したのがfig3 の左図

角度θと点P の関係は:
 \(\overline{PQ}=2rsin θ\)
注:タレスの定理(円周角の定理系):直径に対する円周角は直角である。
極座標変換すると
 \(x=rcosθ, \ y=rsinθ \)
 \(r=J\) (ヤコビアン)
変換後の積分領域は

\(D'=\{(r,θ)|0≤r≤2sinθ\)\(,\ 0≥θ≤\frac{\pi}{2} \} \)
\(\dsii_D f(x,y) dxdy=\iint_D (x^2+y^2) dxdy\) \(=\iint_{D'} ((rcosθ)^2+(rsinθ)^2) r drdθ \)
\(=\int_0^{\frac{\pi}{2}} \ \int_0^{2sinθ} r^3 ((cosθ)^2+(sinθ)^2) drdθ \) \(=\int_0^{\frac{\pi}{2}} \ \int_0^{2sinθ} r^3 drdθ \) \(=\int_0^{\frac{\pi}{2}} \ 4[r^4]_0^{2sinθ} dθ \) \(=4\int_0^{\frac{\pi}{2}} sin^4θ\ dθ \)

ここでウォリスの公式を使う。 ☞  【参照先】
\(I_n= \int_0^{\frac{\pi}{2}} {sin^4 θ}\ dθ \)とすると:
\(I_4= \int_0^{\frac{\pi}{2}} {sin^4 θ}\ dθ \) \(= \frac{3}{4}\frac{1}{2} \int_0^{\frac{\pi}{2}}\ dθ \) \(= \frac{3}{4}\frac{1}{2} \int_0^{\frac{\pi}{2}}\ dθ \)
\(= \frac{3}{16}\pi\)

\(= 4 I_4 \)\(=4 \frac{3}{16}\pi\)\(= \frac{3}{4}\pi\)

次に重積分の変数変換についての一般化(汎用)を行います。
3.一般の変数変換 (変数変換の一般化)
極座標変換
  fig4 一般的な座標変換

  積分領域であるユークリッド空間\(R^2\) において2つの平面(座標軸)を \((u,v)座標と(x,y)座標\) とします。
有界閉集合である \((u,v)平面のD と(x,y)平面の D'\)を考える。

これから2つの座標の変数\((u,v)\)から\((x(u,v),y(u,v))\)への変数変換を行う。
この変換の写像を\(\Phi(u,v)=(x(u,v),y(u,v))\)と表記する。
∗\(x(u,v),y(u,v)は(u,v)に関してC^1級\) (1階偏微分可能 かつその導関数は連続)
∗積分領域 D と D'の全ての点は1対1 (全単射)で対応している。
ここで、さきに変換公式を示しておきます。
注:上図での\(\Phi\)は右向きだが、以下の変数変換式は\(D’\)上の積分を\(D\)上の積分に帰着させる意図である。
 重積分の変数変換  (2変数)

\( \dsii_D f(x,y) dxdy\) \(=\dsii_{D'} f( x(u,v),y(u,v) ) | J | du dv\) \(\ \scriptsize {:❷}\)


\(J\):ヤコビアン(またはヤコビアン行列式、関係行列式)という。

\(J(uv)=\color{red}{ \pdif{(x,y)}{(u,v)} }\) \(= \begin{vmatrix} \pdif{x}{u} & \pdif{x}{v} \\ \pdif{y}{u} & \pdif{y}{v} \end{vmatrix} \) \(=\pdif{x}{u}\pdif{y}{v} - \pdif{x}{v} \pdif{y}{u}\)

・x,y の変数u,v は省略して表記した。
・ヤコビアンを \(\color{red}{ \pdif{(x,y)}{(u,v)} }\) と表わす。

式❷ より  \(dx\ dy=|J| du\ dv\)

