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湘南理工学舎
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2020/11/10

 楽しく学ぶ…初歩の数学

  2項定理と組合せ

(binomial theorem ・combination)

 --目 次--

2項定理の公式

公式の利用

証明(1)

証明(2)

証明(3)

パスカルの3角形

2項定理を思い出す方法

1.2項定理の公式
2項定理は 2 つ項の n 乗の式を展開する式です。

\( (x+y)^n\) \( = \displaystyle \sum_{ r = 0 }^{ n } \ \color{red}{\underline{ {}_n \mathrm{ C }_r}} \ x^{n-r} \ y^r\)

\( = {}_n \mathrm{ C }_0 x^{n} + {}_n \mathrm{ C }_1 x^{n-1} y\) \(+ {}_n \mathrm{ C }_2 x^{n-2} y^2 +\) \(\cdots + {}_n \mathrm{ C }_r x^{n-r} y^r\) \(\cdots+ {}_n \mathrm{ C }_{n-1} x y^{n-1}+{}_n \mathrm{ C }_n y^n\)


公式の係数部を2項係数といい、2通りの表し方があります。
\( \color{red} {\underline { {}_n \mathrm{ C }_r = \binom{ n }{ r } }} \)\( =\frac{n!}{r! \ (n-r)!}\)


よく使う2項係数の値を書いておきます。
\({}_n \mathrm{ C }_0 \) \(= \frac{ n!}{0!\ (n-0)!}= 1\) \(\quad {}_2 \mathrm{ C }_0 =1 \) \(\quad {}_3 \mathrm{ C }_0 =1 \)

\({}_n \mathrm{ C }_n \) \(= \frac{ n!}{n!\ (n-n)!}= 1\) \(\quad{}_2 \mathrm{ C }_2 =1 \) \(\quad{}_3 \mathrm{ C }_3 =1 \)

\({}_n \mathrm{ C }_2 = {}_n \mathrm{ C }_{n-2} =\frac{1}{2} \left( n(n-1) \right) \)

\({}_n \mathrm{ C }_1 = {}_n \mathrm{ C }_{n-1} =n \)
    
[思いだそう]
\({}_n \mathrm{ C }_r\) \(={}_n \mathrm{ C }_{n-r}\)
異なる5個からr個を選ぶこと 選んでいない (n-r) 個を選ぶこと

2.公式の利用
(1) \( (a+b)^2= {}_2 \mathrm{ C }_0 a^2 + {}_2 \mathrm{ C }_1 a b + {}_2 \mathrm{ C }_2 b^2 \) \(=a^2+2ab+b^2\)

(2) \( (a+b)^3= {}_3 \mathrm{ C }_0 a^3 + {}_3 \mathrm{ C }_1 a^2 b + {}_3 \mathrm{ C }_2 a b^2 + {}_3 \mathrm{ C }_3 b^3 \) \(=a^3+3a^2b+3ab^2+b^3\)

(3) \( (1+x)^n = \displaystyle \sum_{ r = 0 }^{ n } \ {}_n \mathrm{ C }_r \ x^n\)

\(= {}_n \mathrm{ C }_0 + {}_n \mathrm{ C }_1 x + {}_n \mathrm{ C }_2 x^2 \) \( + \cdots + {}_n \mathrm{ C }_r x^n\) \( +\cdots + {}_n \mathrm{ C }_{n-2} x^{n-2}\) \( + {}_n \mathrm{ C }_{n-1} x^{n-1} +{}_n \mathrm{ C }_{n} x^{n} \)

   
3.証明
  上の公式の係数部が「2項係数」であることから2項定理には「組み合わせ」が関係していると推測しますよね!
その通りです。ここでは「組み合わせ」を使い証明していきます。
はじめは具体的な例から証明をはじめます。

(1) \( (x+y)^2=(x+y)(x+y)\)
 \(= x^2+2xy+y^2\)
 \(=\underline{1}\ x^2+\underline{2}\ xy+\underline{1}\ y^2\) ❶

