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湘南理工学舎
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2022/06/16   
2020/03/10   

 楽しく学ぶ…微分積分

 中間値と平均値の定理

(intermediate value theorem and mean value theorem)
 --目 次--
中間値の定理
中間値の定理(特殊形)
 ∗例題
ロルの定理
平均値の定理(ラグランジュ)
平均値の定理(コーシー)


 ここで学ぶ各定理は解析学で深く扱う定理です、微分、積分の様々な証明に使われています。
概要は理解しておきましょう。
また「中間値の定理」は「方程式に実数解が存在するか否か」の問題に使われます。

これら定理の共通の条件は関数 f(x) が閉区間\([a, b ]\) において連続とういこと。
(関数の曲線はなめらかで、切れ目がないこと)

平均値の定理はいくつかあり、ここでは一般的な「平均値の定理 すなわち ラグランジュの平均値の定理」と「コーシーの平均値の定理」について説明します。
その他に「積分の平均値の定理」があります。

以下の応用例(リンク)を参照して下さい。

応用の例の【参照先1】 、【参照先2】 、 【参照先3】


1. 中間値の定理
(intermediate value theorem)
関数が閉区間で連続であるときに使える定理です。
中間値の定理
  fig1 
 

【中間値の定理】
関数 f(x) が閉区間 [a, b ] において連続とします。
\( f(a) \ne f(b) \) (図では \( f(a) <f(b) \) )ならば:
\(f(a)\) と \(f(b)\) の間に ある k に対して、

\( f(c)=k \) を満足する c が a-b 間に少なくても 1 つは存在する。

上図では\( f(a) <f(b) \)であるが、\( f(a) \gt f(b) \) であっても、その中間に\(k\) があって、その\(k\) に対応する\(c\) が少なくても1 つ存在することです。
図のとおり複数存在してもよいです。 


2. 中間値の定理(特殊形)
(intermediate value theorem)
方程式\( f(x)=ax^2+bx+c=0 \) の解は \(y(=k)=0\) …すなわちx 軸と交差する そのx の値が 実数解です。
下図での実解は \( x=c, x=d, x=e \) です。 中間値の定理において「\(f(a)\) と \(f(b)\) が異符号」の意味は 関数が X 軸と交差することです。

中間値の定理(拡張版)
  fig2 
 
【中間値の定理(特殊形)】
関数 f(x) が閉区間\([a, b ]\) において連続とします。
\(f(a)\) と \(f(b)\) が異符号なら
関数\(f(x)\) は x 軸と交差する。
このことは閉区間\([ a, b ]\) において、\(f(x)\) は実数解をもつことである。

(1項の中間値定理の\( f(c)=k\)を\(\rightarrow f(c)=0\) に対応したのと同じ ) 
3. 例題 \( f(x)=2^x+x =0\)
上記方程式が閉区間 \([-1, 1] \)で実数解を持つことを示せ。
\(f(-1)=2^{-1}+(-1)=0.5-1=-0.5  <0 \)

\(f(1)=2^{1}+1=2-1=3\ >0 \)

∴ \(f(-1)\) と \(f(1)\) は異符号である。
これより方程式 \(f(x)=0\) は実数解を持つ。
4. ロルの定理
(rolle's theorem)
ロルの定理は平均値の特殊な場合の定理です。
連続な関数 \(f(x)\) の曲線の両端点が同じ値なら、その2点間に x 軸と平行な接線が存在することを言っています。

ロルの定理
  fig3 
 
【ロルの定理】
関数 f(x)が閉区間\([a, b ]\) において連続とします。
・閉区間 \((a, b )\) で微分可能。(※1)
・\(f(a)=f(b)\)
であるとき
\(f'(c)=0\) (1階微分)

を満足する\( c \) がすくなくても 1つ存在する。
注(※1):微分の出題の定番な表現です。
・関数は閉区間\([a, b ]\)で定義され…
・関数は開区間 \((a, b )\)で微分可能ならば…
(閉区間の両端点で微分可能が保証できないから開区間となる)
【参考先】

        
5. 平均値の定理(ラグランジュの平均値の定理)
(mean value theorem)(average in lagrange)
一般的な「平均値の定理」とはここで説明する「ラグランジュの平均値の定理」のことです。

平均値の定理
  fig4 
 

【平均値の定理】(ラグランジュの平均値の定理)
関数 f(x)が
・閉区間 \([ a, b ]\) において連続。
・開区間 \((a, b )\) で微分可能。
のとき、関数 f(x)に対し、
\( \frac{f(b)-f(a)}{b-a}=f'(c) \)

を満たす \(c\) が 開区間 \((a,\ b)\)(※1) に少なくても1つ存在する。
(直線 AB と同じ傾きをもつ接線 \(f'(c)\) となる x 軸上の点 \(c\) が必ず1つ存在する)
(※1:\(a<c<b\) )

6. コーシーの平均値の定理
(cauchy's mean value theorem)
コーシーの平均値の定理は上記のラグランジュの定理一般化した定理です。
(拡張された定理)ともいわれている。
また後で学ぶ、ロピタルの定理に使われる。

【コーシーの平均値の定理】
関数 f(x) と g(x) が
・閉区間 \([ a, b ]\) において連続。
・開区間 \((a, b )\) で微分可能。
・\(g'(x)\ne 0\)
・\(g(b)-g(a)\ne 0\)
のとき、関数 f(x), g(x) に対し、
\( \frac{f(b)-f(a)}{g(b)-g(a)}=\frac{f'(c)}{g'(c)} \)

を満たす \(c\) が 開区間 \((a,\ b)\)(※1) に少なくても1つ存在する。
(言い換えると、点\(c\)において 両端点を結ぶ直線と同じ傾き(\( \frac{f'(c)}{g'(c)}\))の接線が1つ以上存在する)
(※1:\(a<c<b\) )
注:\(g(x)=x\)とおくと「コーシーの平均値」は「ラグランジュの平均値」に帰着する。
∵\(g(x)=x\)とおくと

\(g'(x)=1,\ g'(c)=1\) \(,\ g(b)=b,\ g(a)=a\)
\(\frac{f(b)-f(a)}{b-a}=\frac{f'(c)}{1}\)

平均値の定理
fig5:媒介変数\(t\)による表記
 例:点\((g(a),f(a))\)とは\(t=a\)における点のこと。  
 

コーシーの平均値の定理の図形的な意味を示します。
以下のように媒介変数 t による媒介変数表示する。
・\( x=g(t),\ y=f(t)\) (※)
・両端点は\( t=a,\ t=b\)における点
両端点を結ぶ直線の傾きは
\( \frac{f(b)-f(a)}{g(b)-g(a)}\) ❶
この傾きと等しい接線の交点 \(c(=t)\) が 開区間 \((a,\ b)\)に少なくても1つ存在して
(点\(c\) の接線が❶の傾きと等しい)
その傾きは
\( \frac{f'(c)}{g'(c)}=❶ \) である。
   

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[コーヒーブレイク/閑話]