•導出は以下による


☞  注:2次元の極座標のヤコビアンの 【参照先】

極座標変換
 fig5 座標変換の微小部

 この変換は全単射の写像だから 領域\(D\)を小分割に分けると、それに応じて 領域\(D'\)も小分割になる。
微小な長方形の\(\Delta D\)は変換により滑らかな4辺の曲線片\(\Delta D’\)となる。
長方形\(\Delta D\)の面積は直接求まるが曲線片\(\Delta D’\)の面積をどう求めるかがポイントになる。
図では曲線座標の\(uv\)座標にベクトル\(\bv{A}, \bv{B}\)を表わしている。
2つの接線ベクトル\(\bv{A}, \bv{B}\)が張る面積は点\(a'\)における接平面です。
そしてベクトル\(\bv{A}, \bv{B}\) の外積の大きさ(絶対値)は接平面の面積を示す。
 (分割数を \(n \to \infty\) にするような微小な接平面の集合が曲面を形成する)
分割数\(n\)を大きくして分割を細かくしていくと曲線片の面積はその接平面に近似できるようになる。すなわち:
 \(ΔS= |\bv{A} \x \bv{B}| \) である。
【補足】 平行四辺形の面積
ベクトル\(\bv{A}\)と\(\bv{B}\)が作る平行四辺形の面積は外積で求まる。
(ベクトルの成分を縦型で表示)
\(\bv{A}= \begin{pmatrix} x_A \\ y_A \end{pmatrix} \) , \(\bv{B}= \begin{pmatrix} x_B\\ y_B \end{pmatrix} \) とすると
\(\bv{A} \x \bv{B}\) \(= \left( \begin{array}{c} x_A \\ y_A \end{array} \right) \) \( \x \left( \begin{array}{c} x_B \\ y_B \end{array} \right) \) \(= \left( \begin{array}{c} x_B&y_A\\ x_A&y_B \end{array} \right) \) \(\ul{:ⓐ}\)
面積Sは外積の絶対値です。
2次元の場合(2行2列)では行列式と同じになる。
\(S=|\bv{A} \x \bv{B}|\) \(= \left| \left( \begin{array}{c} x_B&y_A\\ x_A&y_B \end{array} \right) \right| \) \(= \left| \begin{array}{c} x_B&y_A\\ x_A&y_B \end{array} \right| \)
外積(ベクトル積、クロス積ともいう) 【参照先】
 ヤコビアン\(J\) と変数変換❷の導出 

点\(a' (x(u,v),y(u,v) ) \)
点\(b' (x(u+Δu,v), y(u+Δu,v) ) \)
点\(c'(x(u,v+Δv), y(u,v+Δv) )\)
点\( b',\ c' \)の位置情報(2変数)のテイラー展開1次近似を求める:

2変数のテイラー展開:
\(f(a+h,y+k)≒f(a,b)+hf_x(a,b)+kf_y(a,b)\)
下式では \(h,k \to Δu,Δv\)、どちらかは0 である。

\( x(u+Δu,v)≒x(u,v)+\pdif{x}{u}(u,v)Δu\) :➀ 
\( y(u+Δu,v)≒y(u,v)+\pdif{y}{u}(u,v)Δu\) :②
\( x(u,v+Δv)≒x(u,v)+\pdif{x}{v}(u,v)Δv\) :③
\( y(u,v+Δv)≒y(u,v)+\pdif{y}{v}(u,v)Δv\) :④

ベクトル:
\(\bv{A}=\vec{a'b'}\) \(= \begin{pmatrix} B_x \\ B_y \end{pmatrix} \) \(,\) \(\bv{C}=\vec{a'c'}\) \( \begin{pmatrix} C_x \\ C_y \end{pmatrix} \)
として、ベクトルの成分\(\bv{B},\bv{C}\)を求める

\(B_x=➀-x(u,v)=\pdif{x}{u}(u,v)Δu\) 
\(B_y=②-y(u,v)=\pdif{y}{u}(u,v)Δu\)
\(C_x=③-x(u,v)=\pdif{x}{v}(u,v)Δv\)
\(C_y=④-y(u,v)=\pdif{y}{v}(u,v)Δv\)

