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湘南理工学舎

 楽しく学ぶ…相対性理論の準備

 ベクトル積(外積)

(vector product/vector cross product)

 --目 次--

直交座標の右手系・左手系
ベクトル積(または外積)
ベクトル積の性質
ベクトル積の大きさは平行四辺形の面積に等しい
スカラーの3重積に関する証明
ベクトルの3重積に関する証明
その他の証明
 ∗ヤコビの恒等式の証明
 ∗2つの外積の内積が行列式で表している証明。

直交座標の右手系・左手系
直交座標(デカルト座標ともいう)\((x_1,x_2,x_3)\)(※) において\(x_1\)軸の正方向から\(x_2\)軸の正方向へ右回転(下から見て)すると、\(x_3\) 軸の正方向の向きになる座標系を右手系いう。
また左回転の場合を左手系という。
右手系であれば右手の親指、人差し指、中指(を直角に交差させて)と各座標\((x_1,x_2,x_3)\)が相当する。
左手系は左の手で同じことをやればよいのです。
注:※多次元を意識しているので座標\((x,y,z)\)を座標\((x_1,x_2,x_3)\)としています。

ベクトル空間内の右手系、左手系いずれか回転の向きを決めることを、空間に「向き付け」という。
通常は右手系を選んでいます。ここでも右手系です。
  
inner product


ベクトル積(または外積)
(vector product/cross product)
ベクトル積また外積というが、計算は2つのベクトルの成分をクロスの掛け算となるのでクロス積ともいう。
ベクトル \(a= \left( \begin{array}{c} a_1 \\ a_2 \\ a_3 \end{array} \right) \) \(,\) \(b= \left( \begin{array}{c} b_1 \\ b_2 \\ b_3 \end{array} \right) \) として:

\( v=a \times b=\) \( \left( \begin{array}{c} a_2 b_3 - a_3 b_2 \\ a_3 b_1 - a_1 b_3 \\ a_1 b_2 - a_2 b_1 \end{array} \right) \) \(= \left( \begin{array}{c} v_1 \\ v_2 \\ v_3 \end{array} \right) \)
をベクトル積という。

 この計算方法は下の図の通りです。
覚えやすい方法です。
\(v_1\)の成分を例にして説明すると。\(v_1\)は\(a_1,b_1\)をマスクして(灰色部)、すなわち\(a_1,b_1\)を省いた(2x2)型の行列計算の結果である。
但し、\(a_2,b_2\)をマスクすると正負が逆となり、次のマスク\(a_3,b_3\)では正に元に戻る。
(注:ベクトル積の結果はベクトルなので、成分表示です)
(1)外積計算
(2)外積計算
(3)外積計算

ベクトル積は以下のような表し方があります:
\( v=a \times b\) \(=(v_1 ,v_2 ,v_3 )\)

\(=\left( \left( \begin{array}{c} a_2 & b_2 \\ a_3 & b_3 \end{array} \right) , \left( \begin{array}{c} a_3 & b_3 \\ a_1 & b_1 \end{array} \right) , \left( \begin{array}{c} a_1 & b_1 \\ a_2 & b_2 \end{array} \right) \right) \)

注:上のベクトルの2つ目\(v_2\)の成分は、行の上下が入れ替わっているのに注意。
補足すると、行列式の行を入れ替えの1回目は負に、2回目の入れ替わりで正に替わります。
(入れ替わり回数…奇数回:負 、 偶然回:正 ということ)
   
ベクトル a, b のベクトル積の性質
図の通り、右手系は右ねじの「下から上に向けて、右回しで上に進む」ことです。
すなわち、\(a\)から\(b\)に、下から見て右に回し \(v\)の方向に進む、これは右ねじの法則です。

closs product
(上図を参照)

(ⅰ)\(v \perp a \) , \(v \perp b\) (v はa と b に直交する)

(ⅱ)v の長さは a と b に作る平行四辺形の面積に等しい。

 \( S = | a | | b | sin θ=|a × b | \)

(ⅲ)ベクトル\(a,b,v\)はこの順序で正の向きをもつ。

(ⅳ)その他
(a)\( a \times b= -b\times a \)
 (内積は交換則が適用できたが、ベクトル積は不可です。)
(b)\(a /\!/ b\) のとき、aとbに垂直な方向は定まらない。
 \(a\)と\(b\)の作る平行四辺形は退化(例えば退化した長方形は線分になる)して面積は0になる。
 \(a /\!/ b\ ⇔\ a\times b=0\)
(c)\(a \times(b+c)=a \times b + a \times c \)

