数列\(a_n\)、実数b 、変数x について:
\(\displaystyle \sum_{ n = 0 }^{ \infty } a_n \underline{(x-b)}^n\)\(= a_0+ a_1(x-b)+a_2(x-b)^2 + \cdots\)
\(:❶\)
の級数を「b を中心とした
整級数またはべき級数(冪級数)」という。
(各項がべき関数で並んでいる式ですね!)
または「
(x-b)の整級数」ともいう。
(x-b)をx に置き換えた次式は
x=0 を中心とした整級数になる
\(\displaystyle \sum_{ n = 0 }^{ \infty } a_nx^n\)\(= a_0+ a_1x+a_2x^2 + \cdots\)
\(:❷\)
整級数の収束・発散では
x=0 を中心とした式❷の整級数を扱うことが一般です、ここでも同様にします。
また、\((x-b)\rightarrow x\) にしても一般性は保たれる。
\(\displaystyle\sum_{ n=1 }^{\infty}a_nx^n =\displaystyle \sum_{n = 0 }^{ \infty } \frac{(-1)^{n-1}}{n} x^n\)
\(=x-\frac{x^2}{2}+ \frac{x^3}{3}-\cdots+ \frac{(-1)^n}{n} x^n+\cdots\) :❸
また \(f(x)=log(1+x)\)のマクローリン展開式は
\(f(x)=log(1+x)\)\(=x-\frac{x^2}{2}+ \frac{x^3}{3}-\cdots+ \frac{(-1)^{n-1}}{n} x^n+\cdots\) :❸’
マクローリン展開は近似式ですが、この近似式が成り立つ x の値が、これから学ぶ x の収束半径となるわけです。
この式❸’の結論は収束半径R=|1|であり、収束区間 \(-1\gt x \gt 1\)の範囲で近似式は有効であり、
収束区間を定義域としたx についての
関数f(x) をあたえる。
また、テーラー展開、無限等比級数も整級数(べき級数)である。 ある∑の式を整級数(べき級数)の式に表示することを整級数・べき級数
展開という。
\(\displaystyle \sum_{ n = 0 }^{ \infty }a_nx^n\)\(= a_0+ a_1x+a_2x^2 + \cdots\)
整級数\(\displaystyle \sum_{n=0}^{\infty}a_nx^n\) が x=u で収束すれば級数 \(\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}|a_nx^n|\) は\(|x|\lt|u|\) で絶対収束する。
当前のことながら絶対収束すれば\(\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty} a_nx^n\) も \(|x|\lt |u|\)で収束する。
またx=u で発散すれば\(|x|\gt |u|\)で発散する。
【証明】
\(\sum a_nx^n\)がx=u で収束するから\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}a_nu^n=0\)である。
(収束級数の性質(ⅲ)より
【参照先】)
数列\(\{a_nu^n\}\)は収束するから有界であり(※1)、全てのn に対して\(|a_nu^n|\lt M\) となる、正の実数 M が存在する。
\(|x|\lt |u|\)ならば
\(\color{blue}{|a_nx^n|}=\left|a_nu^n \frac{x^n}{u^n}\right|≤\color{blue}{M |\frac{x}{u}|^n}\)
:(a)
\(\frac{x}{u}\lt 1\) なので級数 \(\sum \color{blue}{M |\frac{x}{u}|^n}\)は絶対収束する。
また正項級数で学んだ比較判定法より
【参照先】
( \(|a_nx^n|\lt M |\frac{x}{u}|^n\) (式(a)の右辺と左辺)に注目して)
\(\sum \color{blue}{|a_nx^n|}\)は収束する…この収束は絶対収束です。
注(※1):定理の「有界な数列は収束する」から導かれる。
ひらたくいえば、整級数が収束するか発散するかの境界、境目の \(r\) のこと。
整級数(式❷)に対し以下を満たす\(r\) が唯一存在する。
・\(|x|\lt r\) 収束
・\(|x|\gt r\) 発散
このような\(r\) を収束半径という。
特記事項:
・\(r=\infty\)ならすべての実数で絶対収束する。
・\(r=0\) なら\( x\ne0 \)で発散する。(\(r=0\)のみで収束)
・\( |x|=r \)のときは個々に評価する。
補足
\(|x|\lt r\) が収束の場合の収束区間は
\(-r \lt x \lt r\)
級数は
収束区間について関数f(x) とみなせる。
参考書によっては「r は収束する u の上限である」ことから
\(r:=sup \{|u| |級数❷が収束する\}\)と表している。
(記号「:=」は「定義・意味するところ」などの意味。)
\(ℓ=\displaystyle\lim_{n \to \infty}\left| \frac{a_{n+1}}{a_n}\right|\)
が存在するとき、その極限値の逆数は収束半径である。
\(r=\frac{1}{ℓ}\) \(\quad (0≤r≤\infty)\)
\( ℓ=\displaystyle\lim_{n \to \infty} \sqrt[n]{|a_n|}\)
が存在するとき、その極限値の逆数は収束半径である。
\(r=\frac{1}{ℓ}\) \(\quad (0≤r≤\infty)\)