この結果を上記のⓐの行列式に代入する。
以下\(x(u,v),y(u,v)\)の\((u,v)\)は省略表記する。

\(S= \left| \begin{array}{c} B_x&C_x\\ B_x&C_y \end{array} \right| \) \(= \begin{vmatrix} \pdif{x}{u}Δu & \pdif{x}{v}Δv \\ \pdif{y}{u}Δu & \pdif{y}{v}Δv \end{vmatrix} \) \( = \underline{ \begin{vmatrix} \pdif{x}{u} & \pdif{x}{v} \\ \pdif{y}{u} & \pdif{y}{v} \end{vmatrix} } Δu\ Δv \)

注:行列式の性質から\(Δu\ Δv\)は外にだせる。
☞  行列式の多重性【参照先】

 \(= \ul{J}\ Δu\ Δv \)

\(J= \begin{vmatrix} \pdif{x}{u} & \pdif{x}{v} \\ \pdif{y}{u} & \pdif{y}{v} \end{vmatrix} \) \(=\pdif{x}{u}\pdif{y}{v} - \pdif{x}{v} \pdif{y}{u}\)

\(Δu\ Δv\)は長方形の面積。
また極限では\(Δu\ Δv \rightarrow du\ dv\)
これより \(dx\ dy=|J| du\ dv\) となり公式❷ が成り立つ。
\(J\) は面積要素「\(dx\ dy→du\ dv\)」の変換するときの調整役を担っています。

☞  さらなるヤコビアン例【参照先】

例題3: 次の重積分を求めよ

\(\iint_D \underline{ f(x,y) } dxdy\) \(=\iint_D \underline{\sqrt{a^2-x^2-y^2} } dxdy\)

 但し\(\underline{z=f(x,y)≥0}\):半球 (全球体のとき \(z=\pm f(x,y)\) である)

\(D=\{(x,y)| x^2+y^2 ≤a^2\)\(,\ -a≤x≤ a,\ -a≤y≤a \} \)

与式の下線部より関数\(f(x,y)\)は半径\(a\)の球体であり、極座標変換が使える。
(この例題の答えは半球体の体積である。)

注:座標原点にある球面の式は:
\(a^2=x^2+y^2+z^2\)
\(z=f(x,y)=\sqrt{a^2-x^2-y^2}\)

また \(x=r conθ,\ y=r sinθ\)であるから
\(D'=\{(r,θ)|(rcosθ)^2+(rsinθ)^2≤a^2\)\(,\ 0≤r≤a ,\ 0≤θ≤2\pi\} \)


2次元の極座標のヤコビアンを求める
上記から\(J=r\)は既知であるが、これをヤコビアンの行列式により求めて確認してみる。

\(J= \begin{vmatrix} \pdif{x}{r} & \pdif{x}{θ} \\ \pdif{y}{r} & \pdif{y}{θ} \end{vmatrix} \) \(= \begin{vmatrix} cosθ & -r sinθ \\ sinθ & r cosθ \end{vmatrix} \) \(=cosθ rcosθ-(-)rsinθ sinθ\)\(=r(cos^2θ+sin^2θ)=r\)
期待通りの\(J\) が求まりました。


\(\dsii_D f(x,y) dxdy\) \(=\iint_D \sqrt{a^2-x^2-y^2} dxdy\) \(=\iint_D' \sqrt{q^2-(rcosθ)^2-(rsinθ)^2} |J|dr dθ \)
\(=\int_0^{2\pi} \left( \int_0^a \sqrt{a^2-(rcosθ)^2-(rsinθ)^2} \right. \) \(\left. rdr \right) dθ \)
\(=\int_0^{2\pi} \left(\underline{ \int_0^a \sqrt{a^2-r^2}\ rdr} \right) dθ \)