(d)\((ka)\times b=k(a\times b)\)\(=a\times (kb)\)
 (kは定数(スカラー))


以下について説明を兼ねて証明します。
[1]外積vはベクトルa、bの作る平行四辺形の面積Sに等しいことの証明。
[2]スカラーの3重積の証明
[3]ベクトルの3重積の証明
[4]その他の証明
[1]外積 v の大きさは平行四辺形の面積Sに等しい
 \( S=|a||b|sinθ=|a\times b|\)の証明

左辺を2乗すると:
\( (|a||b|sin θ)^2=|a|^2 |b|^2 sin^2 θ\)

\(=|a|^2|b|^2(1-cos^2 θ)\)

\(=|a|^2 |b|^2-\underline{|a|^2 |b|^2 cos^2 θ } \)

\(=|a|^2 |b|^2-\underline{(a\cdot b)^2} \) (※1)

 注(※1):内積の性質から
 \( (a\cdot b)=|a||b| cos\ θ \) である。

上式が「ベクトルa とb の外積」になるかを証明すればよい。
\(a=(a_1,a_2,a_3), \ b=( b_1,b_2,b_3)\) として右辺を展開すると:
\(S^2=\underline{|a|^2 |b|^2} -(a \cdot b)^2 \)

\(=\underline{(a_1^2+a_2^2 +a_3^2) (b_1^2+b_2^2+b_3^2)} \) \( -(a_1 b_1+a_2 b_2+a_3 b_3)^2\)

上式の展開に疑問の方は 【ここを参照】

\(=a_1^2 b_1^2+a_1^2 b_2^2+a_1^2 b_3^2\)\(+a_2^2 b_1^2 +a_2^2 b_2^2 +a_2^2 b_3^2\) \(+a_3^2 b_1^2 +a_3^2 b_2^2 +a_3^2 b_3^2\) \(- 2 a_1 a_2 b_1 b_2\) \(- 2 a_1 a_3 b_1 b_3\) \(- 2 a_2 a_3 b_2 b_3\)

\(=(a_2 b_3-a_3 b_2)^2 + (a_3 b_1-a_1 b_3)^2 \) \( + (a_1 b_2-a_2 b_1 )^2\)

上式は以下のベクトル積ですね
【ここを参照】
\(= \left( \begin{array}{c} a_2 & b_2 \\ a_3 & b_3 \end{array} \right)^2 \) + \(\left( \begin{array}{c} a_3 & b_3 \\ a_1 & b_1 \end{array} \right)^2 \)

\( \quad + \left( \begin{array}{c} a_1 & b_1 \\ a_2 & b_2 \end{array} \right)^2 \)

\(=(a \times b)^2\)

\( \therefore \ S=\sqrt{(a \times b)^2}=a \times b \ \) 証明終わり


[2]スカラーの3重積
 が平行6面体の体積に等しい証明
下式をスカラーの3重積という。
\(\underline{ [\ a\ b\ c\ ] } =(a\times b)\cdot c\)

\(= \left| \begin{array}{c} a_2 & b_2 \\ a_3 & b_3 \end{array} \right| c_1 \) + \(\left| \begin{array}{c} a_3 & b_3 \\ a_1 & b_1 \end{array} \right| c_2 \)

\( \quad + \left| \begin{array}{c} a_1 & b_1 \\ a_2 & b_2 \end{array} \right| c_3 \)

上の\([a b c]\) はグラスマンの記号(角括弧)と呼び、スカラーの3重積を表す。
証明する前に述べますが、グラスマン記号では:

\([a b c]=[c a b]=[b c a]\)となります。
スカラーの三重積はベクトルの順序によりません。

inner product
\(v=a\times b\)と\(c\)のなす角を\(ϕ\)とします。
\(v \cdot c = | v | | c | cos ϕ =[a\ b\ c]\)

は正の向きである。

\([a b c]= (a\times b)\cdot c=v\cdot c > 0\)

\(\therefore | c | cos ϕ >0 \)

上式は\(a\)と\(b\)の作る平面に対する平行六面体の高さである。
\(\therefore\)スカラーの3重積\([a b c]\)は平行六面体の体積となる。

