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湘南 理工学舎

 楽しく学ぶ…線形代数

 連立1次方程式と行列

(simultaneous equation and matrix)

 --目 次--

 1.掃き出し法による解法
 2.係数行列
 3.拡大係数行列
 4.行基本変形の操作
 5.解が無数に存在
 6.解が存在しない

連立1次方程式の解を次の2つの方法により求める。

 (1)加減法による解法

 (2)係数行列の掃き出し法による解法

次の方程式を例にして解いてみる。

\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 8x_1 + 2x_2=12\cdots ①\\ -2x_1 + 3x_2= 4\cdots ② \end{array} \right. \end{eqnarray} \)

解は代入法で簡単に求まるが、ここでは行列の掃き出し法を把握するため以下のような手順で求めていきます。

•加減法による解法
②を4倍して、①と足す。
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 8x_1 + 2x_2 =12 \\ -8x_1 + 12x_2=16 \end{array} \right. \end{eqnarray} \)

\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 8x_1 + 2x_2 =12 \\ 0x_1 + 14x_2=28 \end{array} \right. \end{eqnarray} \)

②を14で割る
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 8x_1 + 2x_2 =12 \\ 0x_1 + x_2=2 \end{array} \right. \end{eqnarray} \)

①に「②の-2倍」を足す
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 8x_1 + 0x_2 =8 \\ 0x_1 + x_2=2 \end{array} \right. \end{eqnarray} \)

①を8で割る。(わざと0を残しています。)
\(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x_1 + 0x_2 =1 \\ 0x_1 + x_2=2 \end{array} \right. \end{eqnarray} \)

解は\(\ x_1=1, x_2=2\)です。

この係数項の行列は単位行列になります。
(次の「掃き出し法による解法」の結果で判る)
  

【掃き出し法による解法】

連立方程式の係数の行列を A とする。これを係数行列という。 

\(A= \left( \begin{array}{c} 8 & 2 \\ -2 & 3 \end{array} \right) \) \(,x= \left( \begin{array}{c} x_1 \\ x_2 \end{array} \right) \) \(,b= \left( \begin{array}{c} 12 \\ 4 \end{array} \right) \)

とすると、連立方程式は\( Ax=b \) と表せる。

すなわち:
\(  \left( \begin{array}{c} 8 & 2 \\ -2 & 3 \end{array} \right) \left( \begin{array}{c} x_1 \\ x_2 \end{array} \right) =\left( \begin{array}{c} 12 \\ 4 \end{array} \right) \)

掃き出し法は次の拡大行列係数のところで行います。

上の例と同様な操作をすると、結果は次のようになります。

\(  \left( \begin{array}{c} 1 & 0 \\ 0 & 1\end{array} \right) \left( \begin{array}{c} x_1 \\ x_2 \end{array} \right) =\left( \begin{array}{c} 1 \\ 2 \end{array} \right) \)

\(x_1=1, \ x_2=2 \ \) となります。

上の例の操作については変数\(x_1,x_2 \ \)は機能してしていません。

1列目が\(x_1\ \)の項、2列目が\(x_2 \ \)の項として分かっていればよいことです。

そこで係数行列に定数項の列\(b \ \)を追加して以下のようにします。

\(  \left( \begin{array}{rr|r} x_1 & x_2 & b\\ 8 & 2 & 12\\ -2 & 3 & 4 \end{array} \right) \) \( \begin{array}{c} \cdots ①\\ \cdots ② \end{array} \)

これを拡大係数行列といいます。

これから拡大係数行列を掃き出し法により、係数行列を単位行列に換えていきます。

②を4倍しものに、①を足す。
\(  \left( \begin{array}{cc|c} 8 & 2 & 12\\ -8 & 12 & 16\end{array} \right) \)

\(  \left( \begin{array}{cc|c} 8 & 2 & 12\\ 0 & 14 & 28\end{array} \right) \)
第1列の掃き出しという。

②を14で割る
\(  \left( \begin{array}{cc|c} 8 & 2 & 12\\ 0 & 1 & 2\end{array} \right) \)

①に「②の-2倍」を足す
\(  \left( \begin{array}{cc|c} 8 & 0 & 8\\ 0 & 1 & 2\end{array} \right) \)
第2列の掃き出しという。

①を8で割る。
\(  \left( \begin{array}{cc|c} 1 & 0 & 1\\ 0 & 1 & 2\end{array} \right) \)
単位行列になりました。 \( [A|b] \rightarrow [E|b'] \)
解は\(x_1=1, \ x_2=2 \ \) となりまた。