下線部の積分(置換積分)
\(a^2-r^2=u\) として
\(\frac{du}{dr}=-2r\) \(\quad\) \(dr=-\frac{1}{2r}du\)
\(\int r \sqrt{u} \cdot -\frac{1}{2r} du\) \(=-\frac{1}{2} \int \sqrt{u} du\)
\(=-\frac{1}{3}u^{\frac{3}{2}}\) \(=-\frac{1}{3}(a^2-r^2)^{\frac{3}{2}}\)
\(\therefore \int_0^q \sqrt{a^2-r^2}\ rdr= \frac{1}{3}a^3\)

\(=\int_0^{2\pi} \frac{1}{3} a^3 dθ \) \(=\frac{1}{3}a^3 [\ θ\ ]_0^{2\pi}\)
\(=\frac{2}{3}\ \pi\ a^3 \)
(参考:球体の体積は \(\frac{4}{3} \pi a^3\) )

例題4: 次の重積分を求めよ

\(\iint_D f(x,y) dxdy=\iint_D (x+y) dxdy\)

\(D=\{(x,y)|1-x≤y≤2-x\)\(,\color{red}{\ x-1≤y≤x }\} \)

極座標変換
  fig6 例題:座標変換

領域Dを変形する。

朱記の領域の変形:
\(\color{red}{\ x-1≤y≤x }\ \) → \(\ -1≤y-x≤0\)
\((-1)\)を掛けると → \(\ 1 \ge x-y \ge 0\)

\(D=\{(x,y)|1≤x+y≤2\)\(,\ 0≤x-y≤1\} \)

\(x+y=u\) \(,\ x-y=v\) とする。
これより\(x,yとu,v\)の関係式は

\(x=\frac{u+v}{2}\) \(,\ y=\frac{u-v}{2}\)

変数変換後の積分領域は
\(D'=\{(x,y)|1≤u≤2\)\(,\ 0≤v≤1\} \)

さらにヤコビアンは

\(J= \begin{vmatrix} \pdif{x}{u} & \pdif{x}{v} \\ \pdif{y}{u} & \pdif{y}{v} \end{vmatrix} \) \(= \begin{vmatrix} \frac{1}{2} & \frac{1}{2} \\ \frac{1}{2} & ー\frac{1}{2} \end{vmatrix} \)
\(=-\frac{1}{4}-\frac{1}{4}=-\frac{1}{2}\)

これより与式の重積分は:

\(\dsii_D f(x,y) dxdy=\iint_D (x+y) dxdy\) \(=\iint_{D'} f( x(u,v),y(u,v) ) |\ J\ | du\ dv\)
\(=\iint_{D'} f(\frac{u+v}{2},\frac{u-v}{2}) |\ J\ | du\ dv\)
\(=\iint_{D'} (\frac{u+v}{2}+\frac{u-v}{2})\ (\frac{1}{2}) du\ dv\)
\(= \int_0^1 \left( \int_{1}^{2} u \frac{1}{2} du \right) \ dv \)
\(= \int_0^1 [\frac{1}{4}u^2]_1^2 \ dv \) \(= \int_0^1 [\frac{3}{4}]_0^1 \ dv \) \(= [\frac{3}{4} v]_0^1 \ dv \) \(=\frac{3}{4}\)


例題5: 次の重積分を求めよ

\(\dsii_D f(x,y) dxdy=\iint_D \frac{x-y}{(x+y)^2} dxdy\)

\(D=\{(x,y)|1-x≤y≤2-x\)\(,\ x-1≤y≤x\} \)

この例題は被積分関数が少し複雑なので、変数変換の効果は大きい。
領域は例題4と同じなので、ヤコビアンを求めるまでは結果だけ記載する。
\(x+y=u\) \(,\ x-y=v\)

\(x,yとu,v\)の関係式は
\(x=\frac{u+v}{2}\) \(,\ y=\frac{u-v}{2}\)

\(D'=\{(x,y)|1≤u≤2\)\(,\ 0≤v≤1\} \)

ヤコビアンは \(J=-\frac{1}{2}\)