ポイント:
・上式の下段の展開式の各項の係数に注目しよう。
・X , y は文字として扱う。

以下は左の因数=「左」,「右の因数=「右」,括弧=【 】 という。
①【左】から x、【右】から x を選ぶ⇒ \(x^2\)
②【左】から x、【右】から y を選ぶ⇒ \(xy\)
③【左】から y、【右】から x を選ぶ⇒ \(yx\)
④【左】から y、【右】から y を選ぶ⇒ \(y^2\)
②と③をまとめる:\(2xy\)

ここで2乗の式を公式から展開してみる。
\((x+y)^2=(x+y)(x+y)\)

\(= \overbrace{ \color{red}{{}_2 \mathrm{ C }_0}}^{(a)} x^2 + \overbrace{\color{red}{{}_2 \mathrm{ C }_1}}^{(b)} \ x y + \overbrace{\color{red}{{}_2 \mathrm{ C }_2}}^{(c)} \ x^2 \) ❷


係数部(a)(b)(c)を組み合わせにより説明する。
(a)=①:\(x^2\) の係数 
2つの【 】から y を 0 個選ぶ、選び方: \(= \color{red}{{}_2 \mathrm{ C }_0}=1\) 
これは y を 選ばない、選び方です。(※1)
参考:
上のことは「2つの【 】から x を 2 個 の選ぶ選び方」と同値です。(※1)
これのコンビネーションは: \( \color{red}{{}_2 \mathrm{ C }_2}=1\) 
値は「1」で同じだが、コンビネーションの表示が異なりますね!
(b)=①③:\(xy\) の係数 
2つの【 】から y を 1 個選ぶ、選び方: \(= \color{red}{{}_2 \mathrm{ C }_1}=2\) 

 (上のことは2つの【 】から x を 1 個 の選ぶ選び方と同値)(※1)
(c)=④:\(y^2\) の係数 
2つの【 】から y を 2 個選ぶ、選び方: \(= \color{red}{{}_2 \mathrm{ C }_2=1}\) 

以上から ❶=❷ …証明終わり。

注:(※1):
「組み合わせの性質(1)」を参照
   
(2) \( (x+y)^3=(x+y)(x+y)(x+y)\)
\(= x^3+x^2y+yx^2+xy^2\) \(+x^2y+xy^2+y^2x+y^3 \cdots (2)'\)  

\(= x^3+3x^2y+3xy^2+y^3 \cdots (2)''\) 


\(\quad \quad [ (x+y)^3\)の展開図 ]
binomial
 
 
\(\quad \quad\) 式 (2)' がこの展開図です
 

上図の展開図を使わないで
(1)と同様に係数について考える。(式(2)'')

\((x+y)^3\)

\(= \underline{1}\ x^3+\underline{3}\ x^2y+\underline{3}\ xy^2+ \underline{1}\ y^3 \cdots (2)''\) 

\(= {}_3 \mathrm{ C }_0 x^3 + {}_3 \mathrm{ C }_1 x^2 y +{}_3 \mathrm{ C }_2 x y^2 +{}_3 \mathrm{ C }_3 y^3 \cdots (2)''' \)

(2)'' :展開して求めた式
(2)''':2項定理いより求めた式
①3つの【 】から y を 0 個選ぶ、選び方: \(={}_3 \mathrm{ C }_0=1\) 
 (3つの【 】から x を 3 個 の選ぶ選び方と同値)

②3つの【 】から y を 1 個選ぶ、選び方: \(={}_3 \mathrm{ C }_1=2 \) 
 (3つの【 】から x を 2 個 の選ぶ選び方と同値)

③3つの【 】から y を 2 個選ぶ、選び方: \(={}_3 \mathrm{ C }_2=2\) 

④3つの【 】から y を 3 個選ぶ、選び方: \(={}_3 \mathrm{ C }_3=1\) 