掃き出しにより行を変えることを行基本変形といいます。
  

【行基本変形】

(1)2つの行を入れ替える。

(2)ある行をスカラー倍する。

(3)ある行をスカラー倍し、別の行に足す。
  

【解が無数に存在する例】

 方程式から得られる拡大係数行列を、単位行列に換えるように、行基本変形を行っていく。
• \(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 9x_1 - 6x_2 =9 \\ -3x_1 + 2x_2=3 \end{array} \right. \end{eqnarray} \)

下式はこの拡大係数行列
\(  \left( \begin{array}{cc|c} 9 & -6 & -9\\ -3 & 2 & 3\end{array} \right) \begin{array}{c} \cdots ①\\ \cdots ② \end{array} \)

②を3倍する
\(\left( \begin{array}{cc|c} 9 & -6 & -9\\ -9 & 6 & 9\end{array} \right) \)

①を②に足す
\(\left( \begin{array}{cc|c} 9 & -6 & -9\\  0 & 0 & 0\end{array} \right) \)

2行目は\( 0=0 \)、従って解は1式だけとなる。
\(9x_1-6x_2=-9 \)

\(\therefore x_1=\frac{1}{3}(-3+2x_2)\)

\(x_2 \ \)は任意にとれ、解は無数に存在することになります。
  

【解が存在しない例】

 方程式から得られる拡大係数行列を、単位行列に換えるように、行基本変形を行っていく。
、 • \(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} 9x_1 - 6x_2 =-10 \\ -3x_1 + 2x_2=3 \end{array} \right. \end{eqnarray} \)

  \( \left( \begin{array}{cc|c} 9& -6& -10\\ -3& 2& 3 \end{array} \right) \) \(\begin{array}{c} \cdots ①\\ \cdots ② \end{array}\)

②を3倍して、①をこの②に足す
\(  \left( \begin{array}{cc|c} 9 & -6 & -10\\  0 & 0 & -1\end{array} \right) \) 

行変形の操作はここで終わる。
2行目は\( 0=-1 \)、矛盾しています。

従ってこの方程式の解は存在しません。 
  

【3変数の方程式】

3変数も2変数と同様にして求める。
 方程式から得られる拡大係数行列を、単位行列に換えるように、行基本変形を行っていく。
、 • \(\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} x_1 + 2x_2 + x_3=2 \\ x_1 + 2x_2 + 2x_3=2 \\ x_1 + 3x_2 + 3x_3=0 \\ \end{array} \right. \end{eqnarray} \)

この方程式の拡大係数行列:

\( \left( \begin{array}{rrr|r} x_1& x_2& x_3& b\\ 1& 2& 1& 2\\ 1& 2& 2& 2\\ 1& 3& 3& 0 \end{array} \right) \) \(\begin{array}{c} \cdots ①\\ \cdots ②\\ \cdots ③ \end{array}\)

②と③を交換(後の計算を簡単にするため)
\( \left( \begin{array}{ccc|c} 1& 2& 1& 2\\ 1& 3& 3& 0\\ 1& 2& 2& 2 \end{array} \right) \)

②に①の-1倍を足す
\( \left( \begin{array}{ccc|c} 1& 2& 1& 2\\ 0& 1& 2& -2\\ 1& 2& 2& 2 \end{array} \right) \)

③に①の-1倍を足す(1列の掃き出し)
\( \left( \begin{array}{ccc|c} 1& 2& 1& 2\\ 0& 1& 2& -2\\ 0& 0& 1& 0 \end{array} \right) \)

①に②の-2倍を足す(2列の掃き出し)
\( \left( \begin{array}{ccc|c} 1& 0& 3& 6\\ 0& 1& 2& -2\\ 0& 0& 1& 0 \end{array} \right) \)

①に③の-3倍を足す
\( \left( \begin{array}{ccc|c} 1& 0& 0& 6\\ 0& 1& 2& -2\\ 0& 0& 1& 0 \end{array} \right) \)

②に③の-2倍を足す(3列の掃き出し)
\( \left( \begin{array}{ccc|c} 1& 0& 0& 6\\ 0& 1& 0& -2\\ 0& 0& 1& 0 \end{array} \right) \)

解:\(x_1=6,\ x_2=-2, \ x_3=0 \)
  

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[コーヒーブレイク/閑話]…お疲れさまでした