\(\iint_D f(x,y) dxdy=\iint_D \frac{x-y}{(x+y)^2} dxdy\)

\(=\iint_{D'} f(\frac{u+v}{2},\frac{u-v}{2}) |\ J\ | du\ dv\) \(= \int_0^1 \left( \int_{1}^{2} \frac{1}{2} \frac{v}{u^2} du \right) \ dv \)

\(= \int_0^1 [\frac{1}{2} v (-\frac{1}{u})]_1^2 \ dv \) \(= \int_0^1 \frac{1}{4} v \ dv \)

\(= \frac{1}{4} [\frac{1}{2}v^2]_0^1\)\(=\frac{1}{8}\)


 ヤコビアン全般 

その他の極座標変換
よく使うヤコビアンを記載しておきます。
•コビアンの定義式(2次元):
\(\quad J=\dspder{x,y}{(u,v)}\) \(= \begin{vmatrix} \pdif{x}{u} & \pdif{x}{v} \\ \pdif{y}{u} & \pdif{y}{v} \end{vmatrix} \) \(=\pdif{x}{u}\pdif{y}{v}- \pdif{y}{u}\pdif{x}{v}\)

•円板(平面の円)
\(x=r conθ,\ y=r sinθ\)として
\(J= \begin{vmatrix} x_r & x_θ \\ y_r & y_θ \end{vmatrix} \) \(= \begin{vmatrix} \pdif{x}{r} & \pdif{x}{θ} \\ \pdif{y}{r} & \pdif{y}{θ} \end{vmatrix} \) \(= \begin{vmatrix} cosθ & -r sinθ \\ sinθ & r cosθ \end{vmatrix} \) \(=cosθ rcosθ-(-)rsinθ sinθ\)\(=r(cos^2θ+sin^2θ)=r\)

•球体 (導出の【参照先】)
\(x=rsinθ cos \phi\) \(\quad\) \(y=rsinθ sin\phi \) \(\quad\) \(z=rcosθ\) として
(θはz軸とrとの角、θはx軸とrとの角)
行列式演算(サラスの公式)の 【参照先】
\(J= \begin{vmatrix} x_r & x_θ & x_{\phi} \\ y_r & y_θ & y_{\phi} \\ z_r & y_θ & z_{\phi} \end{vmatrix} \) \(= \begin{vmatrix} sinθ cos \phi & r cosθ cos \phi & -rsinθ sin \phi \\ sinθ cos \phi & r cosθ sin \phi & r sinθ cos \phi \\ cosθ & -rsinθ & 0 \end{vmatrix} \) \(=r^2 sinθ\)

•円柱 (導出の【参照先】)
\(x=r conθ,\ y=r sinθ\)\(, \ z=Z\) として
\(J= \begin{vmatrix} x_r & x_θ & x_{\phi} \\ y_r & y_θ & y_{\phi} \\ z_r & y_θ & z_{\phi} \end{vmatrix} \) \(= \begin{vmatrix} cosθ & -rsinθ & 0 \\ sinθ & r cosθ & 0 \\ 0 & 0 & 1 \end{vmatrix} \) \(=r\)

•ヤコビアン行列の一般式
最後にヤコビアン行列の一般式(\(\ n\x n\)型)を記載しておきます。

\(J=\dspder{(f_1,f_2 \cdots f_n)}{(x_1,x_2 \cdots x_n)}\) \(= \begin{vmatrix} \pdif{f_1}{x_1} & \pdif{f_1}{x_2} & \cdots & \pdif{f_1}{x_n}\\ \pdif{f_2}{x_1} & \pdif{f_2}{x_2} & \cdots & \pdif{f_2}{x_n}\\ \vdots & \vdots & \vdots & \vdots \\ \pdif{f_m}{x_1} & \pdif{f_n}{x_2} & \cdots & \pdif{f_n}{x_n} \end{vmatrix} \)

以上

coffe

[コーヒーブレイク/閑話]…お疲れ様でした。