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湘南理工学舎
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2020/10/14

 楽しく学ぶ…微分積分

 有界・開区間・最大値・上限
  閉区間・最小値・下限

(boundedness・ open section・ maximum value・ upper limit)
(closed section・ minimum value・lower limit)
 --目 次--
有界(上界・下界)
開区間
閉区間
最大値
最小値
上限
下限
例題

 ここでは有界をはじめ、開区間/閉区間、最大値/最小値、上限/下限の順で説明します。
上限/下限が分かりにくいとところがあり、説明が長くなりました。
はじめに「例題」を見るのもいいですね。

1.有界とは(上界と下界)
 集合 A は実数 ℝの部分集合\( (A \subset ℝ) \)として、実数 a が集合 A の上界とは A の任意の x に対して \( x ≤ a \) が成り立つとき:
 A は上に有界という。また実数 a を A の上界という。
また、実数 b が集合 A の下界とは\( x ≥ b \)が成り立つとき、 A は下に有界という。また実数 b を A の下界という。
上に有界な集合 A の上界は無数に存在します。
(a 以上の全ての実数が A の上界です)
上限はその上界のうち最小のものをいいます。
\(sup A = a \) で表す。 (「スープ A」と呼ぶ )

下限も同様の考え方です。
下限はその下界のうち最大のものをいいます。
\(inf A = b \) で表す。 (「インフ A」と呼ぶ )

開区間では上(下)に有界であるが、最大(小)値は存在しない。
(max A と min A は存在しない)
詳細は「上限と最大値の定義」の項で説明します。

2.区間 ( b, a )
A は 実数 R の部分集合 (空集合ではない)。
数直線(数のモデル)を用いて説明しますのでイメージを捉えて下さい。
line-open
開区間は「( b , a )」と表わし、数直線上には「〇」で表わす。
A には端点 a、b は含んでいない
開区間の集合 A は次式で表せる。
\( A=\underline{(\ b,\ a )} = \{ \ A\ |\ \underline{ b < A < a }\ ,  x ⊂ ℝ \} \)

3.区間 [ b, a ]
line-close
閉区間は「[ b , a ]」と表し 数直線上には「●」で表す。
A には端点 a、b を含んでいる。
閉区間の集合 A は次式で表せる。
\( A=\underline{[\ b,\ a ]} = \{\ A\ |\ \underline{\ b ≤ A ≤ a\ }\ ,  x ⊂ ℝ \} \)

開区間との相違点は:
閉区間では上(下)に有界であり、最大(小)値が存在すること。
なぜなら max A と min A を与える a と b が 集合 A に含まれています。
( 以下の最大値の定義の「条件②のa ∈ A」を満足している。)
最大値と最小値の定義の前に!
 ( max A = a , min A = b ) 
・A は 実数 R の部分集合 A (空集合ではない)。
・x はA の中で任意。勝手な、あらゆる値がとれる)
として以下の最大値と最小値が定義される。
4.最大値の定義( max A = a)
① x ∈ A (任意のx は集合A の要素)に対して \(x ≤a\) が成り立つ。 (a は A の上界)
(これだけでは a はA の領域外でもよくなるので次の ② がある)
② a ∈ A (a が集合 A の要素)である。
このとき max A = a であり sup A =a (上限)でもある。
5.最小値の定義(min A = b)
① x ∈ A (任意x は集合A の要素)に対して\(x ≥b\) が成り立つ。 (b は A の下界)
② b ∈ A (b が集合 A の要素)である。
このとき min A = b であり inf A =b(下限)でもある。
 

上限と下限の定義の前に!
上限と最大値の定義の相違点は②項です。
・A は 実数 R の部分集合 A (空集合ではない)。
・A の定義域は開区間 ( a, b) です。
・x は A の中で任意(勝手な、あらゆる値がとれる)
として以下の上限と下限が定義される。
6.上限の定義( sup A = a) (supremun)
line-open
① x ∈ A (任意 x は集合A の要素である)に対して \(x ≤a\) が成り立つ。
・まず「a は A の上界」と言っている。
・なので最大値の定義の①と同じ
② a より小さい任意のλ (実数)に対し λ < x となる x ∈ A が存在すること。(※1)
・a はA の上界であるが、A には属していない

①②を満足する\( a \) を A の上限 \(sup A =a\) という。

上記(※1)② 説明:
・λ がa にどんどん近づいても、λ より大きい x (a より小さい)がある。
・λ(a より小さい)がさらにa にどんどん近づいても 「\( λ < x\)」 なる A に属する x が存在する。
 ➡この a は上界 
 ➡また、a は上界の最小値となる
 ➡また、a は集合A の要素でない
λ はいつまでも a には到達しないイメージ

大雑把にいうと、最大値は定義域の中の最大値、上限は定義域の外の上界の最小値ということ。
A=(0,5):開区間 とは 0 < A < 5 であり、5 が一番大きいが 定義外にいる。
これを上限といっている。

7.下限の定義( inf A = b) (infimun)
上限と同様な考えで下限は以下で定義される。
① x ∈ A (任意 x は 集合 A の要素である)に対して \(x ≥b\) が成り立つ。
② b より大きい任意の λ(実数)に対し λ > x となる x ∈ A が存在すること。
λ はいつまでも b には到達しないイメージ


8.例 題 (1)\( A= ( 2 , 5 ]\) (これを半開区間 という)
の下限と上限を求めよ。
\( 2 < x ≤ 5 \)
inf A = 2 ( 最小値はない)
sup A = 5 ( max A =5 ) 
(2)\(A= \{ \frac{n+1}{n} \ | n ∈自然数 \} \)
 数列 A の集合の下限と上限を求めよ。
数列を変形:
\(a_n= 1+\frac{1}{n} \)

n=1 で \(a_n=2\)…\(a_n\) は最大値。

n が増加すると  \(a_n \rightarrow 1\) 、すなわち 1 に近ずく。(下界へ)
しかしこの数列 1 にはならない。

これより
inf A = 1 ( 最小値はない)
sup A = 2 ( max A =2 )

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[コーヒーブレイク/閑話]…お疲れさまでした