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湘南理工学舎
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2020/04/14

 楽しく学ぶ…相対性理論の準備

 計量空間と基底

(metric vector space and basis)
 --目 次--
空間とは
線形とは
計量空間(計量線形空間)
正規直交基底
ノルム(ベクトル大きさの定義)
    
空間とは
 ここでいう空間とは各ベクトルの要素 (元) からなる集合がうまる空間のイメージです。
例えば3次元空間であれば3つの基底ベクトルで表わせるベクトルです。
ベクトル空間に基底が与えられれば、その空間の要素は基底ベクトルの線型結合として表すことができる。
(下の式 (1),(2)線形結合です、ベクトルの定数倍を加算したものです)
このすべての要素の集合をベクトル空間(vector space)または線形空間(linear space)という。
例えば電場(電界)は電気力が働く空間、磁場(磁界)は磁気力が働く空間のことですが、電界も磁界もベクトルなのでベクトル空間です。
空間についてはこの程度にしますが、様々な名称の空間があるので参考までに
列記しときます。
…ユークリッド空間/非ユークリッド空間、計量空間、双対空間、時間空間、位相空間・・・

線形とは
 線形代数学(linear algebra)で扱う「線形」のこと。
  (「線型」と書いている本もありますね)
関数  \( f(c_1 x +c_2 y)=C_1 f(x) + C_2 f(y) \) が成立することを線形といいいます。
例えば\(y = f ( x )=x\ \) は1次式であり直線、比例的な関係にあり、線形です。
変数が複数でも1次式で表せるから線形である。
\( y=c_1 x_1+ c_2 x_2+ ・・・+c_n x_n\)

行列のベクトルを\(x\)として、下式は:
\(y=c x\) または定数bを加えて\( y=c x+b\)
これも1次式であるから線形である。
注:線形空間については線形代数学で扱います。
これから説明する計量線形空間と大きく異なることは一般の線形空間には内積が備わっていないことです。

計量空間(計量線形空間)
(metric vector space)
 計量とは聞き慣れない言葉ですね! そこで簡単に説明します。
線形代数学で扱うのが線形空間ですが、さらなる幾何学を追及するためには不十分です。 そこで線形空間に内積を導入したものを「計量空間(計量線形空間)」といいます。
(「内積空間(inner product space)」とか「計量ベクトル空間」ともいう。)
これは距離の概念が導入されたベクトル空間ということになります。
内積はベクトル空間の代数的な性質と幾何的な性質をとりもつことになる重要なものです。
(内積は相対性理論で多用しています)
すなわち内積によって、空間上のベクトルの長さや二つのベクトルの間の角度などを知ることができます。
また、あとで説明する「ノルム」により距離の概念が導入できることになります。
計量線形空間の定義(内積の性質、ノルムの性質)については、次講で行います。

正規直交基底
(orthonormal basis)
線型空間Vに直交座標をとり、その原点をO、座標軸上の単位ベクトルを\(e_1, e_2, e_3\)とする。
この\(e_1, e_2, e_3\)を基本ベクトルともいう。
計量線形空間は線形空間であるから、一組の基底によって生成される。
 基底は基本ベクトルであり、お互いに直交するベクトルで作られる基底で下記の(※)を満たすとき「正規直交基底」という。
(「正規」とは大きさが”1”のこと)
正規直交基底は\( \{e_1, e_2, e_3\}\) などと表す。
そして正規直交基底は次の条件を満たす。(※)
\( \begin{eqnarray} e_i•e_j  = \begin{cases} 1 & (i=j) \\ 0 & (i≠j) \end{cases} \end{eqnarray} \)

orthonormal basis
正規直交基底に関し、正規直交座標の点の座標は一般に\( (x, y, z) \)が用いられるが、これからは
\(x_1=x,\ x_2=y,\ x_3=z\ \)として \(x_1,x_2,x_3 \) または単に\((x_i)\) と表す。
(x,y,zの3軸/3次元以上を扱うからです。相対論では時間軸が追加され4軸、すなわち4次元となるからです。)
点\(P(x_i)\)の原点に関する位置ベクトル\( r= \vec{OP}\)は:
\((1)\ r=x_1 e_1+x_2 e_2+x_3 e_3 \)

と表せる。
また、空間ベクトル\(a\) は正規直交基底に関し、基本ベクトルの1次結合で以下のように表せる。
\((2)\ a =a_1 e_1+a_2 e_2+a_3 e_3=\displaystyle \sum_{ i = 1 }^{ 3 }(a_i \cdot e_i)\) 

上式\((a_1,a_2,a_3)\) をベクトル\(a\) の正規直交基底についての「成分」という。
正規直交基底が定まっているときベクトル\(a\)を\( a=( a_1 ,a_2 ,a_3 )\) または \( a=(a_i)\) 表す。

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[コーヒーブレイク/閑話]…お疲れさまでした