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湘南理工学舎
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2021/3/27

 楽しく学ぶ数学…物理数学

 曲線と接線・全微分

 (1変数の微分係数の応用)

 本講では2変数(空間)での「曲面と接平面」を学ぶ準備として、1変数(平面)での「曲線と接線」について復習をします。
曲線のある点での接線の傾きは微分係数です。
  図は1変数関数の曲線とその点における傾き(接線)を表わしています。
この傾きが微分係数です。微分係数の定義式は:

\( f’(a) = \lim_{\varDelta x \to 0}\frac{ f(a+\varDelta x) - f(a) }{\varDelta x} \) \(=\lim_{\varDelta x \to 0}\frac{ \varDelta y }{\varDelta x} \)

さらに図のε(∇\(x\)) は次のように考える。

\( f(a+\varDelta x)-f(a) = f'(a) \varDelta x + ε(\varDelta x) \)

上式の両辺をhで割って、\( \varDelta x \)を限りなく0に近づけると、微分係数の定義から

\( \lim_{\varDelta x \to 0} \frac{ε(\varDelta x)}{\varDelta x } = 0 \)
であるから

\( \lim_{\varDelta x \to 0}\frac{ f(a+\varDelta x)-f(a)}{\varDelta x} \)

\( = f'(a) + \lim_{\varDelta x \to 0} \frac{ε(\varDelta x)} {\varDelta x }\) \(= f'(a)\)

  となります。
上の最後の式は \( \ \frac{0}{0} \ \) の不定形であるが、上記より0に収束、すなわち極限値の答えが 0 である。 
0 になることは ε(\( \varDelta x\))は\(\varDelta x\)より高位の無限小であることを示している。
(ε(\( \varDelta x\))が\(\varDelta x\)より早く0に収束する。)
\( a+\varDelta x \)を\(a\) に限りなく近づければ ε(\( \varDelta x\))は0となり、接線の傾きに収束します。

また接線の方程式は\( f'(a)=m \) とすると
\( y-f(a)= f'(a)(x-a)= m(x-a) \)
 
 
 
図1. 曲線と接線
2次元の曲線と接線
 (ここであえて2変数の微分表記の\( \frac{\partial f}{\partial x} \)を使っています)
1変数関数\(f\)の変化量\(\varDelta f\)は直線の傾きを\( \frac{\partial f}{\partial x} \)の形で表す。 さらに区間\( \varDelta x \)を限りなく小さくし、\( \varDelta x →dx 、\varDelta f →df \)にして変形すると見慣れた全微分式となる。

\( \varDelta f=\frac{\partial f}{\partial x}\varDelta x +\frac{\partial f}{\partial y} \varDelta y(=0)\) \(=\frac{\partial f}{\partial x} \varDelta x \quad \dotsm\)

\( \therefore df = \frac{df}{dx} dx \)

ある点x=aでの傾き(微分係数)とすると
\( \left. df \right |_{ x = a }=\) \(\left. \frac{ dy }{ dx } \right|_{ x = a } dx\) \(= f'(a)\ dx = m\ dx \)

mは点Aにおける傾きで定数であるから上式(1変数の全微分式)は直線となる。


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[コーヒーブレイク/閑話]…接線の概念が曲線の曲率に!

ここで曲線の接線と曲線の曲率を見ていきましょう。

 曲線上の近接している2点での接線が交差する角度は曲線の曲がり具合を示しています。…これが出発点です。
2次元では曲線と接線の関係ですが、3次元ではどうなるか…曲面と接平面が対応すると推測されるが……これについては後の講義で取り上げます
下図は平面の曲線と接線と微小な弧について描いています。


【曲線の接線と曲率】

曲線の接線と曲率

 曲率は曲線の曲がり具合を表している、図の点Dは曲率が小さく(曲がりが小さい)、点Cは曲率が大きい。(曲がりが大きい)
そして曲率κは今、学んだ「接線」を用いて次式で計算できます。
\( κ = \lim_{B \to A} \ \ \frac{α}{h_{AB}} \)
 曲線のABの弧の長さ \( {h_{AB}} \)は、Aの接線とBの接線のなす角 α とします。
BをAに近づけるように回転させると、Bの接線はAの接線と平行になろうとする。
このようにBをAに近付けて、2つの接線のなす角 α と弧の長さ\( {h_{AB}} \) の比の値の極限を曲線の点Aでの曲率という。
ここでの弧は円弧でないが、十分小さな領域なら円弧に近似できるので、κ の逆数を曲率半径と呼んでいる。