また次の式が成り立ちます。
\([a b c]=(a\times b)\cdot c=(b \times c)\cdot a \)

\( \quad  =(c\times a)\cdot b\)

図形的に「六面体の底面を2つのベクトルが作り、高さを残りのベクトルが作っている」からスカラーの三重積はベクトルの積の順番によらないことが判ります。
すなわち\([a b c]=[c a b]=[b c a]\)となります。

[3]ベクトルの3重積
\((a\times b)\times c=(a \cdot c)b-(b \cdot c)a\) ➀

\(a\times (b\times c)=(a \cdot c)b-(a \cdot b)c\) ②

上式がベクトルの3重積です。(ラグランジュの公式ともいう)

ここでは式①を証明します。
(式②も同様の考え方です。)

どんなベクトルなのか:
幾何学的意味を考えます。
\(a\)と\(b\)が作る平面に垂直なベクトルを\(D\)とする。
すなわち\(D=a\times b\)である。
この\(D\)と\(c\)が作る平面に垂直なベクトル\(E\)とする。
結局、\(E\)は\(a\)と\(b\)が作る平面にあるベクトルです。
このベクトル\(E\)がベクトルの3重積です。
それでは証明に進みます。

\(v=a \times b=(v_i)\) とする。(i=1~3)

\((a\times b)\times c=(v_i)\times c\)

\(= \underline{(v_2 c_3-v_3 c_2)}+(v_3 c_1-v_1 c_3) \) 

\(\qquad + (v_1 c_2-v_2 c_1 ) \)

以下は第1成分について証明します。
\(V_1= \underline{(v_2 c_3-v_3 c_2)}\)

\(=(a_3 b_1-a_1 b_3)c_3-(a_1 b_2-a_2 b_1) c_2\) 
上式を変形すると:
\(=(a_3 c_3+a_2 c_2)b_1-(b_3 c_3+b_2 c_2) a_1\) 

\(=\underline{(a\cdot c)b_1-(b\cdot c)a_1} \)

第2、第3成分も同様に証明できます。
これより
\(a\times (b\times c)= \underline{(a \cdot c)b-(a \cdot b)c} \)

…証明終わり

注1:\(a\times (b\times c) \ne (a\times b)\times c\)

注2:以下の公式も記載しておきます。

\((b\times c)\times a=(a \cdot b)c-(a \cdot c)b\)

\((c\times a)\times b=(b \cdot c)a-(a \cdot b)c\)

\(b\times (c\times a) =(a \cdot b)c-(b \cdot c)a\)

\(c\times (a\times b) =(b \cdot c)a-(a \cdot c)b\)


[4]その他の証明

➀ヤコビの恒等式の証明:

\( \underline{((a×b)×c+(b×c)×a+(c×a)×b=0} \)

ベクトルの三重積より、上式を展開すると以下の通り「0」となる。

・前の式①の記号を替えて利用する。
(また前記の注記の式をそまま利用してもよし)
\((a\times b)\times c=(a \cdot c)b-(b \cdot c)a\) ➀

・内積 \( a \cdot b = b \cdot a \) :交換可能なので

\((a \cdot c)b-(b \cdot c)a+(b \cdot a)c-(c \cdot a)b \)

\(\qquad +(c \cdot b)a-(a \cdot b)c = 0\)

…証明終わり

②2つの(外積)の内積が行列式の形で表している証明。

\(\underline{(a×b) \cdot (c×d)) }\) \( = \underline{ \left| \begin{array}{c} a \cdot c & b \cdot c \\ a \cdot d & b \cdot d \end{array} \right| } \)

\((c \times d)=F\)として\(c \times d\)を一つのベクトル\(F\)として展開するこにより導き出せる。

\((a \times b) \cdot (c \times d)=\underline {(a \times b) \cdot F=(F \times a) \cdot b} \)
 (スカラーの3重積の形になり⇒ベクトルの積の順番はフリー)

\(=( \underline{(c \times d)\times a)} \cdot b = \{(c \cdot a)d-(d \cdot a)c\} \cdot b \)
 (上ではベクトルの3重積の式を展開した)

\(=(a\cdot c)(b\cdot d)-(a\cdot d)(b\cdot c) \)

\( = \left| \begin{array}{c} a \cdot c & b \cdot c \\ a \cdot d & b \cdot d \end{array} \right| \) …証明終わり


coffe

[コーヒーブレイク/閑話]…お疲れさまでした