  以上から (2)''=(2)''' …証明終わり。


(3)2項定理の公式の証明
\( (x+y)^n\)
\( = \displaystyle \sum_{ r = 0 }^{ n } \ \color{red}{\underline{ {}_n \mathrm{ C }_r}} \ x^{n-r} \ y^r \cdots (3)' \)

\( = {}_n \mathrm{ C }_0 x^{n}+ {}_n \mathrm{ C }_1 x^{n-1} y\) \(+ {}_n \mathrm{ C }_2 x^{n-2} y^2 +\) \(\cdots + {}_n \mathrm{ C }_r x^{n-r} y^r\) \(\cdots+ {}_n \mathrm{ C }_{n-1} x y^{r-1}+{}_n \mathrm{ C }_n y^n \cdots (3)''\)


① n 個の 【 】から y を 0 個選ぶ、選び方: \(={}_n \mathrm{ C }_0\) 
 (n 個の【 】から x を n 個 の選ぶ選び方と同値)

② n 個の【 】から y を 1 個選ぶ、選び方: \(={}_n \mathrm{ C }_1 \) 
 (n 個の【 】から x をn-1 個 の選ぶ選び方と同値)
③ n 個の【 】から y を 2 個選ぶ、選び方: \(={}_n \mathrm{ C }_2 \) 
 (n 個の【 】から x をn-2 個 の選ぶ選び方と同値)
\(\quad \quad \vdots \quad \quad \quad \vdots \)
④ n 個の【 】から y を r 個選ぶ、選び方: \(={}_n \mathrm{ C }_r \) 
 (n 個の【 】から x を n-r 個 の選ぶ選び方と同値)
\(\quad \quad \vdots \quad \quad \quad \vdots \)
⑤ n 個の【 】から y を n-1 個選ぶ、選び方: \(={}_n \mathrm{ C }_{n-1}\) 

⑥ n 個の【 】から y を n 個選ぶ、選び方: \(={}_n \mathrm{ C }_n\) 

これより各項の係数であるコンビネーションが(3)'' と 同じである。…証明終わり。

4.パスカルの3角形
下図は 2項定理の5乗までのパスカルの3角形です。

\( \begin{array}{ccccccccccccc} & & & & & & 1 & & & & & &\\ & & & & & 1 & & 1 & & & & &\\ & & & & 1 & & 2 & & 1 & & & &\\ & & & 1 & & 3 & & 3 & & 1 & & &\\ & & 1 & & 4 & & 6 & & 4 & & 1 & &\\ & 1 && 5 && 10 && 10 && 5 && 1 &\\ &\vdots&&\vdots&&\vdots&&\vdots&&\vdots&&\vdots & \\ &\vdots&&\vdots&&\vdots&&\vdots&&\vdots&&\vdots & \\ & x^5 && 5x^4y && 10x^3y^2 && 10x^2y^3 && 5xy^4 && y^5 &\\ \end{array} \)
(1)このパスカルの3角形では2項定理の5乗までの係数が表されています。
(2)上から2段目 \( (x+y)\)、3段目 \( (x+y)^2\) \(\cdots (x+y)^5 \) の2項定理の係数です。
(3)特定の段において、隣どうしの2つの数の和が、その下の段の真下の数です。
(4)これよりコンビネーションの計算をしなくても2項定理の係数が求まる利点があります。
(5)最下段は5乗の係数を利用して \( (x+y)^5\) を展開した式です。

2項定理を思い出す方法!
 2項定理を全部覚えなくても、 パスカルの3角形の構成を理解していれば、 例えば\( (x+y)^2\) の展開から得る、各項の係数 ( 1 , 2 , 1 )を書き、 これをベースにして、 その上の累乗の係数を書く。
このようにして累乗を次々に増やし、パスカルの3角形の裾野を増やしていけば、要求の n 乗にたどり着き、 \( (x+y)^n\) の展開式が書けることになる。


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[コーヒーブレイク/閑話]…お疲れさまでした